NEXUS アーティスト・インタヴュー:スキップカウズ「やればやるほどバカになっていく。その方がいいんです」――祝25周年! イマヤスが語る「続けてきた強さ」の正体

結成25周年を迎えたスキップカウズが、12枚目のアルバム『フルムーン』をリリースした。

やるせなくて、骨太で、そしてグッドメロディな10曲が収められた一枚。そこには25年ずっと同じ4人組でバンドを続けてきた彼らならではの、無類の説得力が宿っている。痛快なロックンロールに、エモくて熱いソウルフルな日本語ロック。軸にある音楽性はずっと変わらない。でもそこにはどんどん「重み」と「強さ」が備わっている感じがする。

バンドの信念をイマヤスに語ってもらった。

取材・文=柴那典

若い頃から、長くやってる人って強いなと思ってた

――たしか、前にインタヴューでお会いしたのが13年前なんですよ。

イマヤス
覚えてますよ。『ザ・グレート・ハンティング』の頃だったよね。

――はい。2001年でした。その時にも、バンドを続ける覚悟みたいな話を聞いた気がするんですけど、今になってみたら、もう全然重みが違いますね。

イマヤス
確かに。あそこからだもんね。あそこから10年以上経っちゃったから。

――はい。まずはやっぱりそのことについてお話を聞ければと思うんです。結成25周年を迎えて、配信シングルを出して、今回のアルバムに繋がっていった、その流れの中で改めて、どういう感慨がありますか?

イマヤス
長年やってるから、新しい作品を出すっていう大変さもすごくわかってるんですよ。新しいものが無事に出て、パッケージにできるっていうだけで、もうホッとしてますよね。自分の一番やらなきゃいけないことが一番大変な状況だから。そこについては本当にホッとしてますね。たぶん俺、十何年前も同じことを言ってたと思うんだけど、それが今にちゃんと繋がって、有言実行でできている。それは良かったなって、今改めて思います。

――有言実行できている、というのを改めて言葉にしていただくと?

イマヤス
それはもう「バンドを続けていく」っていうことですね。昔から、継続することが一番難しいだろうと思ってたんです。それは理屈じゃないから。いろんなことが起きるし、上手くいかない時期だってあるかもしれないし、見てる方向が違うようなことだってある。それでも続けてこれたっていう。

――本当にそうですよね。

イマヤス
若い頃から、長くやってる人って強いなと思ってたんですよ。パッとライヴを見に行った時でも、実際に見ると一発目に出した音が違うんだよね。ペラペラの音じゃない。「♪ダカダン!」って一発の音を出すだけでも、そこに何かバンドの重みみたいなものを感じさせるバンドを見てきて、そういう風になりたいなって思ってたし。若い頃に自分が好きだったものに、自分が近づければいいなっていう。

――いや、アルバムを聴かせていただいたんですけど、まさにそういう音の良さ、理屈じゃうまく説明できない熟成感みたいなものがすごくあるなと思いました。

イマヤス
ありがとうございます。だから、音楽っていうのは多分、頭が悪い行為なんだよね。言葉でうまいこと説明できる人もいるし、上手なことを言う人もいると思うんだけど、あんまりそういうことではなくて。やればやるほどバカになっていく、みたいな世界なんですよ。その方がいいんです。自分たちも若い頃の方が理屈っぽく考えちゃってたんだけど、今の方がバカなんですよね。そこは、バンドが続いたおかげでもらったご褒美みたいなものかもしれない。意味のないポジティヴ感があったり、いい意味で呑気になってたりしてね。

――なるほど。20代から30代そこそこの時には、頭が悪い方がいいなんて、あんまり思えないですよね。

イマヤス
思えないですね。ちょっと尖ってるし、理屈っぽいしね。もう今は全然(笑)。最近、若い子とかに相談されたりする立場になるんですよ、やっぱり、歳も歳だし、バンドが続いてるから。「うちのバンドどうしましょう?」って。「うーん」ってなるんだけど。でも、答える言葉が本当に単純になってくるんだよね。良いなら良いし、悪いなら悪いし。「で、好きなの嫌いなの?」みたいな。本当に、イエス・ノーで答えさせようとする。もう、そういう風になってきちゃってるんですよね。だから、どんどん頭が悪くなってる(笑)。本当に格好いいことをやっているバンドは「続ける方がいいと思うよ」で終わっちゃう、みたいな。

――なるほど。そこも有限実行ですね。言ってることを自分でやってるわけで。それが説得力になっている。

イマヤス
そうかもしれないですね。うん。

「スキップカウズらしさ」をぶっ壊せる人が杉本恭一さんだった

――アルバムでは、いくつかの曲でプロデューサーに杉本恭一さんを迎えているわけですけれども。一緒にやろうというのはどういうところから?

イマヤス
5年くらい前からちょこちょこ一緒に飲む機会があって。で、その度に、もともとレピッシュのファンだったり恭一さんの今のバンドのファンだったりしたので、見に行ったりとかして、その度に打ち上げでうざい感じになってたと思うんですよ、後輩として。「あの曲がこうでああで」「あそこの部分がかっこよくて」みたいな。もうね、本当に大先輩に申し訳ないんですけど。で、昔の思い出話も含めて話していて、そんな中で「一度でいいからスキップカウズのプロデュースやってくれないですかね?」みたいな話をずーっとしてたんです。で、今回、それが満を持してやっと実現したという。

――どうでしたか、一緒にやってみての感触は?

イマヤス
いや、やっぱり、期待を裏切らない人だなっていう感じです。恭一さんってものすごくちゃんとしているんですよ。音楽が本当に好きな人なんで、何もかも追求してどんどんアレンジをしていく人だという。でも、俺達は25年やってきてスキップカウズらしさみたいなものが完全に出来上がってるわけで。それを今ぶっ壊せる人は誰だろうと思った時に恭一さんだった。だから恭一さんにも、「壊してください」って言ったのね。「今までのスキップカウズを壊してください」っていう話をしたら、「わかった」と。恭一さんが遠藤くんの曲を分析した時に、「あいつはドレミファがきちっとしている。だからそのドレミファを1回ぶっ壊すべきだ」と行って。それがものすごく的確だった。なるほどって思いましたね。

――“余計なお世話”のプロデュースも恭一さんですよね。

イマヤス
そうですね。

――これは、25年やってきたならではの奔放さというか。「あ、こういうやり方してもいいんだ」みたいなアプローチになっている。

イマヤス
ですね。恭一さんが「これめちゃくちゃかな」っていうようなことでも振ってきてくれるんですよ。それに対してこっちでそれを演奏してやってみると、意外とハマっちゃう。自分たちがあんまりやらないアプローチだけど、全然できる。だから恭一さんもすごく褒めてくれたのは、「楽だ」と。言ったことをすぐできるから、「早くていいね」って。

――改めて楽曲面での「スキップカウズらしさ」というのものって、どういうところに象徴されるものだと思います?

イマヤス
うちのリーダーのギターの遠藤くんって、全てを100パーセントにしたい人なんですよ。普通のセオリーって、AメロがあってBメロがあってサビがドーンと来てたら、Bが下がっていてもいいとか、いろんな方法論があると思うんです。Bだけどあの人は、Aメロから全部よくないと嫌だって言う。全部を追究したいっていう、そのメロディに対する貪欲な感じがスキップカウズの味なんじゃないかなと。だから、メロディをぶっ壊さないで、他の部分でぶっ壊していくっていう方法論をやっぱり恭一さんも取っていると思うんですよね。

何回も出汁とってるみたいなね(笑)

――スキップカウズって詞先で作ってるんですよね?

イマヤス
そうなんです。詞先なんですよ、いまだに。

――これはもう、ずーっと?

イマヤス
そう。今みたいに情報がないから、最初はやり方が分かんなかったんですよ。バンドの8割9割が曲先だって全然知らなくて、みんな歌詞を先に書いてると思ってた。まず歌詞を書いて、そこから曲ができるものだと思ってたから、逆にバンド以外だと曲先とかで歌詞書いたりもするんですけど、あれは今でも難しいですね。ピンと来ねえっていうか。

――これは、今言ってた「らしさ」のところにもあると思うんですよね。っていうのは、最初から迷わず「そういうもんだ」と思ってやり続けているっていう。しかもそれが25年続いている。つまり、イマヤスさんとしても、メロディや曲調を意識せず歌詞を「書く」ということが根付いている。

イマヤス
根付いちゃってますね。その方が楽なんだよね。書くぞって決めたりとか、後は普段メモしてたりとか。それで、書くって決めた時にバババって書くんですけどね。逆に、曲を決められちゃうと何か狭っ苦しいというか、ちょっと嫌な感じというか。

――遠藤さんの方も、歌詞を受け取って曲を書く感じでずっとやってきている。

イマヤス
そうですね。だから皆に「何でそういうやり方なんですか?」って言われるんだけど。「いやあ、昔からの癖だよね」って言うしかない実は二度手間なんですよ。最初に歌詞を書いて遠藤くんに渡すでしょ。これも、全部が曲になるわけじゃないので。あの人に選択を任せちゃう。で、上がってきたもので「ああ、できたんだ」ってなって、ワンコーラスが上がってきた時にデモか何かもらって、そのワンコーラスを聴いて「今度はアレンジしよう」って言ってアレンジするじゃないですか。そしたらもう一回頭からもう一度考えて、その歌詞をまた増やしていく。だから、二度手間三度手間っちゃそうなんですけどね。でも、それじゃないと変な感じがするっていうか。

――なるほど。料理に喩えると、老舗の店の「こうじゃないと味が出ないんだよね」みたいなやりかた(笑)。

イマヤス
うん。何回も出汁とってるみたいなね(笑)。

――そうそう、秘伝のタレみたいな。

イマヤス
確かに。継ぎ足し継ぎ足しみたいな。確かにあるかもしれない、それは。

スキップカウズ

類いまれな才能を持ったフロントマン イマヤスを筆頭に結成 20年、デビューより17年を向かえた今もライブハウスシーンを暴れ回るスキップカウズ。ハッピーでアッパーでグルービーなステージング、会場内を練り歩き強制的にスキンシップを求める。心の奥底にある当たり前な、でも照れくさくてなかなか言えない男の女々しさ情けなさを高らかに歌い上げる。そんなステージが出来るのも実は卓越した技術を持っているバンドあってのもの。エンターテイメント性と高い音楽性、ポップでありながら実はマニアックでオルタナな面も持つ。そして何より打ち上げのダメさも含めブレなく突き進むスキップカウズ

オフィシャルサイト


12th ALBUM『フルムーン』

2014年10月8日(水)発売
LDRT-014 / 2,000円(税抜)

[ 収録楽曲 ]
01. 下北沢にて DEMO 始
02. 僕は今更しなくていい途方に暮れる
03. さかあがり
04. 想い出ガソリン
05. 冬の怪獣
06. バンド☆エイド
07. 余計なお世話
08. 眠る君のあしもとで
09. むきだしの心臓
10. 下北沢にて DEMO 終

全曲作詞・今泉泰幸 / 作曲・遠藤肇
プロデュース:M2、M5、M7=杉本恭一(レピッシュ)
ゲストギタリスト:M3=手島いさむ(ユニコーン・電大)
コーラス:M7=杉本恭一、M6=石田ショーキチ、M6=姫乃たま

・インストアイベント
日時:10月26日(日) 15:00スタート
場所:タワーレコード津田沼店 店内イベントスペース

日時:11月8日(土) 15:00スタート
場所:タワーレコード渋谷店 3Fイベントスペース
イベント内容:アコースティック・ミニライヴ&過剰スキンシップ大会

参加方法:
ご予約者優先で「フルムーン」(LDRT14)を1枚ご購入につき“過剰スキンシップ大会券”1枚を先着順で差し上げます。“過剰スキンシップ大会券”をお持ちの方は、ミニライブ終了後に行う“過剰スキンシップ大会にご参加いただけます。
【対象店舗】
タワー渋谷店開催イベント:渋谷店 / 新宿店
タワー津田沼店開催イベント:津田沼店 / 千葉店 / 柏店 / アリオモール蘇我店 / ららぽーとTOKYO-BAY店 / TOWER mini西武船橋店

TOUR INFORMATION

スキップカウズ
「フルムーン」リリースツアー
うし満月〜25年目のフルムーン〜

11月16日(日) 高円寺HIGH
出演:杉本恭一、サクラメリーメン

11月21日(金) 仙台LIVE HOUSE enn 3rd
出演:杉本恭一

11月23日(日) 青森クオーター
出演:杉本恭一

12月06日(土) 名古屋ell SIZE
出演:CURIO、他

12月07日(日) 大阪AtlantQus
出演:CURIO、森山公一 the sokai

12月13日(土) 渋谷O-Nest
出演:CURIO


NEXUS | スキップカウズ 12thアルバム フルムーン堂々完成!

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