NEXUS アーティスト・インタヴュー:tofubeats 「僕は景気をよくしたいんですよ」――tofubeatsの巨大な野望

メジャーデビューを果たしたtofubeats、第2弾EPは『ディスコの神様』。表題曲は藤井隆をフィーチャリングに迎え、ハッピーで高揚感たっぷりで少しセンチメンタルな、彼の本領を発揮した一曲になっている。

彼の名を高めるきっかけになった“水星 feat.オノマトペ大臣”が、KOJI1200(=今田耕司)の“ブロウ・ヤ・マインド”を元ネタにしていたこともあり、DJ/トラックメイカーとお笑い芸人のコラボは、異色に見えて実は納得の組み合わせ。ただ、tofubeats自身によれば、この組み合わせには、さらに深い理由と狙いが込められているそうなのだ。

彼の追求する「ニュータウン的な感覚」について、そして「音楽と景気の関係」について、語り合った。

取材・文=柴那典



肩書きは突然変わるもの

――EP『Don't Stop The Music』でメジャーデビューしてから半年経ったわけですけれども。見えるものは変わってきました?

tofubeats
よく言っているのが、アーティストとしての免許がおりたという感じなんですね。言ってみれば、プロ野球選手になったみたいなことで。草野球でいくら上手い人も、プロとは呼ばれないわけじゃないですか。でも、今はサインをしてプロになったわけで。たとえばイベントの撤収をしている時に、昔のクセでイスとかを片付けようとしたら「アーティストさんなんでいいですよ」みたいに言われたり。そういうのはめちゃくちゃ感じます。

――自分に肩書きがついたという。

tofubeats
でも、やってる音楽が突然変わったり、突然良くなったりするわけじゃないのに、肩書きは突然変わるものじゃないですか? しかも音楽をやっていると、メジャーの上にA・B・Cみたいなランクはないんで。ステージが変わったなと思いますね。

――いろんなミュージシャンと交流も増えたんじゃないですか?

tofubeats
いや、そもそも神戸にいるのでそれほどでもないんですよ。「きゃりーぱみゅぱみゅと仲良いんですか?」とか言われたりするんですけど、そんなわけないだろう、と(笑)。「unBORDE Xmas」のイベントの日ですら5秒しか喋ってないですから。

――ははははは!

tofubeats
ただ、今は声を掛けやすくなったというのはありますね。これまではインディーで実績も無かったけれど、今はもうワーナーミュージックに所属していて、名前を知っている人も多くなって。前よりも声を掛けやすくはなりました。

「この人とはもしかしたら趣味が合うかもしれない」

――では、今回のEP『ディスコの神様』について。表題曲は藤井隆さんをフィーチャーしているわけですが、この人選は?

tofubeats
藤井さんに関しては、そもそもメジャーに行く前からずっと呼びたかったんですよ。もう、それに尽きるんです。それまでも藤井隆さんは普通にファンだったんですけれど、去年に松田聖子さんが作詞・作曲・プロデュースをした『She is my new town』というシングルをリリースしていて、それが決定的でしたね。

――あれはすごくいい曲でしたよね。

tofubeats
あれがもう、衝撃的だったんですよ。ビデオから曲からアートワークから、もう最高で。去年に出たJ-POPの曲の中でもダントツに好きでしたね。しかも、「ニュータウン」という言葉を歌詞に入れてくれというのは藤井さんからの要望だったということを知って。それから藤井隆さんのインタビューとか著作を読んで、「この人が思っているニュータウンというのは自分がやりたいと思っているニュータウンの感じに近いのでは?」と思って。そこでやっと今回タイミングが合って、実現した感じですね。

――なるほど。そういうところからも、一緒にやりたいとずっと思っていた。

tofubeats
僕も神戸のニュータウンですけど、あの人は大阪の千里ニュータウン出身なんですよね。そういうのもあったし、あの人の趣味を探っていったりして「この人とはもしかしたら趣味が合うかもしれない」と思っていて。

――趣味が合うというのはどういう部分で?

tofubeats
あの人、まだ芸人としてデビューする前の高校生のときに、ジョディ・ワトレーの追っかけをしていたらしいんですよ。その話もすごくいいですよね。ニュータウンに住んでいて、同級生と趣味が合わない音楽をずっと一人で好きで。そういう感覚に何か通じるものを感じて。あと好きな音楽にも通じる感じがあって。

――実は藤井隆さんって、キリンジの堀込高樹さんだったり、そうそうたる面々が曲を提供してますよね。

tofubeats
そうそう! 松本隆・筒美京平コンビもやってるんですよね。 しかもその人選が本人の趣味だったという。そこも大きいです。コラボレーションをやるからには本当に音楽が好きな人とやりたいし、好きな音楽が遠くない人とやりたい。そういう当然な欲求があって。あとは芸人であるということも大きいんですよ。やっぱり芸人がやる音楽が好きなんで。

――“水星”もKOJI1200の“ブロウ ヤ マインド”をサンプリングしてますよね。芸人がやる音楽の、どういうところが好きなんですか?

tofubeats
たとえばGEISHA GIRLSって、坂本龍一とテイ・トウワが曲を作って、ダウンタウンをニューヨークにつれていって、面白半分でレコーディングして、ロケして、ニューヨークでライヴして「ガハハ!」って笑ってるようなものじゃないですか。そういうのって、景気よくないと無理な話ですよね。芸人が音楽をやるのって、景気がいいんですよ。ディスコが好きなのも、そういうところと繋がってるんじゃないかと思う。

――なるほど!

tofubeats
そういう時代に憧れがあるのかなと、何となく思います。それに加えて、藤井隆さんは自分がやってきたニュータウン的な感覚みたいなものも持っているわけで。適任でした。

tofubeats

1990年生まれ、神戸市で活動を続けるトラックメイカー/DJ。
学生時代からインターネットで活動を行い、YUKI、ももいろクローバー、Flo Rida、Para One等、ジャンルを問わず様々なアーティストのリミックスを手掛ける。プロデューサーとしてもlyrical school、9nine、Negicco、でんぱ組inc.といったアイドルやアーティストに楽曲提供をしており、SONY、SEGA、SHIPSなどTVCMやwebCMの音楽制作等も多数。
ソロアーティストとしてはスマッシュヒットした「水星 feat.オノマトペ大臣」を収録したアルバム「lost decade」を2013年にリリース。全曲フル試聴などの施策で話題を呼ぶ。過去の外部仕事をまとめたワークス集2枚も同時発売。
同年秋にはWARNER MUSIC JAPANのレーベルunBORDEからメジャーデビューが決定し、森高千里、の子(神聖かまってちゃん)をゲストに迎えて「Don't Stop The Music」をリリース。これらの一連の 流れが評価され、iTunes Best of 2013に選出された。
制作だけではなくDJとしても多くの現場をこなし、高校時代のWIRE08出演を皮切りに、2013年末にはCOUNTDOWN JAPANにも出演を果たす。また数誌でコラムの連載も行っており、各方面で精力的に活動中。

http://www.tofubeats.com/


2ndEP『ディスコの神様』

2014年04月30日発売
初回限定盤:WPZL-30807/8 / 2,000円+税
通常盤:WPCL-11708 / 1,500円+税

■収録曲
Disc-1
1. ディスコの神様 feat.藤井隆
2. Her Favorite feat.okadada
3. 衣替え
4. HANERO
5. ディスコの神様 feat.藤井隆(tofubeats remix)
6. ディスコの神様 feat.藤井隆(Carpainter remix)
7. ディスコの神様 feat.藤井隆(Instrumental)
8. Her Favorite feat.okadada(Instrumental)
9. 衣替え(Instrumental)

Disc-2
1. ディスコの神様 feat.藤井隆(カセットver.)
2. ディスコの神様 feat.藤井隆(カセットremix ver.)

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