長澤知之「Nagasa・Oneman 7 Band Ver.」ライヴレポート

Photo : 山本倫子   Text : 戸川健太(Player)


6月6日にリリースしたミニアルバム『SEVEN』を携え、『Nagasa・Oneman 7 Band Ver.』を展開してきた長澤知之。6月下旬から7月上旬に行われた『Nagasa・Oneman 7 Acoustic Ver.』では、歌とアコースティック・ギターのみによる弾き語りスタイルで各地に鮮烈な虹を刻んできたわけだが、バンド・メンバーとの交わりから生まれた混色の絵具で描かれた虹からは、弾き語りとはまた異なる光彩が目映いほどに放たれていた。

“Acoustic Ver.”の際、ステージバックに飾られていた長澤自身が描いた大型キャンパス(『SEVEN』のジャケットにも使用されている)は無い。変わりにファンの目を一際引いていたのはステージ後方の上手にセットされているキーボード。そう、今年1月に同所で行われた「ライド6」からバンド・メンバーを一新した長澤だが、今回のツアーはキーボード奏者に山本健太(ex.オトナモード)を迎えた5人編成による初の試み。



ライヴはその新編成の妙、醍醐味を提示するように"夢先案内人"からスタート。山本が奏でる厳かなピアノ音色をきっかけに、沸き立っていたフロアが水を打ったように静まり返る。イントロから延々と繰り返される曽根巧のギターフレーズも詩世界の切迫と呼応して緩やかに熱を上げていく。その後も"あんまり素敵じゃない世界"など『SEVEN』収録曲を軸としながらも、"消防車" "THE ROLE"とバンド編成ならではのアッパーチューンで攻め立てるのだが、漏れなく細かな刷新が施されており、各曲の演奏終了毎に惜しみない拍手が5人へ送られる。とりわけ紅一点のTOKIEとオトナモードでも美声を聴かせていた山本が加わり、重奏的になったコーラスワークが良い。"スリーフィンガー"冒頭のハーモニーに至っては終始アカペラでも通用するのではないかと思わせるほどだった。



本編のクライマックスは転調部分にシアトリカル感を3割増しさせた"どうせ陽炎"、オーディエンスが疲れ知らずの手拍子&ジャンプで応えた"真夜中のミッドナイト"、歪ませたギターとピーキーに暴れ回る鍵盤でカオスが蜷局を巻いた"Blue Blue"と圧巻の極み。ラストは"茜ヶ空"の大合唱で大団円。…が、当然アンコールを求める拍手が鳴り止むはずもなく、長澤1人で弾き語りによる"マンドラゴラの花"、この日限りのスペシャル・ゲストである益子樹(ROVO、DUB SQUAD)とオリジナルでも共演している"幸せへの片思い"、更に益子の雪解け水のように澄んだシンセ音色で静謐さを加味させた"コーデュロイ"を披露。ライヴでは初共演ということもあってか向かい合いながらの演奏となったが、まるで音で会話をしているような2人の空気感に酔いしれる。後に山本との2人で演奏された"カスミソウ"でも感じたことだが、いつか弾き語りとバンドの中間とも呼べる“長澤+鍵盤”でのワンマンも観てみたいものだ。



アンコール・ラストは『SEVEN』の曲順同様、「希望の歌」"バベル"。しかし、ツアー閉幕に感情が昂ったのか後半の歌詞を大きく間違えてしまう。その予定不調和もオーディエンスは醍醐味と捉え、演奏後は盛大な拍手となったのだが、やはり自身がツアーの締め括りとして許せなかったのだろう。長澤の希望で再び"バベル"をプレイ! これにはメンバーのみならずオーディエンスも驚愕&爆笑。"バベル"に相応しい半ば焼けクソの、それでいてポジティブなムードの中、1回目を遥かに上回る熱量で堂々たるフィナーレと相成ったのである。



確か昨年、折しも同所で行われた「Nagasa・Oneman “JUNKLIFE”TOUR 〜Band ver.〜」でもWアンコール"真夜中のミッドナイト"において「歌詞を間違えた〜」と歌う長澤に、「イエー!」と応えるオーディエンスの姿があった。今回における「異例の2回目"バベル"」も、長澤のメンバーやオーディエンスをはじめとした周りの人々に対する信頼が深まったことを証明するハイライトに思えてならない。今、長澤知之は孤高であったとしても決して孤独ではない。この日、ステージ上で見せた豊かな実りが、次の作品、ライヴでどのような花を咲かせてくれるだろうか。それを考えるだけで、私は今から楽しみで仕方が無い気持ちになる。



オフィシャルサイト


長澤知之
Nagasa・Oneman 7 Band Ver.
2012.10.08 新宿BLAZE

■セットリスト
01. 夢先案内人
02. あんまり素敵じゃない世界
03. 消防車
04. THE ROLE
05. JUNKLIFE
06. スリーフィンガー
07. センチメンタルフリーク
08. はぐれ雲けもの道ひとり旅
09. 決別
10. ラブソング
11. 明日のラストナイト
12. 片思い
13. されど木馬
14. EXISTAR
15. 神様がいるなら
16. どうせ陽炎
17. 真夜中のミッドナイト
18. Blue Blue
19. 茜ヶ空
EN1. マンドラゴラの花
EN2. 幸せへの片思い(with益子樹)
EN3. コーデュロイ(with益子樹)
EN4. 俺はグビ
EN5. カスミソウ
EN6. バベル

New Mini Album『SEVEN』

  • 2012年6月6日発売
  • 初回限定盤(CD+DVD) ATS-038 / 2,500円(税込)
  • 通常盤(CD) ATS-040 / 2,000円(税込)
[ CD収録楽曲 ]
01.
あんまり素敵じゃない世界
02.
センチメンタルフリーク
03.
されど木馬
04.
静かな生活
05.
幸せへの片思い
06.
決別
07.
バベル

[ 初回限定盤DVD ]
  • 2012年1月15日新宿BLAZE 「ライド6」よりライヴ映像を5曲収録
  • ・三年間
  • ・俺はグビ
  • ・JUNKLIFE
  • ・幻覚
  • ・MEDAMAYAKI


<LIVE INFORMATION>
Office Augusta 20th Anniversary
Augusta Camp 2012 in AMAMI
2012年10月21日(日)
奄美市・大浜海浜公園野外ステージ

つばきフレンズ レコ発ワンマンツアー東京公演
10月26日(金) 新代田FEVER

Permanents(田中和将&高野勲 from GRAPEVINE)「A ZIG/ZAG SHOW」大阪公演にゲスト出演決定
10月28日(日) 心斎橋Music Club JANUS

「金沢 ROCK Street Market 2012」
2012年11月23日(金・祝)
金沢Eight Hall / 金沢AZ / 金沢vanvan V4

『SPACE SHOWER 3rd Place vol.1』
2012年11月26日(月) 渋谷WWW






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