Twitter Follow Me!

音楽主義 プロダクションとアーティストのための「クラウド」基礎知識


「音楽主義」2012年新年号となる今回の特集は、「クラウド」について。
クラウドとは何か、音楽に関してはそれでどんなことができ、欧米ではどんなサービスがあり、代表的なSpotifyにはどんな機能が実装されているのか、クラウド研究の第一人者であるJRC荒川社長にお聞きし 知識ゼロの方にもわかりやすく解説している。

NEXUSでは「音楽主義」よりSpotifyに注目してインタビューの一部を抜粋しました。
より詳細な情報は「音楽主義」50号もご覧下さい。

text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ) photographs:内海裕之

クラウド型音楽サービスを代表する3つのタイプ

――なんだか難しそうなクラウドの定義なのですが、どうお考えでしょうか?

荒川祐二氏 株式会社ジャパン・ライツ・クリアランス 代表取締役社長
今までパソコンって、いろいろ面倒くさい設定をしなければ便利に使えなかったのが、ネットワークにつながっていれば、あらゆることが簡単になるってことかもしれません。

――なるほど。では、音楽サービスにおいてクラウドというと、どんなことになるのでしょうか?

まず、さっきのクラウドの定義からすると、音楽の場合はもう少し絞り込まれてきます。“Anywhere,anytime,from any device”っていうのが一番わかりやすいかな。好きなときに、どこにいても、どのデバイスからでも自分の好きなモノにアクセスできる。それがクラウド型音楽配信だと思ってます。だから、実はクラウドってふうにいわなくても、WEBラジオに近い体験なんですよね。要は、ストレージの容量を気にしないで使えるってことかもしれません。ほかにもユーザーの試聴履歴を貯めて、どうやってサービスに反映させるかってことにも応用できますね。今まで音楽をたれ流していたWEBラジオに、プラスな要素を持って現れたのがクラウド型音楽配信なのかもしれません。

――そう考えるとわかりやすいですね。

なので、クラウド型音楽サービスはおおまかに分けて3タイプあると思っているんですが、そのひとつは「パーソナライズドラジオ」って呼び方が良いかなと思ってます。リスナーの好みを最適化していくようなサービスって、そもそもクラウド型音楽配信なんですよね。

――オススメを提案してくれたり、試聴ログを記録してくれるPANDRAやLAST.FM的なサービスですね。

そうそう。そして、2つめは「オンラインジュークボックス」的なサービスですね。これはたくさんの曲のなかから、好きな曲を好きなときに自由に聴くサービスってことですね。自分が聴きたいものを探して、聴くこともできる、っていうのがポイントかな。これは、ラジオとは若干違うんです。ラジオは、自分の好みのステーションがあって、聴きたいときに聴きたい曲が必ず流れるかといったら、そうではない。でもオンラインジュークボックスは、自分でリクエストをして、自分で聴きたいものを聴けるという。

――いわゆる、Spotify、RHAPSODY、Napster的なサービスのことですよね。

そう、一番可能性的には大きなサービスじゃないかな。あと3つめは「デジタルロッカーサービス」。これは、自分が持っている音源データを、ネット上にアップロードして預けて、いつでも、どんなデバイスでも聴けるようにするサービスですね。

――Mspot.やAmazon、Google Musicが提供しているサービスですね。

これも、自分の音源をクラウド上にアップするという点では、わかりやすい形ですね。前の2つとはちょっと違う趣なサービスですけど。この3つを合わせて、音楽系のクラウドサービスといっても良いんじゃないかなって思ってます。

水や電気と同じような次世代のビジネスモデル

――「楽曲やアルバムを選んで購入して所有する時代」から「アクセス権を買う時代」に変わることが大きなポイントでしょうか?

たぶんユーザー側からすると、そういう意識すら必要ないかもしれません。逆のいい方をすれば、ユーザーにそういう意識をさせないってことが大事だと思うんです。それを、いわゆる音楽業界側が、再生回数や使い勝手など「アクセスコントロール」によって、マネタイズすることが大事ですね。それが次世代のビジネスモデルだと思ってます。

――蛇口をひねれば水が出てくる水道や、スイッチひとつでオンオフできる電気のようなインフラ的なシステムですね。

そうそう。でも、水だって電気だって、お金を払ってるワケじゃないですか。だからこそビジネスモデルが課題なんだろうなって思います。


音楽主義 プロダクションとアーティストのための「クラウド」基礎知識

代表的なクラウド型音楽サービス

すでに欧米では主流になりつつある新しい音楽の楽しみ方、クラウド型音楽サービス。ここでは人気の高いサービスをいくつか紹介する。なお、基本的にLISMOとYahooのサービス以外は現時点で日本での利用はできない。

Spotify

2008年にスウェーデンでスタートした「オンラインジュークボックス型」サービス。

現在、ヨーロッパ7ヶ国に加え、2011年7月からアメリカでもサービスを開始。無料(広告付き/時間制限あり)と有料契約(スマートフォン対応)があり、1,600万曲以上が聴き放題となる。Facebookとの提携が発表され、ソーシャル対応が注目を集めている。

http://www.spotify.com/

PANDORA

2000年にアメリカ国内向けでスタートした無料「パーソナライズドラジオ型」サービス

曲のメロディやビート、リズムなど音楽のDNAを解析(ミュージック・ゲノム・プロジェクト)し、ユーザーの好みを反映した楽曲を流す。2008年にリリースしたiPhoneアプリとの連携をきっかけにブレイク。登録IDが8,000万人を超える。

http://www.pandora.com/

iTunes in the Cloud

2011年にアメリカ、北米、欧州、オーストラリアでスタートした「デジタルロッカー型」サービス

iTunesから楽曲を購入すると、同一アカウントであれば、どのApple製品からでもiCloudを通じて楽曲ダウンロードをすることができる。さらに、年間24.99ドルを支払えば、ローカルのライブラリーに登録された楽曲でも同期が可能となる。

http://www.apple.com/itunes/

Google Music

2011年にアメリカでスタートした招待制の「デジタルロッカー型」サービス。

iTunesにある楽曲やプレイリストを含めてPCにある楽曲ファイルを2万曲までアップロードすることができる(DRM付き楽曲は不可)。使用するデバイス数は無制限。楽曲を簡単にオフラインにダウンロードし、再生することも可能。ベータ期間は無料。

https://music.google.com

mSpot

2010年にアメリカでスタートした「デジタルロッカー型」サービス。

PC内の音源をクラウドに自動アップロード。WEBブラウザ、iPhone/Andnroidなどでストリーミング再生することができる。歌詞やカバーアートワークなどの表示も可能。アーティストのプロフィールや再生記録の確認もできる。5GBまでは無料。

http://www.mspot.com/

LISMO unlimited powered by レコチョク

日本で利用可能

2011年に日本でスタートした「オンラインジュークボックス型」サービス。

4大メジャーを中心に洋楽約100万曲が、月額定額1,480円で聴き放題。一度聴いた楽曲は、キャッシュ機能により通信圏外でも、一定曲数を視聴することが可能。ソーシャルサービスと連携し、再生中の楽曲をTwitterやFacebookなどに投稿ができる

http://www.au.kddi.com/lismo/

Yahoo! サウンドステーション

日本で利用可能

2005年に日本でスタートした「オンラインジュークボックス型」サービス。

人気J-POPナンバーを中心に20万曲を無料聴き放題。パーソナライズド機能はなく、ユーザーが聴きたいチャンネルの番組や、楽曲を選択すると専用プレーヤーが起動する。Macは使用不可。プレミアム会員は、曲のスキップが無制限で広告なしですぐに再生される。

http://station.music.yahoo.co.jp/

すべての音楽好きのための音楽制作マガジン『音楽主義』

音楽主義

音楽主義は全国のスタジオ、専門学校、レコード&楽器店、ライブハウスなどで配布中!!

NEXUSではWEB版をバックナンバーまで掲載中!!

http://www.nexus-web.net/ongakusyugi/