NEXUS アーティスト・インタヴュー:佐藤タイジ 「自由って、頑張って守らないといつの間にか奪われたりするものなんだよ」――佐藤タイジが語る音楽、ロックフェス、エネルギー、そして未来

9月27日、28日に開催される、ソーラー電気のみを用いた野外フェス「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014」。初開催の昨年から、2年目となる今年は趣旨に賛同したアーティストが集まり、さらに豪華なラインナップが実現した。その主催者である佐藤タイジへのインタヴューが、この記事だ。

7月には全て太陽光による電力でレコーディングされたシアターブルックのシングル『もう一度世界を変えるのさ』をリリース。そして9月3日には、佐藤タイジ、うつみようこ、高野哲によるバンド「インディーズ電力」のファーストアルバム『はじめての感電』もリリースされている。今夏のフェスには、シアターブルックとして、また加山雄三率いるバンドTHE King ALL STARSの一員としてなど、様々な形でステージに立ってきた。

精力的に活動を繰り広げる佐藤タイジに、その信条を尋ねた。

取材・文=柴那典

「じゃあやろう」と二つ返事でOKした。それで始まったんだよね

――今日は「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014」の話、インディーズ電力の話、フェスの話、いろいろ訊ければと思ってます。よろしくお願いします。

佐藤
うん。よろしくっす。

――まず、2012年の年末に武道館で「THE SOLAR BUDOKAN」を終えて、そこから中津川で開催するようになった経緯を教えてもらっていいでしょうか?

佐藤
まず武道館をやるにあたって、最初の段階で、パネルや蓄電池を使わせてもらわないとできないっていうところで、いろんな会社に連絡をしたんですね。でも、いわゆる大企業だと門前払いされたりすることもあって。もしくは「面白いからウチ1社でやらせてくれ」とかいう話もあって。ただ、俺が思い描いていたのは、いろんな会社、いろんなやつが一杯いる景色だったんですよ。俺の勝手なイメージなんですけど、スター・ウォーズのジェダイ率いる連合軍みたいなものをイメージしてたわけですよね。

――独占じゃなくて。

佐藤
そう。どこかの独占じゃなくて。そしたら、「じゃないとうちはおいしくない」って言われたりして。「うわあ、大変だな」と思ってたら、うちのホームページから飛び込みで、協力させてくれっていう企業が現れた。知らない企業だったんだけど、電池パネルのあてがなかったんで、「もう、これちょっと会いに行ってみようぜ」ということになったわけ。名古屋に営業所があったんだけど、それが立派な会社で、CDも並べてあって、「あれ、ここはひょっとしたら音楽好きなのかな」みたいに思って。で、色々話していたら「じゃあ、やりましょう」ということになって、それが中津川に本社のある中央物産っていう会社だったんですよ。で、そこが電池を提供してくれることが決まったら、大阪とか京都の会社も集まってくれた。

――それで武道館の電気をまかなうことができた。

佐藤
うん。ただ、武道館の時はやっぱりドタバタだったから、各社の電池を繋ぐ時に、アウトプットの形状が違うのを線を切って繋いだりして、荒療治をやってたりしたわけですよ。ただ、あれをやりきったのはやっぱり大きかった。ざっくり言うと、いわゆる中小のエネルギー系の会社の横の繋がりができたんだよね。ソーラー武道館のバッテリーチームみたいなものができたわけ。で、打ち上げをしてたときに、中央物産が「ぜひ中津川で野外やりましょうよ」って言って。彼らはできると言うし、「じゃあやろう」と二つ返事でOKした。それで始まったんだよね。

――1回限りの武道館で終わるっていうよりも、継続してやっていこうと。

佐藤
うん。断る理由もないし、「じゃあやろう、次は野外だ」って言って。武道館やって中津川の野外フェスまで、9ヶ月くらいでやってるんですよね。あのあたりはすごい勢いだった。

ソーラーを使うとあからさまに綺麗な音が出るんだよ

――最近、他のミュージシャンからも「太陽光の電気は音がいい」という話を聞くようになりました。

佐藤
ですよね。実際音良いですから。今年もライジング・サンのボヘミアン・ステージは太陽光でやったんですけど、すげぇ音が良くなってた。音の良さって、数値化できないから難しいんだけど、それでもソーラーを使うとあからさまに綺麗な音が出るんだよ。で、面白い話をエンジニアの藤田くん(藤田晃司氏)が言ってたんだけど、まっさらの空の電池に、一方はコンセントから充電する。で、一方はソーラーで充電する。その二つをPAで鳴らしてみて、比べてみた。そしたらソーラーの方が音が良いらしいんだよ。もうそうなってくると、ワケがわからんのだけど。

――理屈でどうやって説明したらいいのか悩みますね。

佐藤
もう説明つかないけど、あからさまに違うんだって。「なんだこれ!」って。

――ライヴだけじゃなくて。レコーディングでも音質は違うんでしょうか。

佐藤
こないだやりましたよ。すごい良いですよ。特に、ちょっと古い機材の入っているマニアックなスタジオでレコーディングすると明らかに違う。シアターブルックの“もう一度世界を変えるのさ”っていう曲なんだけど、「100%ソーラーでやるぞ」って言って、ユーザーの方にファンディングで協力していただいてレコーディングしたんです。スタジオに、巨大なバッテリーを10台くらいずらーって並べて。しかも、今回はアナログテープに録音したんですよ。そういう昔の機材は電気を食うわけ。でも、おかげでやっぱり断然音が良い。レコーディングスタジオ業界がそっちに乗り出していくと、面白いことになると思うよね。ソーラースタジオに電源を供給する発電所みたいなのが民間で必要になってくるし、それをやるんだったら我々チームでしょっていう感じにもなってくる。再生エネルギーだけの電力会社が可能になる。最初は音楽からね。

――実用的なメリットがあると。

佐藤
うん。そういう形になってきたら、日本のエネルギーの未来の形が一つできるし。そっちに乗り出せるだけの理由がありますからね。

インディーズ電力の作品には、ここでしか言えないような言葉が詰まってる

――そして、先日にはインディーズ電力のファーストアルバム『はじめての感電』もリリースされました。これは、長い時間をかけてようやく完成した一枚ですね。

佐藤
そうですね。インディーズ電力も替え歌から始まってますから。今回やっとアルバムをリリースできることになって。これはレコーディングを3日間で録って、一日だけソーラー蓄電でやれたので、これは33.3%ソーラーレコーディングなんですけど。

――インディーズ電力はバンドとしてのコンセプトが非常にくっきりしてるわけですけれど、そこに忠実に曲が集まっていった。

佐藤
ということですよね。みんな、自分のバンドを持っているし、そのスタイルとかはそのままキープしているわけじゃないですか。で、ここはやっぱり今言わなくてはならないことを包み隠さず言おうと。ここで言いたいことは全部言いきろうという感じになってきているんですよね。だから、インディーズ電力の作品には、ここでしか言えないような言葉が詰まってるわけなんです。それは高野哲も、うつみようこも、そういうところがあるみたいで。

――もちろん、ミュージシャンとしても、今の時代を生きていたらそれなりにたくさんに言いたいこと、考えることはあるわけで。

佐藤
それをインディーズ電力では包み隠さない。そのまま出す。

――そういうアルバムになってると思います。

佐藤
だから、面白いものができたなとすごく思いますね。三者三様のプレイスタイルがあって、でもお互いの曲でお互いが協力してやっているので、アンサンブル的には本当に必要最低限だしすごくシンプルな感じなんだけど、すごく面白いものができたなと思う。

――音楽スタイルの部分はどういう風にして熟成していったんでしょうか?

佐藤
どうなんだろう。でも、ずっとライヴを重ねている中で、だんだんこのバンドでの自分のスタイルみたいなのは完成しつつありますね。

――基本的にはパワフルなロックですよね。アコースティックだけどしっとりしてるわけじゃない。

佐藤
そうですね。

――そのスタイルが歌詞の内容ともリンクしている。それもすごく音楽的に面白いところだと思います。

佐藤
音楽的には面白くなってますよね。それは俺も、今の時代のすごくリアルな作品だと思います。こういうバンドがいていいし、俺はだいぶ面白いものができたぞと思う。メディアが扱いにくいやつだとは思うんですよね。でも、これをちゃんと扱わないとメディアとは言えねえぞと思うわけ。

――あと、曲でも「BIG HIT」とか、すごく正直ですよね(笑)。「ビッグヒットが必要」っていう。

佐藤
そうなんです。我々には必要なんです。これはもう、俺が仲良くしているミュージシャンの中では合言葉のようになってます。「ビッグヒットを出さねえとな」って。別に誰が出したっていいんですよ。誰かが行ったらそれにみんなで乗っかる、で、うわーっと行く。そういう状況がほしいんですよね。

佐藤タイジ
(シアターブルック/ インディーズ電力/ TAIJI at THE BONNET /The Sunpaulo)

圧倒的なカリスマ性と独自の感性を持ったギターサウンドでシアターブルックのサウンドを牽引し、作詞・作曲を担当。またJAM系、ダンスミュージックを主体とした別ユニット=The SunPaulo (メンバーは佐藤タイジと森俊之)の活動も行っている。自らをROCK STARと名乗り数多くのFesやLIVEを湧かし続けてきた。

2011年3月11日震災以降、LIVE FOR NIPPONという復興支援イベントをほぼ毎月開催し、脱原発を推進するTAIJI at THE BONNET、インディーズ電力という2つのバンドを始動させた。

ソーラーの力だけで武道館でライブをするという目標を掲げ、2012年12月20日THE SOLAR BUDOKANを開催し100%ソーラーの力だけでロックコンサートを成功させた。
そして2013年にはさらに大規模な野外フェスを100%ソーラーの電気だけで行うという目標をかかげ中津川THE SOLAR BUDOKANという名称で開催し、大成功をおさめた。

日本の将来に必要な希望を絶滅危惧種ロックスターが音楽を通じて戦っているのである。

オフィシャルサイト


■ シアターブルック
『もう一度世界を変えるのさ』

2014年7月11日発売
SOL-001

【収録曲】
01.もういちど世界を変えるのさ
02.もういちど世界を変えるのさ(アコースティックver.)

■ インディーズ電力
『はじめての感電』

2014年9月3日(水)発売
NLCI-1 / 3,000円(税込)

【収録曲】
01. 新製品プレゼン
02. ATOMIC WORLD
03. BIG HIT
04. 忘れても電力
05. MY ATOM LOVER
06. 明け方のYOU GOTTA KNOW
07. HIGH&LOW電力
08. PEACE&LOVEっぽい
09. オリジナル電力
10. レッツゴー電力
11. 風がふいて電力
12. 愛の電源

■LIVE INFORMATION

■中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014
日程:9月27日(土)・28日(日)
会場:岐阜県中津川市 中津川公園内 特設ステージ
出演
9月27日(土)
Char / Dachambo / 堂珍嘉邦 / Dragon Ash / DJダイノジ / FLiP / FLYING KIDS / GOMA&The Jungle Rhythm Section / the HIATUS / インディーズ電力 / THE MAN/森山威男 Presents SOLAR JAZZ SESSION feat. bird&堂珍嘉邦 / 仲井戸“CHABO”麗市 / RIZE / さかいゆう X 中津川JAM / SOIL&“PIMP”SESSIONS / 10-FEET

9月28日(日)
シアターブルック / ACIDMAN / a flood of circle / bird / Caravan / THE COLLECTORS / THE King ALL STARS(加山雄三/佐藤タイジ/名越由貴夫/古市コータロー/ウエノコウジ/武藤昭平/タブゾンビ/高野勲/山本健太) / 真心ブラザーズ / 蜜MY LIFE IS MY MESSAGE [ 矢井田瞳、おおはた雄一、山口洋(HEATWAVE)、仲井戸“CHABO”麗市] / NAMBA69 / SCOOBIE DO / SUGIZO / 東京スカパラダイスオーケストラ / TRICERATOPS / UA

9月27日(土)
〜Village Of Illusion〜
LIVE:うじきつよし / 岡野弘幹 / 高野哲 / marron+Izpon+eiji / 柳川タカシ+堀崎ヒロキ / 渡辺大知(黒猫チェルシー)
DJ:Kaoru Inoue / 社長(SOIL&“PIMP”SESSIONS) / 冷牟田竜之(THE MAN) / DJ 吉沢Dynamaite.jp / Dj LYN
DANCE SHOW:sdl caravan / KANAKO / 紫式舞
Lighting deco:SHINKI-LOW
(Village Of Illusionは、9月27日(土)の夜 行われるキャンパーズのためのスペシャルナイト。こちらへの入場は、27日1日券および2日通し券をお持ちのお客様のみが可能です。28日1日券では入場出来ません。)

9月27日(土)
Welcome Stage –Live-:
dmg(dusty mellow gold) / molls / ヤセイコレクティブ
9月27日(土) Welcome Stage –LIVE-:
The Cavemans / イーリャダスタルタルーガス / Maika Leboutet(マイカ・ルブテ)

チケット:
各日 入場券 8,500円(税込)
各日 場外駐車券 2,500円(税込)
2日通し 入場券 13,690円(いざロック!・税込)
※ チケットを持った保護者(20歳以上)1名の同伴につき、小学生(12歳)まで2名入場無料!

■THE SOLAR BUDOKAN 2014×Billboard JAPAN
中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014 アフターパーティー

日時:
10月6日(月)
1stステージ 開場 17:30 / 開演 19:00
2nd ステージ 開場 20:45 / 開演 21:30
会場:
ビルボードライブ東京
出演:
シアターブルック、タブゾンビ&元晴 from SOIL&“PIMP”SESSIONS、 bird、加藤ひさし From THE COLLECTORS、and more

■インディーズ電力「2014年 研修報告会」
日時:
10月10日(金) 開場18:30 開演19:30
場所:
下北沢440
料金:
前売 3,000円 / 当日 3,500円
※入場時、別途ドリンク代(600円)必要
チケット発売中

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