NEXUS アーティスト・インタヴュー:NON'SHEEP「中途半端な値段で売るくらいなら無料で配ろう、聴いてもらえる機会を増やそうと」ーーライヴ、PV、無料配布の音源の三位一体で展開してきた2014年を総括


死生観をテーマにした佐藤雄駿の歌詞、ギタリスト田子剛のテクニカルなギタープレイを押し出したバンドサウンドで注目を集めているロックバンド、ノンシープ。2012年には佐藤雄駿が処女小説集『悪魔の飼育』を徳間書店より上梓(さらに小説購入者には佐藤の同名のソロ作品がプレゼントされた)、これと連動したEPをバンドで制作するなど、独自の展開を行なってきたバンドだ。

2014年からセルフマネージメントとなった彼らは、バンド主導でより面白い試みに尽力するとともに、ライヴバンドとしての真価を見せつけるようなステージングを展開してきている。そして、2014年はあえてパッケージ盤のリリースを行なわず、「徒労」「対岸へ渡る」「劣勢」という3曲の新曲のPVを制作してYouTubeで発表。さらにライヴ会場ではそれらの音源が無料配布された。彼らならではのハードなギターサウンドがフィーチャーされた「徒労」「劣勢」というドラマティックな2曲、さらにスタンダード性たっぷりのバラード「対岸へ渡る」では、ノンシープの持つポピュラリティを一層前面に押し出している。現時点での到達点を感じるような強力な3曲であり、良質な楽曲をどのようにアピールするかを考え抜いて展開してきたノンシープの2014年を集約。

12月5日にはいよいよ大塚Hearts+でのワンマンライヴが待ち受けるが、このときにさらなる活動展開の発表を用意しているようだ。何かとCDが売れないと口々にされる昨今、ノンシープが無料配布した3曲にこめた想いはどういったものだったのか? 佐藤雄駿、田子剛、渡辺弘尚、額賀康孝に語ってもらった。

取材・文=北村和孝




ギターヒーローになるにはどうしたらいいか?

――2011年の渡辺さん加入後、ステージングが変わってきた気がします。以前のノンシープのライヴって淡々と聴かせる印象だったのが、今は客席につかみかかっていくような勢いじゃないですか?

渡辺
今の方がライヴに温度感があるかな。以前はマネージャーも含めて5人でジャッジするスタンスだったのが、今は4人だけになったのでよりバンドマンっぽい濃いアレンジなり演奏ができるようになったとは思うけど。
額賀
ライヴの見せ方については皆でいっぱいディスカッションしましたし、意識は凄いしています。そこに時間をかけて今があるというか。

――以前、田子剛さんのギターはクリーンサウンドに物凄くこだわっていたんですけど、現在はバンド史上最も激しいサウンドになっていると思うんですが。

渡辺
『その手は無関心に僕を救う』(2011年)が奇麗なサウンドで歌を重視したアルバムで、その最終段階のときに僕は加入したんです。その年に年間100本くらいライヴをやって、どういうのがノンシープのライヴに合っているのかを考え始めて。その後『悪魔の飼育』(2012年)のときに方向性を話し合ったとき、『その手〜』のような楽曲をメインでライヴを構成していくのはやめようと。いわゆる(空間系エフェクトのギターサウンドを駆使したサウンドで)アングラで叙情的と言われるバンドの中でのし上がっていくのは違うだろうと。
額賀
そこでギターを前面に出すっていう方向で『悪魔の飼育』は作ったんです。
佐藤
ギターがとにかく奇抜で派手なことをやろうという試みでしたね。
渡辺
田子さんが金髪にした時期があったり、“見た目からしてギターヒーローになるにはどうしたらいいか?”を皆で考えだしたりして。それの行き着いたかたちが上半身裸(笑)。
一同
(爆笑)。
額賀
これも田子君は自分では動かなくて、メンバーが“ここまで鍛えているんだったら脱ぐしかないだろう”と説得して、やっと脱いでくれたんです(笑)。

――何も知らない側からすると、好きで脱いでいるようにしか見えない(笑)。

佐藤
結果的には、好きで脱いでますよ(笑)。
額賀
今は快感になっているだろうけど(笑)。
田子
(笑)。
額賀
立ち位置も以前は田子君は上手側で弾いていたんですけど、田子君の癖なのかすぐ左側に向きたがっちゃうという話になって、必然的に客席側に顔が向くようにと下手側で弾く今に至っているんです。

――へぇ! いろいろあったんですね。

額賀
「嘔吐」のスラップとか、ああいうことをやるギタリストはなかなかいないじゃないですか? 面白いことはいっぱいやってきたんですけど、同業者には評価されるもののど玄人過ぎて伝わりづらかった(笑)。もっと凄いとわからせたいのならば、わかりやすいことをやった方がいいんじゃないかってことで、彼がプレイスタイルを変えてきてくれたというか。
田子
ツアーをいっぱいやったとき、ギターソロをいっぱい弾いたらお客さんの反応が良かったところがあって、意外にも“あ、そんなものなんだ”って感じだったんです。それまではちょっとギターソロが恥ずかしくて…。
額賀
そう、今では速弾きとかガンガンやっていますけど、あの頃はそれが嫌だって言っていて。ただ一般の方からすると一番速弾きとかがわかりやすいと思うんですけど(笑)。
田子
ツアーをやっていくうちに、よりギターを弾く気になってきたというか。それまではギターはそんなに歪ませてなかったんですよ。

――得意技をなんで封印していたんですか(笑)?

田子
なんか変に自分の中でキャラクター的なものを作っちゃっていたんですよね。本当は中学生時代からずっと歪ませたいんですよ。いつのまにか歪ませちゃ駄目なのかと思ってやっていたりしたので。

――再びギターを歪ませたことで、『悪魔の飼育』以後、ノンシープゆえのサウンド・ヴィジョンが一気に開けた感じがしたのですが?

佐藤
『悪魔の飼育』まではネガティブな意味で田子君がバンドに求められていることをやっている感じがしたんですよ。基本的に田子君がサウンド面の軸なのは変わらないんですけど、田子君の意識は変わってきていて。今は田子君のやりたいサウンド感を皆で突き詰めているというか。まだまだ変わっていくような気がしていますね。

――話を聞いていて面白いのは、メインのコンポーザーがバンドを引っ張っていくというよりは、ノンシープは周りのメンバーがコンポーザーを鼓舞して仕向けているような(笑)。

佐藤
コンポーザーを皆でコントロールしているような(笑)。勿論、メンバーで彼をフォローするという意味も含めて。

――2014年に発表された「徒労」「対岸へ渡る」「劣勢」の3曲も、メンバー内のディスカッションで理想の曲を生み出した感じなんですか?

額賀
もともとは2曲の予定だったんですけど、田子君の強い意向で「劣勢」も含めて3曲で打ち出しました。田子君的には「劣勢」のようなもので推したいみたい。『悪魔の飼育』のときからその意志の片鱗は見えていて、あのときも4曲入りの予定が「声を殺して」というリフものをどうしても入れたいと(笑)。
佐藤
典型的なクリエイター心理で、新しいものが一番良いっていうのがあるんです。「徒労」は作ってからレコーディングまで時間が経っていたので熱が冷めていたんでしょうね。最新で生み出した「劣勢」が絶対に一番良いと(笑)。
田子
そうなっちゃいますよね、って感じなんですけど(笑)。やっぱり最新のが良いですよね(笑)。
NON'SHEEP

NON'SHEEP(ノンシープ)

佐藤雄駿 Vo&Gt
田子剛 Gt
額賀康孝 Dr
渡辺弘尚 Ba

2003年、佐藤、田子、額賀によりNON'SHEEP(ノンシープ)結成。埼玉、東京を中心にライブ活動を開始。
2006年、1st mini ALBUM「Rhythm」をリリース。渋谷CYCLONEにてワンマンライブ敢行。
2007年、1st ALBUM「Annunciation」をリリース。代官山UNITにてワンマンライブ敢行。
2008年、2nd ALBUM「sad morrow」をリリース。代官山UNITにてワンマンライブ敢行
2009年、プロデューサーに黒沢健一氏(ex.L⇔R)を迎えた楽曲「遺書」を配信。ライナーノーツを芥川賞受賞作家・中村文則氏から寄稿され話題となる。
2011年、Ba,渡辺が正式メンバーとして加入し、年間100本のライブを敢行。会場限定シングル「落下 / サメナイユメ」をリリース。
同年6月、3rd ALBUM「その手は無関心に僕を救う」をリリース。作家・中村文則氏、お笑い芸人・ピース又吉直樹氏、映画監督・緒方貴臣氏などの文化人・著名人からコメントを寄せられる。
2012年、Vo,佐藤雄駿の初小説「悪魔の飼育」を徳間書店より出版。特典CDとして初ソロ音源を発表。佐藤は、若手社会学者・古市憲寿氏との対談や、TBSラジオ「文化系トークラジオ Life」に出演するなど、音楽以外でも活動の場を広げる。
同年9月、NON'SHEEP初のE.P「悪魔の飼育」をリリース。
2013年、楽曲制作と並行しながら、精力的にNON'SHEEP自主企画イベントを行う。
2014年、5月大塚Hearts+にて《羊たちの緩急〜暖編〜》と称し、初のアコースティック編成のワンマンライブを敢行。終演後、新作MV「徒労」を会場で上映。同曲を6月からライブ会場限定で無料配布を開始。8、10 月と隔月で新作無料音源と新作MVを発表していくプロジェクトを敢行。
2014年の活動を、12/5(金)大塚Hearts+でのワンマンライブにて総括する。(無料音源の配布は12/5で配布終了)

■作家としての顔を持つVo,佐藤の歌詞は様々な文化人、著名人に高く評価されている。一貫したテーマの表現は、受手に寄り添い幽かな光を与える。Gt,田子はバンドのブレーンとして主な作曲を手がける。高度な技術で様々なギターアプローチを試み、音楽誌「Player」の北村和孝氏からも評価される。Dr,額賀とBa,渡辺のリズム隊に支えられたアグレッシブなパフォーマンスは”ライブバンド”としても定評がある。

オフィシャルサイト


無料音源 第三弾「劣勢」

会場物販にて「徒労」「対岸へ渡る」「劣勢」の三作を無料配布


< LIVE INFORMATION >
NON'SHEEPワンマンライブ
羊たちの緩急〜急編〜

12月5日(金) OPEN18:30 / START19:00
会場:大塚Hearts+
前売 2,500円 / 当日 2,800円
チケット申し込みはバンドHP、Twitter、から受付けております。ライブハウスへの電話申し込みも可能です。


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