NEXUS アーティスト・インタヴュー:LIL

LILの新しいアルバム『L2』は、まさに2人の2回目のスタートとも言えるような、エレクトロで、ハードビートで、メロディックで、そしてソウルフルなアルバムとなった。ライヴハウスとクラブが、そしてロックとダンスミュージックが完全に一体化した中で、彼らのようなロックにもダンスにもポップスにも行けるツインズ(Vo&作詞のucioとプロデューサー&作曲のTSUGE)は何でも自由に描けるが、だからこそLILならではのオリジナルをキャッチしてもらうために何を歌い鳴らすのか? その解答と言うべき弾けた曲が並んでいる。

震災後にこの国でダンスビートを描いたり、パーティーチューンを生み出すのはとても困難だ。しかしそれがなければ僕らの生活は転がっていかないし、そもそも音楽自体の存在意義が半減する。そんな意義をそっと心に忍ばせながら鳴らした『L2』。新しいクロスオーバー天国を目指す2人と話す、「光と影、そしてまた光——」。

取材=鹿野 淳  構成=柴 那典

メッセージを日本語で乗せやすいものにしようという気持ちが強かった

――前のアルバムと比べて音もメッセージも強くて柔らかくなった、そういう作品が集まったという印象です。まず、サウンドの面ではどういう作品にしようと思ってました?

TSUGE
ダンスミュージックが基盤にあるというのは変わらないんですけれど、今回はメッセージを日本語で乗せやすいものにしようという気持ちが強かったです。今までは、単純にカッコいい音を作る作業だったかもしれないんですけど、今回はメッセージを乗せるようなものを作りたいという思いがあって。

――それはどういう気持ちからですか?

TSUGE
やっぱり、正直なことを言うと、僕らのやっているようなダンスミュージックって、海外だったら最もポップでわかりやすいものなのに、なぜか日本ではマイノリティとも言える状況になっていて。それがすごくイヤだったんですよね。そんな中で、曲作りの参考にしたのは国内外問わずロックバンドが多かったというのは事実です。

――それはロックミュージックのほうがポップのフォーマットに合わせやすいということ?

TSUGE
そうですね。日本では、そこは事実としてあると思います。曲調にもよると思うんですけれども。

――オーバーグラウンドなところで音楽として勝負していったほうが楽しいし、健全的な戦い方ができるという。

TSUGE
そうですね。あと、去年の『ROCKS TOKYO』に出させてもらった時に、僕たちを知らない人もすごく喜んでくれていた印象があって。それはやっぱり嬉しかったんですよね。ロックとかダンスとか関係なく、いいものはいいんだって。それに、僕自身もロックDJをやらせてもらうようになって。その中で「あ、こういうことなんだな」ってわかるようになってきたこともあって。それを念頭に、アルバムを作り始めました。

相反するものを混ぜて、そこで勝負していくのがLILなんだと思います

――今はクラブシーンもロックシーンも、ある意味ラジカルなものでも熱いものでもなくなっている一面があると思うんです。その中でTSUGEくんのようにロックのマインドを持ったクラブシーンの音でポップシーンに勝負をかけていくというのは、ハードな戦いだと思うんですね。

TSUGE
闘いですね(笑)。それこそ、少数派になっちゃいますよね。こんなにポップなことをやっているのに、一人で戦ってるような気になってくる。同じような思いを持っている人があまりに少なくて。ただ、ロックシーンにおいてはダンスは受け入れやすいと思うんですよね。サカナクションとかthe telephonesとかandropはきちんと受け入れられている。彼らはロックから来てダンスのエッセンスを入れていますけど、僕は単純にダンスから来てロックのエッセンスを入れている。その混ぜ合わせ方は変わらないと思うんですが、順序が違って。これがやっぱり至難の業なんですよね。

――アルバムを通して聴いてみると、ロックとかクラブとどう付き合っていくかと言うよりも、自分たちがそこでどういう音楽をどうポップなものとしてやるかという、ある種の開き直りのようなものが全体から聴こえてたんですけれども。

TSUGE
そうですね。周りを納得させられるものを作るためにも、そこで頑張っているというのは正直あります。そのためにロックDJをやったりしていろんなことを吸収したりしているわけですし。あとは、やっぱり僕は若いエネルギーが好きなんですよね。若いエネルギーに浸かっていたいという気持ちがある。そういう意味ではつらいというよりも楽しいです。分かってもらうのは大変ですけどね。

――だからこそ自分の音像を作って勝負したいという意識が、サウンドに明確に表れてると思いますよ。

TSUGE
それを感じてもらえたら嬉しいですね。

――ucioさんは今回のトラックをどう捉えていましたか?

ucio
サウンドとして比べたり参考にしたりするものにロックバンドが多かったという話なんですけれど、その例にあがったロックバンドの中には女性ヴォーカルがほとんどいないんですよね。でも、やっぱり歌い手が女である以上は同じサウンドでも別物になる。キーも違うし、男が歌ってカッコいいメロディと自分が歌ってハマるメロディは全然違いますよね。自分にはR&Bのルーツがあるので、それでジャンル感が散漫になってしまうという悩みもある。でも、それがオリジナリティでもあると思うんです。相反するものを混ぜて、そこで勝負していくのがLILなんだと思います。

LIL

ヴォーカル&作詞ucio(ユシオ)と、プロデューサー&作曲TSUGE(ツゲ)によるエレクトロニックポップユニット。

2010年3月、ミニ・アルバム「LIPS IN LUSH」でメジャーデビュー。2011年2月、1stアルバム「Synchronize」をリリース。「au by KDDI Karada Manager」のテレビCMタイアップソングとして抜擢された「Watching you feat. WISE」がスマッシュヒット。シングル、アルバムともにiTunesエレクトロニックチャート1位を獲得。さらに全国FM34局でパワープレイを獲得するなど話題を集める。

2011年5月に配信シングル「ガールズ☆アラウンド」(「ほっともっと なでしこ応援キャンペーンTVCMソング」)をリリース。
2012年1月に配信シングル「LUCKY STAR」(テレビ東京系ドラマ24『撮らないで下さい!! グラビアアイドル裏物語』オープニングテーマ)とあの世界的名曲「THIS LOVE」(MAROON 5 のカヴァー)を2曲同時配信。さらに5月には配信シングル「恋はPUSH!feat. HALCALI」(TBS系テレビ「王様のブランチ」6月・7月度エンディングテーマ)と「99」(道端アンジェリカ出演『とうもろこしのひげ茶』TVCMソング)をリリース。そして、シングル5曲、大型タイアップ曲5曲、さらにはリミックス2曲まで含む全17曲入の2ndアルバム「L2」を7月11日にリリース。

http://www.artimage.co.jp/artists/lil/


NEW ALBUM『L2』
2012年7月11日(水)発売
TOCT-29030 / 2,500円(税込)


[ 収録楽曲 ]
01. INTRO
02. Make You Smile
03. 恋はPUSH! feat. HALCALI
04. REMEMBER
05. LUCKY STAR
06. My little song
07. Sunny Place
08. Jelly fish
09. Touch Me
10. 99
11. Runaway
12. WALK
13. My shine, Your shine feat. the telephones [Ryohei & Seiji]
14. ガールズ☆アラウンド[Album Version]
15. THIS LOVE <MAROON5カヴァー>
16. Make You Smile [tofubeats remix]
17. 99 [TeddyLoid Remix]

■LIVE INFORMATION
7/16(月・祝)「第11回Kobe Love Portみなとまつり」
7/20(金)「LIL×2.5D #3」@2.5D
7/28(土)「melt」@中目黒solfa
7/31(火)「09EDGE CRUISE」
8/12(日)「OTODAMA SEA STUDIO 2012 HOT SUMMER PARTY!!」
8/25(土)「aorizm records presents uFoN3-LIL & JaccaPoP NEW ALBUM RELEASE PARTY」@WOMB




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