NEXUS アーティスト・インタヴュー:tofubeats「パーソナルなことを突き詰めていくとポップになる」tofubeatsが語る宇多田ヒカル、自分自身、そして音楽の可能性

tofubeatsが10月2日(=豆腐の日)にメジャー・ファースト・フルアルバム『First Album』をリリースする。

昨年のメジャーデビューから彼の名をさらに押し上げた “Don’t Stop The Music feat.森高千里”や“ディスコの神様 feat.藤井隆”に加え、BONNIE PINKやPES(RIP SLYME)、の子(神聖かまってちゃん)や新井ひとみ(東京女子流)など、豪華ゲストの揃った一枚。キラキラとしたメロディとキャッチーなフレーズが並ぶポップソング集。それでいて、ビートメイカーとして、作曲家として、そして神戸在住の20代の青年として、tofubeatsという人の実像を切り取ったアルバムでもある。

リリース前にはSoundCloudでの全曲フル試聴も実現。アルバムの内実について、そしてメジャーに場所を移してから改めて感じた音楽のあり方について、彼と語り合った。

取材・文=柴那典





『First Love』から受けた影響は本当に大きい

――素晴らしいアルバムだと思います。まず僕の感想としては、tofubeatsっていう人はアルバムで聴くとすごくシンガーソングライター的な、自分の内面性が出てきている作品になっていると思ったんですけれども。そういうものを作ろうという意識っていうのはありましたか?

tofubeats
今回は時間がなかったっていうのもあって、エピソード的にも自分のことをやらないと曲になってかないみたいなところもあって。ただ、基本的にそこでバランスっていうのを取っていかないといけないなっていうのを思ってるんです。

――バランスをとる?

tofubeats
たとえば“20140803”みたいな曲はシングルでは切れないわけで。でもこういう曲とか、前のアルバムの『LOST DECADE』でいう“touch A”とか、ああいう曲は自分の好きな面なんですけど、やっぱアルバムじゃないと出せない。だからこういう形でアルバムにする感じですね。特にメジャーになると“Come On Honey!”みたいな曲をシングルで切ってないと“zero to eight”とか“content ID”みたいなお遊びもやりにくいっていうのもあって。そういう意味では前回よりも振れ幅が広い気がしますね。だからそこが逆にシンガーソングライター的部分をより深めてるというか。後は、メジャーに行ったのでより個人的なことを言うみたいなのはあると思います。

――アルバムタイトルの『First Album』っていう言葉が出てきたのはどういうきっかけからだったんですか?

tofubeats
それはもう、『First Love』がきっかけですよね。

――宇多田ヒカルの?

tofubeats
そうです。怒られるのかな? 大丈夫かな? とか思いながらやってるんですけど。去年の夏くらいから『First Love』は最高だっていろんな雑誌とかで言ってて。そしたら15周年のデラックス盤が出ることになって。あれ、僕は二つ買ったんですけど。「何かの運命が交差してしまった!」って勝手に勘違いしてこうなったんです。

――なるほどね。『First Love』と通じ合うようなものにしたかった。

tofubeats
宇多田ヒカルさんにとっても『First Love』がメジャーの1stアルバムなんですよね。Cubic Uがあって、『First Love』じゃないですか。だからそういう意味でもいいなって思って。あと、パーソナルなことをするっていうことも大きいですよね。『First Love』は日本で一番売れたアルバムですけど、パーソナルなことを突き詰めていくとポップになるという一つの真理があそこにはあるというか。

――15周年のアニバーサリー盤には宇多田ヒカルの当時のコメントも入ってるんですよね。そこに「15歳の時の私の日記」ということが書かれている。

tofubeats
そうなんですよね。それに、手書きの歌詞も本当に可愛くて。で、今の時点から振り返るインタビューも入ってるんですけれど、その最後に(「FaceTimeにて」)って書いてあるんですよ。それを見た瞬間にブチ上がって。「これだ!」みたいな感じになって。「FaceTimeでこのインタビューが行われてるってことは、この会話はコンピュータースクリーンの中じゃないですか!」みたいな感じになって勝手にテンション上がってたんですけど。まあ、ちょっとその話になると脱線するんで置いといて(笑)。

――置いときましょう(笑)。

tofubeats
でもやっぱり『First Love』から受けた影響は本当に大きいですね。今になって聴いて事の重大さに気付くようなこともある。あれを超えるものが日本で出てきてないし、いろんな状況もあってあれを超えるのはもう無理っていうのもあるし。

リアルな女性の友達から「あれはちょっと見てらんない」って(笑)

――『First Love』って、本当に歴史のターニングポイントになったアルバムですよね。僕としては、あれは言ってしまえばCD時代の最後のモニュメントみたいなものだと思うんです。巨大なモニュメントだという。

tofubeats
「モニュメント」っていう言い方は正しいですね。しかもあれが発売してから15年になるってことはもう過去の資料として参照していいレベルに達してるっていう風に僕は思うんで。そこに後押しされた部分があって。僕はもともと自分のパーソナリティのことをあんまり言いたくないっていうのは前も言いましたけど、そうでありつつも今回はかなり出ている。そこには、そういう影響もあると思います。やっぱり自分のそういうところを突き詰めていったら、ポップになるんじゃないかなみたいなことを思ったんですね。

――自分のそういうところと言うと?

tofubeats
今回“poolside”のPVが気持ち悪いって女性にばっかり言われるんですよ。『POPEYE』でやってる連載(「ガチ恋ファンタジークラブ」)も気持ち悪いって言われるし。でも、自分の極端なところを見せるとああなるんです。だから、自分としては世に出てるもので一番納得いってる作品は『ガチ恋ファンタジークラブ』(笑)。

――ははははは(笑)。

tofubeats
あれが毎回後悔してないっていうか。それを音楽でもちょっとずつ、ああいうことで学んだことを還元出来たらなっていうのもありますけどね。



――そういえば「tofubeats」って検索ワードを入れたら、「tofubeats キモい」っていうのが関連ワードの二つ目に出てきてた(笑)。

tofubeats
(笑)。実際“poolside”のPVが出てから、リアルな女性の友達から「あれはちょっと見てらんない」みたいに言われましたからね。男性陣はけっこうブチ上がったんですけど。

――ははははは(笑)。もちろん監督の意向もあるけれども“poolside”にしても“ Come On Honey!”にしてもそうですよね。あれはある種自分を戯画化してる?

tofubeats
そうですね。あれくらいの立ち位置が一番いい感じなんです。石野卓球さんの言葉で好きなものがあって。「大人っていうのは身の程を知ってるやつだ」っていうんですけれど(笑)。本当そういうことだなと思いますね。

出来た曲はできる限り早く出したい

――アルバムの構成は“20140809”で始まって、“20140803”で終わるわけですよね。この意図は?

tofubeats
単純に録った日であり、作った日なんです。“20140809”はアルバムの完成に一番近い日の記録を録っておきたくて、『Lost Decade』のイントロも同じなんですけれど。あれも納品の一番直前のイベントだったんですよ。この日もlyrical schoolのみんなには「最後に『音楽、最高!』って言ってくれ」って事前に言ってあって。ステージの上から始めたかったんですよね。前回はそのあとに僕が部屋でしょうもない演技をしてるんですけれど、今回はそのまま始めようと思って。メジャーに行ったから部屋を出ようと思いました。

――そこで「音楽、最高!」って言葉がフックになってる。

tofubeats
“20140803”の方が先に出来てたんですよ。《てゆか毎日 音楽で》って言ってアルバムが終わっていくっていうのが決まってたんで、頭に音楽についてもう一言言ってもらおうっていう。

――これのオープニングとエンディングがあるからこそ、“朝が来るまで終わる事の無いダンスを”と“Don’t Stop The Music”がすごく点として活きている気がする。

tofubeats
この二曲を最後に持ってくるっていうことをしたくなかったんですよね。そのためにこういう展開にしてあるっていうのもあると思います。そういう愚直なことをせずに、アルバムとしてのストーリーをちゃんと作りたかったという。

――曲ごとにいろいろ訊いていきたいんですけれど、まず“#eyezonu”がいわゆるオープニングのトラックになっている。これはどういう位置づけで考えてたんですか?

tofubeats
今回アルバムの制作時間がかなり短かったんですけれど。“#eyezonu”っていうのはもともと“#eyezonme(アイズオンミー)”っていうデモ曲をサンプリングして作った曲なんですよ。その両方を入れて二つで一つにするつもりだったんですけれど、 “#eyezonme”の制作のほうが間に合わなくて、これだけになったという。

――でも、ぶっちゃけ、だったら次に取っておくこともできたわけじゃないですか。でもそういうことはしなかった。

tofubeats
出来た曲はできる限り早く出したいんですよね。日付入れてるのとかもまさにそうで、「今の曲を出してますよ」っていうこと。“poolside”とか前の曲も作りなおした今のバージョンを入れてるし。アルバムは10月2日に出るから聴いてる人はその時のものだと思うけど、実際はそうじゃないし。音楽を作ってから世の中に出るまでの時間にレンジがあるのがメジャーに行って一番気になることだっていろんなところで言ってますけど、だからこそ作った時期を記録しておくっていうのは大事かなっていう。

――なるほど。

tofubeats
『First Album』って言ってもここ一年くらいの僕の曲のまとめでもあるんで。だから出来た曲はできる限り入れておきたかったっていうのはあります。気に入ってるし。

――この曲の歌詞で「好きなラッパーはMOPO & AKI」ってありますけれど、これは?

tofubeats
A.K.IはA.K.I.PRODUCTIONSのA.K.Iさんですけど、M/O/P/Oはmy own private osakaっていうほとんど誰も知らない人で。僕も自分の他には知っている人、okadadaとあと二人ぐらいしか会ったことないです。大阪でCD-Rを100枚くらいだけ売ってたノイズミュージシャンの別名義で。だけど、ほんと好きなんですよ。

tofubeats

1990年生まれ、神戸市で活動を続けるトラックメイカー/DJ。
学生時代からインターネットで活動を行い、YUKI、ももいろクローバー、Flo Rida、Para One等、ジャンルを問わず様々なアーティストのリミックスを手掛ける。プロデューサーとしてもlyrical school、9nine、Negicco、でんぱ組inc.といったアイドルやアーティストに楽曲提供をしており、SONY、SEGA、SHIPSなどTVCMやwebCMの音楽制作等も多数。
ソロアーティストとしてはスマッシュヒットした「水星 feat.オノマトペ大臣」を収録したアルバム「lost decade」を2013年にリリース。全曲フル試聴などの施策で話題を呼ぶ。過去の外部仕事をまとめたワークス集2枚も同時発売。
同年秋にはWARNER MUSIC JAPANのレーベルunBORDEからメジャーデビューが決定し、森高千里、の子(神聖かまってちゃん)をゲストに迎えて「Don't Stop The Music」をリリース。これらの一連の 流れが評価され、iTunes Best of 2013に選出された。

制作だけではなくDJとしても活躍中。高校生時代のWIRE08出演を皮切りに、様々なフェスティバルやイベントに出演。2014年7月にはイギリスのラジオ局BBCのプログラム『BBC Radio1Xtra Diplo and Friends』に日本人として初出演。翌8月には森高千里 with tofubeatsとしてサマーソニック2014に出演する等、国内外で話題となっている。また数誌でコラムの連載も行っており、各方面で精力的に活動中。

オフィシャルサイト


『First Album』

初回盤2CD:WPCL-11990/1 / 2,400円(+税)


通常盤1CD WPCL-11992 / 3,000円(+税)

2014年10月2日(木)発売

[ 収録楽曲 ]
ディスク:1
01. 20140809 with lyrical school
02. #eyezonu
03. poolside feat. PES(RIP SLYME)
04. Come On Honey! feat. 新井ひとみ(東京女子流) & okadada
05. ディスコの神様 feat.藤井隆
06. おしえて検索 feat.の子(神聖かまってちゃん)
07. CAND¥¥¥LAND feat. LIZ
08. 朝が来るまで終わる事の無いダンスを (Album version)
09. Populuxe
10. zero to eight
11. framed moments
12. content ID
13. Her Favorite feat.okadada
14. Don’t Stop The Music feat. 森高千里 (Album Version)
15. way to yamate
16. 衣替え feat. BONNIE PINK
17. ひとり
18. 20140803

ディスク:2
01. #eyezonu (Instrumental)
02. poolside feat. PES(RIP SLYME) (Instrumental)
03. Come On Honey! Feat. 新井ひとみ(東京女子流) & okadada (Instrumental)
04. ディスコの神様 feat. 藤井隆 (Instrumental)
05. おしえて検索 feat. の子(神聖かまってちゃん) (Instrumental)
06. CAND¥¥¥LAND feat. LIZ (Instrumental)
07. 朝が来るまで終わる事の無いダンスを(Album version) (Instrumental)
08. Her Favorite feat. okadada (Instrumental)
09. Don’t Stop The Music feat. 森高千里(Album Version) (Instrumental)
10. way to yamate (Instrumental)
11. 衣替え feat. BONNIE PINK (Instrumental)
12. ひとり (Instrumental)
13. 20140803 (Instrumental)

TOUR INFORMATION

ディスコの神様 〜 tofubeats “First Album” release tour〜「GO OUT CAMP vol.10」
10月4日(土) 富士宮市ふもとっぱらキャンプ場
出演: tofubeats、細美武士(the HIATUS)、藤井 隆 and more

10月11日(土) 札幌Sound Lab mole
出演:tofubeats、藤井隆他

「Urban Weekend Club & KaTie Presents HOLIDAY vol.01」
10月18日(土) 名古屋 Live&Lounge vio
出演:tofubeats、Shiggy Jr.他

10月19日(日) 心斎橋SUNHALL
出演:tofubeats、藤井隆他

10月26日(日) 宇都宮SOUND A BASE NEST
出演:tofubeats、藤井隆他

10月30日(木) 代官山UNIT
出演:tofubeats、藤井隆、tomad、DJ WILDPARTY

「Cacasi×美のまちプロジェクトpresents」
11月2日(日・祭前) 福井Casa
出演:tofubeats、藤井隆

2014 年11月21日(金) 福岡PLUG
出演:tofubeats、藤井 隆、LinQ Lady

12月13日(土) 代官山UNIT
出演:tofubeats、藤井隆 and more


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