NEXUS アーティスト・インタヴュー:THE BACK HORN

メンバーで福島出身者が2人いたり、ドラムの松田が震災チャリティバンド猪苗代湖ズのメンバーだったりする中で、去年の3月11日以降のロックが鳴らすべき世界を待望されていたTHE BACK HORN。その中で完成したアルバム『リヴスコール』は、彼らのシリアスなメッセージと、音楽的な自由さの両方が遺憾なく発揮された作品となった。ハードコアとも言えるほどの激情の限りを尽くして叫び鳴らす歌と音。無垢なままでバンド人生を育み続けている4人の絆。それらが奇跡的な瞬間を描き出すTHE BACK HORN 特有のマジックは、このアルバムの中で極まっている。
今、ロックが鳴らすべきものが何なのか? 伝えるべきものは何なのか? それを音楽としてどう鳴らすべきなのか? すべての生々しい確かなる答え、それが『リヴスコール』だ。

取材・文=鹿野 淳 構成=柴 那典

俺らは音楽の力を信じるし、人間の底力を信じる

――素晴らしいアルバムでした。変化作でもあるし、いろんな意味で潔いアルバムだと思うし、何というか、力そのものという感じがしました。まずは一人ひとり、このアルバムができた感触から聞かせてもらえますか。

松田
力そのものというのは、本当にそうですね。震災が起きて、自分達が次のアルバムでどう変化すべきかとか、それまでやってきた地続きの中にあるものが、一回全て遮断されて。それで、東北にライヴに行ったり、スタジオから配信したり、そういうことをしながら曲を作ってきたので。そこで感じたものを閉じ込めようというところだけに向かっていた。まずは4人の意志とか力が伝わればいいな、という。それがTHE BACK HORNの新しい扉になっていけばいいなという願いを込めたアルバムだと思ってます。
菅波
震災があってから、4人の思いはひとつなんです。音楽で、聴いてくれてた人の力になりたいという。そこが統一されている。俺らは音楽の力を信じるし、人間の底力を信じる。そこをメッセージとして強く出せていると思うし。あと、単純に自分として嬉しいのは、それだけじゃなくて、そこで音楽的にもめちゃめちゃ快感度が高いものを作ろうというところまで行けた。聴いていて気持ちいいし、アガるという。
山田
それぞれが曲を持ってきて。みんなが共通に持っているはずの思いとか願いを軸にして曲を作っていけた。思いがギュッと固まった、気持ちからこぼれたようなアルバムができたということは、今はすごく嬉しいですね。
岡峰
最初に曲ができた時には、とりとめがないなって思ってたんですよ。バラバラで、アルバムのイメージが湧かないくらいのいろんな要素が出てきていたんで。そこから、(菅波)栄純が、「見えかけているから、いける曲を精査して進んでいこう」と言って、そこからアルバム像が見えてきて。で、まとまるんじゃないかと思い始めたときに、「もうちょっと出しきりたい」ということになって。そこから “シンフォニア”も“ミュージック”もできた。そこで、アルバムとしてちゃんとまとまったというのを実感しました。

――震災が起こってから初めてのアルバムであることも含めて、抱えてきたこととか、これからのために歌いたいこととか、やりたいことはキリがなかったと思うんですよ。逆に言うと、その中でよくこの13曲にまとめたなという感じはするんですけど。その辺は苦労したんですか?

松田
そうですね。でも逆に、自分たちの中では13曲って、ヴォリュームが多い感じはあって。今までみたいな客観的な見方だったら、もうちょっとわかりやすさを考えて、絞ったり何を残していこうかを考えていたかもしれない。でも今回は、まずこの13曲に思いとパワーがあるということを信じることの方を共有したんですよ。だから、絞った感もあるけど、この13曲じゃないとダメだったのかなっていうのも、今となって思います。

――最初に松田くんが話してくれたように、今までのTHE BACK HORNの流れとか歴史の中でできたアルバムじゃなくて、まっさらな、今の僕らの目の前の景色との関係からのアルバムになったわけですよね。そうしようというのは、全員が思っていたことだった?

菅波
そうですね。THE BACK HORNらしいかどうかは、毎回アルバム作るごとに話したし、意識してたんだけど、今回はいらねえなって。それだけは話したんです。震災があって、自分達がやるべきことがすごくシンプルなことだってわかったし。4人の向いている方向が一緒だと思ったから。特に今回は“世界中に花束を”という曲に教えられたことが大きかったです。あの曲は震災以前にあったマツ(松田)の歌詞と(山田)将司のメロから作った曲で。結果的に普遍的な曲になったけれど、最初にマツがこの歌詞を書いたときには、もちろん震災は起きてなかった。自分の内側に向けて書いたものだったんですよね。個人の思いが普遍的になるということを、俺はこの曲に教えられたんですよ。だから、面倒くさいことを考えないで、自分たちが聴きたい音、グッとくる言葉とかメロディに、本気で向き合えばいいのかなって。だから、今回のアルバムって、歌詞もメロディも、それぞれが感じていることをガチで書こうぜという感じだった。それでできたものが、最終的にめちゃくちゃTHE BACK HORNっぽいなって思ったし、自分たちをコピペしてるような感じじゃなくて、有機的な音楽になってると思った。

光を描きたいがために、闇のところから丁寧に表現していた時もあった

――松田くんにとって“世界中に花束を”という曲は、どういう気持ちで書いた曲だったんでしょうか? 自分がもっと表現者として強く生きたいという、自分の中の孤独も受け入れて、もっと開いていきたいというような気持ちだった?

松田
書いた時は、そうですね。いろいろなことを想像したんですけれど、まず、原因のわからない争い、みんなが幸せになろうと思っているはずなのに生まれる争いって、普通におかしいなって思ったんですよ。誰もが他人のことを嫌いで「どうにかなってしまえ」って思っているわけではなくて、一人一人の生き方を目指しているだけなのに。そう考えた時に、自分の無力感とかもやもやしたものを引き連れていくからこそ、そういうものが起きてしまうんじゃないかと思って。ひとつひとつそれにさよならを告げて、そこに向きあう瞬間があって、次からまた始まるという、その繰り返しで生きていくことができるなら、ひょっとしたらそういう巨大な渦もなくなるのかなって。そういう歌詞だったんです。でも、そこに、震災があまりにも巨大なものとしてリンクしてきた。最初はビビる気持ちもあったんです。《世界中に》とか《今日だけの悲しみにさよならを告げるよ》みたいな、ぶっきらぼうな言葉はどうなんだろうか?とか思って。でも、他のメンバーにはこのタイトルでいくべきだし、この歌詞で全然大丈夫だと言われた。俺たちの曲はその瞬間に響かせるものでもあるけれど、時代が変わっていろんなことが動いていくなかでも、この曲はいろんな意味を持っていくと思うって。そう感じたときに、これを信じて、出していいはずだって思いました。

THE BACK HORN

岡峰光舟:Bass
山田将司:Vocal
菅波栄純:Guitar
松田晋二:Drums

1998年結成。2001年シングル「サニー」をメジャーリリース。近年のロックフェスティバルでは欠かせないライブバンドとしての地位を確立し、スペインや台湾ロックフェスティバルへの参加を皮切りに10数カ国で作品をリリースし海外にも進出。
 黒沢清監督映画『アカルイミライ』主題歌“未来”をはじめ、紀里谷和明監督映画『CASSHERN』挿入歌“レクイエム”、MBS・TBS系『機動戦士ガンダム00』主題歌“罠”、2010年8月には、30年振りの新作ガンダム映画の主題歌を務めるなど、そのオリジナリティー溢れる楽曲の世界観から映像作品/クリエーターとのコラボレーションも多数。
 2011年3月に緊急配信した楽曲“世界中に花束を”は、福島、茨城県出身のメンバーを含むTHE BACK HORNが“自分達に出来ること”を模索する中で出来上がり、楽曲の収益金全額は震災復興の義援金として寄付されている。12月には、“裏ベスト”LIVE DVD『マニアックヘブン ベストセレクション』をリリース。
 2012年3月7日には、激動の2011年精力的に行ってきた楽曲制作の中から生まれ出た渾身の楽曲“シリウス”を、6月6日に9thアルバム『リヴスコール』をリリース。

http://thebackhorn.com/

リヴスコール Special Site


New Album

New Album『リヴスコール』
2012年6月6日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)VIZL-474 ¥3,500(税込)
通常盤(CD)VICL-63876 ¥2,800(税込)

[収録曲]
01. トロイメライ
02. シリウス(20th single)
03. シンフォニア
04. グレイゾーン
05. いつものドアを
06. 風の詩
07. 星降る夜のビート
08. 超常現象
09. 反撃の世代
10. 自由
11. 世界中に花束を
12. ラピスラズリ
13. ミュージック


【ライヴ情報】
「KYO-MEIツアー」〜リヴスコール〜
9月07日(金) 東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
9月11日(火) 鳥取・米子AZTiC laughs
9月12日(水) 岡山・岡山PEPPER LAND
9月14日(金) 鹿児島・鹿児島CAPARVO HALL
9月16日(日) 熊本・熊本Django
9月17日(月) 大分・大分CLUB SPOT
9月25日(火) 山梨・甲府CONVICTION
9月27日(木) 京都・京都磔磔
9月29日(土) 石川・金沢EIGHT HALL
9月30日(日) 富山・富山MAIRO
10月04日(木) 青森・青森Quarter
10月08日(月) 北海道・小樽GOLD STONE
10月10日(水) 北海道・釧路clubGREEN
10月12日(金) 岩手・盛岡CLUB CHANGE WAVE
10月13日(土) 福島・郡山HIP SHOT JAPAN
10月18日(木) 福島・いわきclub SONIC
10月20日(土) 新潟・新潟LOTS
10月21日(日) 長野・長野CLUB JUNK BOX
11月02日(金) 愛知.・Zepp Nagoya
11月08日(木) 香川・高松DIME
11月10日(土) 愛媛・松山SALON KITTY
11月11日(日) 高知・高知X-pt.
11月15日(木) 兵庫・神戸VARIT.
11月17日(土) 広島・広島クラブクアトロ
11月18日(日) 福岡県・Zepp Fukuoka
11月23日(金) 北海道・旭川CASINO DRIVE
11月24日(土) 北海道・Zepp Sapporo
11月30日(金) 静岡・浜松窓枠
12月02日(日) 大阪・Zepp Namba(OSAKA)
12.月08日(土) 台湾・The WALL LIVE HOUSE
12月12日(水) 宮城・仙台Rensa
12月15日(土) 韓国・ROLLING HALL
12月19日(水) 茨城・水戸LIGHT HOUSE
12月23日(日) 沖縄・沖縄桜坂セントラル
1月06日(日) 東京・日本武道館







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