NEXUS アーティスト・インタヴュー:The Birthday

デビュー15周年を迎え、ベスト盤『DINOSOUL -BEST OF TRICERATOPS-』をリリースしたトライセラトップス。ただし、キャリアを振り返るインタヴューはきっと他でも読めるだろうから、今回は違う切り口からバンドの“今”に迫った。

キーポイントは二つ。まず一つ目は、ここ最近の彼らが意欲的に幅広いメンツと絡んでいるということ。6月からの全国ツアーでは、The SALOVERSやOKAMOTO’SやHOME MADE 家族など8組と対バン。さらにアコースティックイベント「連載・おとといミーティングTRICERATOPS"12-Bar"」では、山崎まさよし、吉井和哉、松たか子、KANなどがサプライズ出演。ジャンルも世代も超えた面々と積極的に交流しているのである。そのモチベーションは、果たしてどこから生まれたのか?

そしてもう一つのキーワードは、“97年”という、彼らがデビューした年の時代性。実は、ドラゴンアッシュやグレイプバインやブンブンサテライツなど、今年15周年を迎えるバンドは彼らの他にも多い。そして、第一線でサヴァイヴし続けているバンドには、共通する“一つのポイント”がある。そこから見えてくるトライセラトップスのオリジナリティとは、どこにあるのか?

和田唱へのインタヴュー。実は彼らがずっと持っていた芯の強さが浮かび上がるテキストになったのではないかと思う。

取材・文=柴那典

なるべくジャンルの境界線を取っ払っていきたい。そういう使命感はありますね

――過去を振り返る取材は他でもしていると思うので、今回の取材は、別の話からしようと思ってます。

和田
なるほど、いいですよ、何でも訊いてください。

――まず、ここ数年のバンドの動きの話から訊きたいんですけれども。端的に、いろんな世代やいろんなジャンルのミュージシャンと一緒にコラボや対バンをやっていますよね。ここまで幅の広い交流を繰り広げているというのは、どういうところが発端になっているんでしょう?

和田
それは、もともと僕ら自身がすごい人見知りで、友達付き合いもあまり上手ではないっていうところが引き金になってるのかもしれないですね。

――そうなんですか? 人見知りというのは少し意外な感じがありますけれど。

和田
いや、そうなんですよ。そういう自分たちを変えたいと思ってたんですよね。僕ら、もともといろんなタイプの音楽が好きで。僕自身、60年代のロックも好きだし、それ以前のジャズやブルースも、映画音楽も、日本のも、いろいろなところに好きなものがあって。だから自分の作り出す音楽はいわばミクスチャーなものだと思うんです。にも関わらず、誰かと一緒につるんだりするのは苦手だった。他のバンドに比べて、そういうことをあんまりしてこなかったんです。その反動というのが一番大きいですね。

――なるほど。確かに特定のシーンに属していたような感じはないですね。

和田
僕ら自身、デビュー当時にはどこかアイドル視されてるような部分もあって。97年頃から2000年頃って、誘いがあったんでテレビにもよく出てたんですよ。でも、明らかに違和感があるんです。「明らかにここは自分の居場所じゃないぞ」って。かといって、当時はロックフェスに呼ばれても「ここがホームだ」って思えなくて。どっちつかずな一人ぼっち感がずっとあったんです。そういうところから出発してるので、今の幅の広いコラボレーションは、あの当時の自分からしてみれば意外でもあるし、すごく嬉しいことでもあるんですよね。

――でも実際、今なら誰とでもやれるという自信があるんじゃないでしょうか。

和田
そうですね。今までやってきたコラボレーションは、どの人が相手でもある程度の形にしてきた自信はあって。今では一緒にやった人の知り合いも多いですもんね。一緒に音楽をやった相手って、一回関係を持った女の子じゃないですけど(笑)、普段連絡は取り合わなくても、お互いを知っているような気がするんですよ。それはデカいし、自分としてもすごくいいことだと思いますね。だから、自分がどこに向かってるのかわからないところもありますけれど、今年はいろいろやっていこうと思ってます。「12-Bar」という僕らのアコースティックのイベントでも、きっとまたみんながびっくりしてくれるアーティストの人が出てくれるはずなんで。

――これまでも、相当びっくりするような組み合わせでした。

和田
ありがとうございます。嬉しいです、そう言ってもらえると。

――さらに、ツアーではThe SALOVERSとかUNISON SQUARE GARDENのような下の世代のバンドとも一緒にやっていて。一方でグレイプバインとも、HOME MADE 家族ともやっているという。

和田
これも意外なんですよ、ほんとに。しかも、みんながOKしてくれたのが嬉しいですよね。今回は8組の人と一緒にやってるんですけれど、この8組はなかなか結びつかないと思うんですよ。そこもやっぱ僕が本来持ってるミクスチャー感覚というか、いろんなところから自分の気に入った要素を組み合わせるっていう性格によるものもすごく大きいと思いますね。もともといろんなジャンルが好きだった自分の役目としては、なるべくそういうジャンルの境界線を取っ払っていきたい。いろんな人たちとエンターテイメントできる、楽しい空間を作り出せるんだぜっていうことを証明していきたい。そういう使命感みたいなのはありますね。

あの時の僕は、90年代の新しいブルースの形を感じ取ってほしかった

――トライセラトップスというバンドは、たとえば「リフとは何か?」みたいなMCをフェスでやったり、たとえば「ロックで踊る」というキーワードを打ち出したり、自分たちのやっている音楽の良さを、いろんな言葉できちんと説明してきた印象があるんです。そういうものを示そうという意識はありました?

和田
ありました。それは、自分たちがやりたい音楽があんまり日本にないと思ってたからでしょうね。それこそヒットチャートに入っている曲たちとは明らかに異質だと感じてたし。でもかといって、自分たちのやっている音楽がアンダーグラウンドでマニアックなものだとは一切思わなかった。僕らのやろうとしている音楽って、世間一般で流行っている音楽とは違うけど、多くの人に受け入れられていいはずのものだっていう自信があった。そういうつもりでやってきてたんだけど、それがあんまり伝わってないなと思うときには、「この曲はリフでできてるんだよ」ってライヴでわざわざ説明したりとかもしていて。そんなこと、ホントはしたくないんですよ。でも、より伝えるためにはやむを得ない。僕らの作っている曲っていうのは他の曲たちとこの辺が違うんですっていうことを具体的に言わなきゃいけない時期もありましたね。

――自分たちのやりたい音楽が日本の他の人達と違うものであるという意識ってデビュー当時からありました? 「これは今の日本の音楽シーンにはない発明なんだ」っていうような感覚。

和田
そうですね。ありましたね、それは。そこに自信を持ってました。

――じゃあ、デビューして売れて、それが受け入れられたという感覚は?

和田
うーん、そういう実感はあんまりなかったですね。それよりも、自分が見られたくないイメージで見られることに対する反発のほうが大きかったです。あの時の僕は、90年代の新しいブルースの形、20代前半ならではの新しいブルースっていうのを感じ取ってほしかったんですよね。でも、インタヴューでは「このラヴソングは和田さんの実体験ですか?」とかばっかり。それがキラキラした、ピンク色のポップな仕上がりの記事になって。

TRICERATOPS

96 年に結成された 3 ピースロックバンド。メンバーは和田唱(Vo,G)、林幸治(B)、吉田佳史(Dr)。
97 年5月にインディーズよりミニ・アルバム『TRICERATOPS』を発表。同年 7 月『Raspberry』でメジャー・デビューを果たした。結成当時からリフを基調とした楽曲で踊れるロックを提唱し続けている。

http://www.triceratops.net/


BEST ALBUM

BEST ALBUM
『DINOSOUL -BEST OF TRICERATOPS-』

初回生産限定盤【CD+DVD】
NFCD-27340/B  ¥5,250(tax in)
特殊サイズ(7inch)紙ジャケ仕様


通常盤【CD+DVD】
NFCD-27341/B  ¥4,200(tax in)



【ライヴ情報】
8月4日(土)
 rockin'on presents ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012

8月5日(日)
 ap bank fes '12 Fund for Japan 淡路島

8月6日(水)
 連載・おとといミーティング TRICERATOPS "12-Bar" vol.10

8月9日(木)
 Spitz × VINTAGE ROCK std. presents 新木場サンセット 2012


インタヴューArchives