NEXUS アーティスト・インタヴュー:さかいゆう

「挽歌」とは、人の死を悼む歌。大切な存在を失った悲しみと、募る寂しさ、そして、そこから再びそこから歩み始めようとする力強さから生み出された歌だ。この曲も、そう。

シングル『君と僕の挽歌』をリリースした、シンガーソングライター・さかいゆう。昨年のアルバム『ONLY YU』では詞曲だけでなく全ての演奏とミックスを自ら手掛ける「一人多重録音」のスタイルで一枚の作品を作り上げるなど、その歌声に加え多彩なミュージシャンシップも高く評価されてきた。そんな彼が、はじめて自らの強い思いを放ったターニングポイントとなる楽曲が、この曲だ。

5月23日にはアルバム『How's it Going?』もリリース。新たな道を歩み始めた彼に、話を訊いた。

取材・文=柴那典

最初は、日記みたいな感じで書き始めたんです

――さかいさんにとっても、すごく大事な曲だと思います。これを形にする作業がどう始まったのかというところから、話を訊いていければと思うんですけど。まず、いつぐらいに作り始めた曲だったんですか?

さかい
これは去年ですね。去年の8月ぐらいかな。

――きっかけはありました?

さかい
去年の3月以降、曲を書いてなかったんです。曲はできるんですけど詞ができなくて。そこから初めて書いた曲ですね。普段から、日々の日常を歌詞にしてるもんで、地震が起こってから、それをどうやって書いていいかわかんなくなっちゃって。自分なりにちゃんと衝動がまとまるまで、ちょっと待とうかなと思って。で、思ったのは、人のことは歌えないですけど、自分のなかの悲しい出来事は歌えるということ。せっかくこういう時代に歌をやらせてもらってるんで、そういうことを歌おう、と。

――この曲は、古い友人に捧げた曲なんですよね。

さかい
そうですね。

――いつぐらいの友人なんでしょう?

さかい
高3の終わりぐらい、3月に亡くなった人で。最初は、日記みたいな感じで書き始めたんです。でも、あまりにも僕と彼にしかわかんないような言葉もあったりしたんで、そこから3回ぐらい書き直して、できた感じです。

――どういう方向に修正していった感じなんですか?

さかい
聴いて落ち込むような曲は書きたくないんで、元気になる曲にするよう、言葉とメロディを直した感じですね。でも、歌詞の≪How’s it going?≫っていう箇所が最初に出てきたんで、そこは残しました。そこだけ英語なんですけど、最初のインスピレーションはいつも大切にしてるんで。「調子はどんな感じですか?」「その後どうですか?」みたいな問いかけの曲にしようと思って。その結果、手紙っぽい感じになりましたね。

――これは僕自身の話なんですが、実は今年に学生時代の友人が亡くなったことがあったんです。親友と言えるほど仲が良かったわけじゃないけれど、去年もツイッターでやり取りをしたりもしていた相手で。だから、この曲はかなり自分に引き寄せて聴いてしまうところがあるんですけれど、そういうところから聴くと、≪How’s it going?≫って言葉は、すごくしっくりきます。

さかい
うん。僕も、彼に「頑張れ」と言わないけれど、「調子はどうですか?」っていうのは言えるから。そうやって受け取ってもらってもいいと思います。でも、この曲は……CDで出るけど、やっぱり個人的な曲なんですよね。僕は彼にむけて歌ってる。みんなに歌ってるわけじゃなくて。挽歌って、そういう曲ですからね。だから、でも聴くと、そういう経験を持っている人だったら、きっと……その全部には共感できなくても、どこかに共感できたりするかもしれない。そういう曲であったらいいなって思います。

――どういう存在だったんですか?

さかい
まあ、親友ですね。16、7から18ぐらいの多感な時期だったんで、ずいぶんいろんな話をしたし、今の僕の価値観の基準みたいになった年代だなと思います。だから今でも引きずってるというか、忘れられない感じはありますね。

何も言ってないのに、吸い寄せられるようにメッセージソングになる

――以前から、応募してくれたリスナーの中からその人のところに行って一対一で歌う「SONG FOR U」という企画をやられていましたよね。

さかい
そうですね。

――その体験と、どんな歌詞を書こうかっていうところと、リンクしていました?

さかい
そうですね。何をしたわけでもないんですけれど。どうしようかな?って思ったり。影ながらいろいろやりましたけど、でも、できることがあんまりないなぁって。 自分ができることは、やっぱり曲かなって思って。で、曲ができました。

――アルバム『How’s it going?』の制作にあたっても、この“君と僕の挽歌”という曲が核になる感じでした?

さかい
そうですね。アルバムは、間違いなくこの曲を中心に作っていきました。たとえシングルじゃなかったとしても、その曲が書けたから他の曲も書けるようになったと思うので。といっても、自分で歌詞を書いてるのは4曲ぐらいなんですけど。

さかいゆう

高知県出身。高校卒業後、18歳の時に突如音楽に目覚め、20歳で上京。22 歳の時、単身でLA に渡り独学でピアノを始める 唯一無二の歌声と、SOUL・R&B・JAZZ・ゴスペル・ROCKなど幅広い音楽的バックグラウンドをポップスへと昇華させる、オリジナリティ溢れるサウンドが魅力の注目のシンガーソングライター。

http://www.office-augusta.com/sakaiyu/


Single

Single 『君と僕の挽歌』
2012年4月25日(水)発売
[初回生産限定盤]
AUCL-77 / 1,365円(税込)
[通常盤]
AUCL-78 / 1,223円(税込)

[収録曲]
M1. 君と僕の挽歌
M2. 三日月ナイフ
M3. Lalalai〜幡多弁ver.〜
M4. 君と僕の挽歌 <backing track>


Album『How’s it going?』(ハウズ・イット・ゴーイング)
2012年5月23日(水)発売!
[初回生産限定盤 CD+DVD]
AUCL-80〜81 / 3,675円(税込)
[通常盤]
AUCL-82 / 3,059円(税込)

[収録曲]
M1. Intro
M2. Jammin’
[作詞:内田壮志/作曲・編曲:さかいゆう]
M3. パスポート
[作詞:ふかわりょう/作曲・編曲:さかいゆう]
M4. LOVE & LIVE LETTER (*福耳New Singleのさかいゆうver.)
[作詞・作曲・編曲:さかいゆう]
M5. もしも あの朝に…
[作詞・作曲・編曲:さかいゆう]
M6. Lalalai (ソニー<ブラビア>CMソング)
[作詞・作曲・編曲:さかいゆう]
M7. ペテン師と臆病者
[作詞:森雪之丞/作曲・編曲:さかいゆう]
M8. How Beautiful-English ver.-
[作詞:土岐麻子・川口大輔/英訳:内田壮志/作曲・編曲:さかいゆう]
M9. サンバ☆エロティカ
[作詞:森雪之丞/作曲・編曲:さかいゆう]
 〜日本テレビ系毎週火曜夜9時放送「超再現!ミステリー」エンディングテーマ〜
M10. されど僕らの日々
[作詞:今西太一/作曲・編曲:さかいゆう]
M11. 君と僕の挽歌-Album ver.- (テレビ東京系アニメ「君と僕。2」エンディングテーマ)
[作詞・作曲・編曲:さかいゆう]
M12. パズル
[作詞:小谷美紗子/作曲・編曲:さかいゆう]

[初回生産限定盤 DVD収録内容]
「さかいゆう Live in New York 2011」
M1. 上を向いて歩こう
M2. ROCK WITH YOU
M3. Train
M4. 故郷(ふるさと)他


【ライヴ情報】
さかいゆうTOUR 2012 “How’s it going?”

5/23(水) 名古屋アポロシアター
5/26(土) 福岡DRUM SON
5/27(日) 高知X-pt.
5/29(火) 大阪Music Club JANUS
5/31(木) 仙台MACANA
6/03(日) 東京 LIQUIDROOM
6/06(水) 札幌cube garden


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