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長澤知之

長澤知之




“音楽愛”を媒介にした、ここでしか見ることのできない化学反応が起こっていた。


長澤知之とトライセラトップスという、世代も音楽性も異なる二組の共演が実現したイベント「ライド6」。そもそも「ライド」とは長澤知之が“共演したいアーティスト”を呼んで行なっている自主企画イベントで、トライセラトップスは、彼が中学生の頃から敬愛している憧れのバンドだという。そういうリスペクトの思いが、ときに緊張感のある、ときに微笑ましい空気となってステージから放たれていた。

開演すると、まずは黒いハットを被った長澤知之がアコースティックギターを抱えて登場。弾き語りで、まずは“三年間”を歌う。この日の数日前に全国で行われたばかりの成人式をテーマにした歌。パッとしない、いわゆる“持ってない”男の心情告白の歌だ。そして、ニューシングル“カスミソウ”、そのカップリング“けやき並木道”、“俺はグビ”という3曲を披露。息を呑むような静けさに包まれたフロアに、存在感ある声と胸に突き刺さるメロディを響き渡らせた。

そしてステージに現れたのは、この日が「LIVE始め」だというトライセラトップス。和田唱(Vo/G)も林幸治(B)もジャケット姿でビシっと決めている。初期の代表曲“FEVER”で幕を開け“Neo Neo Mods”、“あのね Baby”と『WE ARE ONE』からのナンバーを披露。次々と切れ味鋭いリフを繰り出し、疾走感あるロックンロールを見せる。余裕たっぷりの楽しげな雰囲気は、やっぱり3人がステージ巧者だからこそ。「もし長澤くんが今日誘ってくれなかったら、まだダラダラ過ごしてたと思います」と、和田唱。「ゆったりやろうと思っていたけど、いざ始めると血が騒ぐよね。ガンガンいくか!」と、続けて昨年末にリリースされたライヴレコーディングアルバム『LOVE IS LIVE』収録の新曲“LOVE IS LIFE”“仲直り”をプレイ。林幸治と吉田佳史(Dr)のグルーヴィーなセッションを挟み、ブルージーな“Milk & Sugar”でフロアの温度を上げる。最後は「踊ってもらっていいですか!」とダンスチューン“Future Folder”で終了。エンターテイナーとしての貫禄を見せつけたステージだった。

熱気の醒めやらぬまま、続いては長澤知之がバンドセットで登場。曽根巧(G)、TOKIE(B)、HAZE(Dr)をメンバーに従えた、新たなバンド編成だ。一曲目の“JUNKLIFE”から“神様がいるなら”と、迫力ある爆音が続けざまに放たれる。TOKIE姐さんは、太いベースラインだけでなくコーラスでも存在感を発揮。さらに、グランジっぽいギターサウンドが、長澤知之のシャウトによくハマっている。MCでは「俺は和田さんほどMCが上手くないし、“Oh Yeah!”とかそういうのはできないけど――」と笑いを誘う。

スローテンポの“明日のラストナイト”、アコースティックギターに持ち替えた“狼青年”など、中盤は静かな曲を披露。特に“マンドラゴラの花”は、静と動のコントラストで聴き手の胸を揺さぶるサウンド、ファルセットに駆け上がる歌声と、彼の真骨頂を示すようなプレイだった。そしてラストは“P.S.S.O.S.”。爆音のギター、《桃源郷より 桃源郷へ》のリフレインが感情の水位を上げて溢れさせる一曲で、本編は終了。新たなバンド編成で、彼の歌がよりフィジカルな強靭さと激情の鋭さをまして放たれるのを感じさせるステージだった。



そして、この日のハイライトは、何と言ってもアンコール。まずは、和田唱と長澤知之の二人がアコースティックギターを抱えてステージに登場する。「俺はトライセラトップスをずっと聴いてて。根暗な時期、元気が出るような音楽を聴いて、部屋で一人で和田唱になりきって歌ってたんですよ」と、憧れの人を隣に長澤知之はかなり緊張してる様子。そうしてデュエットしたトライセラトップスの名曲“if”は、いわば“陰”と“陽”という全く異なる声の成分を持つ二人のハーモニーの美しさを感じさせてくれるもの。この日だけしか体感できないレアな化学反応だった。



最後は長澤知之が、再びバンドと共に“MEDAMAYAKI”“左巻きのゼンマイ”を披露し、フロアに大きな熱を巻き起こして終了。長澤知之の「音楽に救われた」男としてのピュアな思い、そしてデビュー5周年を経て成長し続けているミュージシャンシップを見せてくれた一夜だった。

Text By Tomonori Shiba/Photo By Makoto Sugita




< SET LIST> < RELEASE INFORMATION >
長澤知之(弾き語り)
M1 三年間
M2 カスミソウ
M3 けやき並木道
M4 俺はグビ

TRICERATOPS
M1 FEVER
M2 Neo Neo Mods
M3 あのね Baby
M4 LOVE IS LIVE
M5 仲直り
M6 Gothic Ring
M7 HAYASHI & YOSHIFUMI GROOVE
M8 Milk & Sugar
M9 Future Folder

長澤知之(Band)
M1 JUNKLIFE
M2 神様がいるなら
M3 どうせ陽炎
M4 明日のラストナイト
M5 狼青年
M6 RED
M7 マンドラゴラの花
M8 幻覚
M9 EXISTAR
M10 P.S.S.O.S.

Encore
M11 if TRICERATOPS
 (SESSION WITH 和田唱)
M12 MEDAMAYAKI
M13 左巻きのゼンマイ


長澤知之New Single 『カスミソウ』
2012年1月25日発売
ATS-34 / 1,200円(税込)
[ 収録楽曲 ]
1. カスミソウ
2. けやき並木道
3. ずっとプロポーズ

※このCDの売上の一部は、一般社団法人 日本音楽制作者連盟を通じ「東日本大震災」の被災者の皆様への支援としてお届けさせていただきます。
※店頭、オンラインショップでの予約は12月上旬より受付予定。



< LIVE INFORMATION >
大柴広己presents「冬もじゃ」
公演日:2012年2月7日(火)
 OPEN 18:30 / START 19:00
会場:下北沢 440

「RESONANCE」
公演日:2012年2月19日(日)
 OPEN 17:00 / START 18:00
会場:下北沢GARDEN

『OTODAMA×eggman×MUSIC ON! TV「INOUEISEKI VOL.11」』
公演日:2012年3月23日(金)
 OPEN 18:30 / START 19:00
会場:eggman