長澤知之 “Nagasa・Oneman8 Band Ver.” ライヴレポート

Photo : TSUNEO KOGA   Text : 戸川健太(Player)


昨年11月にリリースされた最新アルバム『黄金の在処』を引っ提げての全国ツアー“Nagasa・Oneman8 Band Ver.”。全5公演の終着点は恵比寿リキッドルーム。東京でのワンマンライヴは約1年4ヶ月振りということもあってか、会場には期待に胸を膨らませた大勢のファンで埋め尽くされている。

今回のバンドメンバーは西川 進(guitar)、松田“FIRE”卓己(bass)、タナカジュン(drums)を迎え入れた4人編成。初お披露目となった昨年12月の「シークレット ライド7」ではそれぞれが個性の強いプレイヤーゆえに、個々で目立つようなシーンも見受けられたのだがそれぞれが、この日の4人にはステージインの瞬間から盤石感が漂っていた。オープニングナンバー“あんまり素敵じゃない世界”から西川のエフェクティヴなギターが炸裂するなど、お馴染みの楽曲も現編成ならではの刷新が施されており、MCで見せる和やかなやり取りからも約2週間のツアーで築き上げた関係性が窺える。



序盤は“追憶” “フラッシュバック瞬き”など『黄金の在処』収録曲を軸としながらも、“明日のラストナイト” “夢先案内人”など要所にこれまでリリースしてきたミニアルバム、フルアルバムから幽玄なナンバーを挟み込んでの構成。長澤はMCで「お酒呑んでますか?」と投げ掛けていたが、アルコールに頼らずともに陶酔できる空間が築き上げられていた。西川の紡ぐ酩酊感たっぷりのサウンドでシームレスに曲間を繋いだ“幻覚” “黄金の在処” “片思い”では、こちらに拍手する隙間さえ与えない深淵な時間が流れる。


そんな緊迫したムードから一転、フォーキーな“はぐれ雲けもの道ひとり旅”で始まった中盤戦からは、近年の長澤を象徴するような開放的ステージが繰り広げられた。事前にコール&レスポンスの練習が行われた“誰より愛を込めて”では、各メンバーのサービス精神に溢れたソロ回しとセッション、クライマックスでは先ほどの練習よりも遥かに大きくオーディエンスのハーモニーが響き渡る。その後も“左巻きのゼンマイ”でのハンドクラップ、“俺のアレ”の間奏では長澤と西川がギターバトルのようなやり取りを繰り広げ、“ハレルヤ”では長澤がハンドマイクで全身を使って絶唱するなど、ハイライト・シーンの連続に会場は沸き立つ。また、昨年の「シークレット ライド7」では重心の低いパワフルなグルーヴが印象的だったFIREとタナカのリズム・セクションには、更に疾走感が宿っていた。こうなると無敵。まるで時速120㎞で推進する重戦車のように、“THE ROLE” “EXISTAR”のファストチューンをグイグイと引っ張っていく。



本編のクライマックスはデビュー前からの楽曲である“マンドラゴラの花”、そして『黄金の在処』のラスト・トラック“STOP THE MUSIC”。西川の空間系エフェクトを駆使した壮大なギターサウンドが、恵比寿リキッドルームを包み込む。“STOP THE MUSIC”では長澤が一度目のAメロの歌詞を丸々と飛ばしてしまうものの、言葉と同様に雄弁なアンサンブルからか違和感はまったく無かった。ツアーの千秋楽にして到達した長澤バンドの集大成をそこに感じた。




アンコールでは先日リリースされた初のミュージッククリップ集『FILMS』を長澤らしさ全開の言葉で紹介。彼が最も苦手とする告知を終えた開放感からか、「アンコールの曲をやります」という簡単な言葉を噛みまくり、そのまま半ば焼けっぱちのように“バベル”へと雪崩れ込む。が、このムードこそツアーファイナルのラストに、“バベル”に似合う。感傷的な空気の一切無い演奏と表情だ。近年はツアー毎にバンドメンバーを一新している長澤。恐らくではあるが今回の編成も例外ではないだろう。この4人でステージに立つのは、この夜が最後かもしれない。だが、続く“GOOBYE,HELLO”で高らかに歌われる<君とはグッバイ そしてハロー また会おうよ>の言葉。メンバー、そして目の前のオーディエンスとの間に交わされる再会の約束でアンコールは締め括られた。



Wアンコールでは長澤がひとりでデビュー曲“僕らの輝き”を弾き語りで歌い上げ、4月からの新企画「IN MY ROOM」の開催を発表。その名の通り、自分の部屋のようにリラックスした距離感と空間で音楽を楽しむイベントになりそうだ。長澤は昨年末、Facebookにて「2014年は新しい年にしようと思う。今までの自分とは少し距離を置いて、また初めから取り組むような、そんな年にしたい」と綴っていた。『黄金の在処』で掲げた“誰かと音楽を楽しむこと”をステージでも見事具現化した長澤が、次に見せてくれる景色。今から楽しみでならない。




オフィシャルサイト


長澤知之
“Nagasa・Oneman8 Band Ver.”
2014.02.28(金)
恵比寿LIQUIDROOM

■セットリスト
01. あんまり素敵じゃない世界
02. 明日のラストナイト
03. 追憶
04. フラッシュバック瞬き
05. 夢先案内人
06. 無条件幸福
07. 幻覚
08. 黄金の在処
09. 片思い
10. はぐれ雲けもの道ひとり旅
11. 24時のランドリー
12. 誰より愛を込めて
13. 左巻きのゼンマイ
14. 俺のアレ
15. P.S.S.O.S.
16. ハレルヤ
17. THE ROLE
18. EXISTAR
19. マンドラゴラの花
20. STOP THE MUSIC
EN1. バベル
EN2. GOODBYE,HELLO
WEN. 僕らの輝き(弾き語り)


<RELEASE INFORMATION>

  • ミュージッククリップ集DVD『FILMS』
  • 2014年2月19日(水)発売
  • ATS-49 / 3,333円(税抜)
  • [ 収録楽曲 ]
  • 01.
    僕らの輝き
    02.
    RED
    03.
    P.S.S.O.S.
    04.
    EXISTAR
    05.
    24時のランドリー
    06.
    三日月の誓い
    07.
    明日のラストナイト
    08.
    俺はグビ
    09.
    JUNKLIFE
    10.
    カスミソウ
    11.
    バベル
    12.
    あんまり素敵じゃない世界
    13.
    GOODBYE,HELLO
    14.
    そのキスひとつで
    15.
    フラッシュバック瞬き


  • 2nd Full Album『黄金の在処』
  • 2013年11月6日(水)発売
  • ATS-047 / 2,500円(税込)
  • [ 収録楽曲 ]
  • 01.
    GOODBYE, HELLO
    02.
    フラッシュバック瞬き
    03.
    スーパーマーケット・ブルース
    04.
    そのキスひとつで
    05.
    誰より愛を込めて
    06.
    追憶
    07.
    黄金の在処
    08.
    無条件幸福
    09.
    VACANCES
    10.
    あんまり素敵じゃない世界
    11.
    あとの祭り
    12.
    ハレルヤ
    13.
    STOP THE MUSIC



    <LIVE INFORMATION>

  • 長澤知之 LIVE 〜IN MY ROOM〜
  • 日時:
  • 4月10日(木)
  • 5月27日(火)
  • 6月26日(木)
  • OPEN 18:30 / START 19:00
  • 会場:青山月見ル君想フ
  • チケット:全自由 4,860円(D代別)
  • ※整理番号順入場、再入場不可、飲食物持ち込み不可、4歳以上チケット必要(4歳未満入場不可)
  • ※本公演の一般発売はございません。



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