貴ちゃんナイト vol.5 〜30th Anniversary Edition〜 ライヴレポート

Photo : 岡村直昭   Text : 廿楽玲子


ラジオ・パーソナリティとして高い人気を誇る中村貴子のリスナーが集うDJイベントとして、2011年に幕を上げた“貴ちゃんナイト”。第2回目からはその名を本人が受け継ぎ、自身主催のライヴ・イベントとして回を重ねてきたが、5回目となる今回はおなじみの会場・渋谷屋根裏からShibuya O-EASTに舞台を移し、中村貴子のラジオ・パーソナリティ・デビュー30周年を祝う拡大バージョンとして6月11日に開催された。



トップバッターはex.THE YELLOW MONKEYのEMMAこと菊地英昭 によるプロジェクト、brainchild's。まずは「Major Code」の解放的なメロディでリスナーの胸に飛び込んでいく。バンドはKeita The Newest (key,etc)、 高岸由真(b)、 早川誠一郎(ds)、Nokia (g)の5人編成で、菊地英昭はセンターに立ちヴォーカリストとしての存在感も発揮。だが、もちろんサウンドの要はギターだ。歪んだ音色に潜むノスタルジー、激しさのなかに見え隠れする妖しいきらめき……そんな清濁あわせ持つギターの音色でフロアを包み込む。そしてなにしろ、ギターを携えた一つひとつのポージングがいちいち華やかで目を奪う。インスト曲「PANGEA」では海の底へ潜っていくようなディープなセッションを繰り広げ、轟音ギターをかき鳴らす。そして「あんまり時間がないので、得意の下ネタもなしです(笑)」という短いMCを挟んで、Keitaがギターに加わりトリプル・ギターで奏でられた「cardioid」と「球地」は、その音圧でロックのダイナミズムを存分に味わわせてくれた。




続く吉川晃司はアコースティック・セットで登場。まずはひとりでフラリとステージに現れ、マイク片手に主催者“貴ちゃん”との思い出を語り出す。フランクな口調でひとしきり爆笑を誘うと、菊地英昭と伊藤可久を呼びいれ、2本のアコースティック・ギターをバックに「終わらないSunSet」を歌い出す。するとさっきの気さくな兄キぶりはどこへやら、強烈なオーラが身体から立ち上る。そして歌が終わると「今の曲は10代の頃に作ったんだけどさ…」とデビュー当時のエピソードを笑いをまじえつつ披露。そこへ菊地英昭が絶妙なツッコミ(いやボケか?)を入れ、話はますます脱線していく。その後も「せつなさを殺せない」「BOY'S LIFE」といった代表曲を惜しみなく披露しながら、役者として参加したドラマの撮影秘話から芸能界の裏話(?)までを語りつくすという、レアすぎる展開に。そして“ラジオDJの貴ちゃん”にちなんだという心ニクい選曲の「RADIO GUITAR」をはさみ、最後は最新アルバム『SAMURAI ROCK』の表題曲を披露。2本のアコギがウェスタン・ロック調のグルーヴを叩き出し、吉川の骨太で艶のある歌声がリスナーの胸をがっちりと掴んだ。




3組目はTRICERATOPS。大先輩に続くステージということで気合い十分、のっけから「King Of The Jungle」で飛ばしまくる。そのサウンドはハッピーなパーティ・ムード全開で、しなやかでタフなR&Rビートが観客の腰を直撃し、コール&レスポンスで会場をひとつにしていく。このイベントでは”若手”になるが、彼らも昨年15周年を迎えたベテラン・バンド。「バンドを続けることで、こうしてスターと共演できて、貴ちゃんの30周年を祝えてうれしく思います」というMCのあとに「Happy Saddy Mountain」でスウィンギーなリズムに乗り、心地いい風を吹かせる。その後は「I GO Wild」で再びロック・モードへ突入し、フィジカルなダンス・ロック「Future Folder」ではフロアから無数のコブシが突きあがる。短いながらも緩急のついた展開で、ライヴ・バンドの実力を発揮したトライセラ。”一見さん”も巻き込んで踊らせる、全身全霊のパフォーマンスでイベントのトリを飾った。




“貴ちゃんナイト”はまだまだ終わらない。TRICERATOPSが再び登場し、吉川晃司と菊地英昭を招き入れる。そう、最後は3組による豪華セッションが実現! トライセラ和田 唱の「特別なことをやりたいなと思います」という言葉に続いて吉川の名曲「ラ・ヴィアンローズ」のイントロが鳴り響いた瞬間、悲鳴に近い歓声があがる。ヴォーカルは吉川と和田が交互に取り、ラスト・パートは熱いコーラスの掛け合いで会場の温度をぐんぐん上げていく。次はTRICERATOPSの名曲「FEVER」。こちらも和田と吉川がヴォーカルを取り、ぐっと男気の増したR&Rサウンドでパーティ感を煽りまくる。そして「泣いても笑ってもこれがラスト」と曲名を告げずに始まったのは、吉川が在籍したCOMPLEXの「恋をとめないで」! 誰もが知っているキャッチーなギターリフが鳴った瞬間、会場は沸騰状態に。ヴォーカルは吉川と和田に加え、トライセラの林 幸治へと移り、そして菊地英昭が「貴ちゃんの夜さ 連れ出してあげる」と歌いあげると、ピースな空気に包まれたまま夢のセッションは終了した。



最後は主催者の中村貴子が呼び込まれ、彼女を囲んで記念撮影が行われた。彼女の「幸せすぎるよ!」という言葉に、笑顔で応えるリスナーたち。この日何よりも印象深かったのは、全アーティストのアクトを心から楽しみつくすリスナーズの姿だった。そしてその中心には、愛する音楽をラジオの電波に乗せて届け続けた中村貴子という存在がいる。「みんな音楽好きでよかったね」――そんな彼女の言葉が、この夜の充実度を物語っていた。

オフィシャルサイト


貴ちゃんナイト vol.5
〜30th Anniversary Edition〜
セットリスト
2013.6.11(月) Shibuya O-EAST


・brainchild's
01. Major Code
02. Mayday Mayday Mayday〜存亡〜
03. PANGEA
04. Wanna Go Home
05. cardioid
06. 球地

・吉川晃司
(アコースティックセット)

01. 終わらないSunSet
02. せつなさを殺せない
03. BOY’S LIFE
04. RADIO GUITAR
05. SAMURAI ROCK

・TRICERATOPS
01. King Of The Jungle
02. Silly Scandals
03. Happy Saddy Mountain
04. Warp
05. I Go Wild
06. FUTURE FOLDER

・ENセッション
LA VIE EN ROSE
(オリジナル:吉川晃司)
FEVER
(オリジナル:TRICERATOPS)
恋をとめないで
(オリジナル:COMPLEX)


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