NEXUS アーティスト・インタヴュー:lecca

前のめりで、奔放で、だからこそ“動物的”なポップ・ミュージック。leccaのニューアルバム『ZOOLANDER』は、様々な感情の動きをそのまま切り取ったような、生々しいアルバムになっている。

以下のインタヴューで彼女自身も語っているように、音楽の楽しさ、気持ちよさを追求したという本作。外部トラックメイカーも起用し、ダンスホール・レゲエを出発点に音楽性の幅をどんどん広げてきた彼女ならではの、ジャンルレスなサウンドが形になっている。そして、歌われている感情も多彩ながら、その一つ一つはひたすらに真っ直ぐ。高揚感あふれるソカのビートに乗せてシンプルな愛情を歌いミュージックビデオではウェイティングドレス姿で駆け抜ける“キラキラ”など、かつてなくポップな面も見せている。

新作での挑戦と、そして変わらず彼女の軸にあるメッセージについて語ってもらった。

取材・文=柴那典

感じたものを、できるだけそのまま出していったアルバム

――非常にポップだし、勢いがあるし、同時にチャーミングなアルバムだと思いました。明るさと包容力がある感じという。

lecca
ふふふ、ありがとうございます。

――leccaさんはアルバムを振り返って、どういうものができた感覚がありますか?

lecca
いつもそうなんですけど、今回もできあがってから、ディレクターとかなりの自画自賛をしましたね(笑)。前作の『Step One』を出したときには、「こういうメッセージを発信しなきゃいけない」という使命感にかられてやったところがあったんです。今回はそこから一歩進んで、自分がそもそも音楽が好きだし、そもそも音楽が楽しくて気持ちいいというところを再確認したかった。それをアルバムに入れたいと思って作ったところがあります。前回の『Step One』が持っていた重くシリアスな雰囲気よりも、明るい楽しげな印象を出せたと思っています。

――『Step One』は震災後のタイミングもありましたし、言いたいことを言う必要があったわけですよね。あれを作ったことが今回のアルバムにとっても大きかった、と。

lecca
はい。その通りですね。

――今回のタイトルは『ZOOLANDER』となっていますけれど、「ZOO」=動物園というのは、どういうモチーフから出てきた言葉なんでしょう?

lecca
私、いつも曲には仮タイトルをつけてデモを作って進めていくんです。で、今回はその仮タイトルの時点で、たまたま、鳥や動物の名前が多かったんです。そこから出てきた言葉なんですね。「ZOO」って動物園という意味なんですけれど、1人の人間を「ZOO」に喩えてもいいし、人生を「ZOO」に喩えてもいいと思ったんです。私は、一人の女ですけれど、ある時は獅子のような顔を持つときもあるし、小さい子熊を守る母熊の顔になることもある。かと思えば、自由に空を羽ばたきたいと思う鳥のような顔をするときもある。今言った三つは、そのまま動物が仮タイトルになった曲がアルバムに入ってます。そういう風に、いろんな顔、人間が持ついろんな感情の幅、表情を抑えずに出していく、それを見るのがいいかなと思って。動物園のように、いろんな自分の表情が見える、いろんな自分に会えるし気付けるというアルバムになったらいいなという気持ちを持っています。

――『Step One』は対・社会というか、外側を見て出てきた言葉が多かったと思うんです。それと比較すると、『ZOOLANDER』は自分の内面を見つめていく中で出てきた一枚になっているように思います。

lecca
確かにそうなんですよ。あと、すごくシンプルにしたかったんです。たとえば“キラキラ”という曲で書いていることって、今までの私が書こうとしなかった、単純な感情なんです。結婚相手や、一番大好きな人に対する気持ち。そういうものを素直に歌ってみるということをした曲で。だから、いろんなことを考えて深く掘り下げたアルバムとはちょっと違いますね。感じたものを、できるだけそのまま出していく。それを改めてやるのが、自分にとって挑戦的なことだったという。音の面でも、テーマやメッセージやリリックの面でも、シンプルであるということを心がけて作りました。

自分の理想に負けてはいけない

――動物のモチーフは、アルバムにもいくつか現れていますよね。一つずつ聞いていこうと思うんですが、まず「ライオン」は、曲で言えば“Golden Lion”や“獅子奮陣”になると思いますが、ここにある「闘う」というイメージはどういうところなんでしょうか。

lecca
これは私が最もよくやる得意なパターンの曲という感じですね。“Golden Lion”も“獅子奮陣”も、アルバムの1曲目に登場しがちな、「よっしゃ、行くぞ!」みたいな曲で。そもそも何と闘っているかは人によって違うと思うんですけれど、もともとは自分が音楽に励まされたことが10代や20代の頃にすごく多かったので、私がいつも歌う対象って、同じように悩んでいる人で。やっぱり、自分の理想に負けてはいけないと思うんです。誰かに認めてほしい、誰かに好きになってほしい、評価されたいという欲求も、もちろんあっていい。でも、それよりも自分の理想のほうが大事だと思っているんですね。人は迷うこともあるけれど、でも、本当に欲しいものがあったら、闘うしかない。そういう気持ちを込めて、人や自分を鼓舞するようなリリックを書きたいと思っていますね。

――単に「盛り上がれ」とか「騒げ」じゃなくて、自分の理想に近づいていくという意味での、奮い立たせるような曲なんですね。

lecca
そうですね。こういう曲は、自分のために作っているようなところもあります。自分もダンスホール・ミュージックがすごく好きで。ダンスホールやヒップホップの曲って、社会風刺もあるけれど、勇気を与えるし、反骨精神のある曲も多い。こんな社会だけど、こういうものを手に入れられることができる!ということを歌っていたりする。そういう、言葉数の多い音楽が、私はすごく好きなんですね。自分もそういうのがやりたいなと思ってやっていることの一つが、こういう曲だったりするんで。いかにポップを目指したアルバムでも、こういう曲は、やっぱり入れたいですね。

――ダンスホールという音楽のスタイルを選んだということも含めて、きっとleccaさんの言いたいことの芯って、変わらないところにあると思うんです。その一つがこういうメッセージだという。

lecca
やっぱり、私は社会に対しての歌を歌っているときですら、自分に向けて言っているところがあるんです。で、聴いてくれるみんなにも、その人自身に向かって歌っているものだと思ってほしいんです。私は「社会が悪いから」とか「誰かが悪いから」という言い方はしたくなくて。自分が変えられるものって、まず何かと言うと、自分自身なんですよ。だから、嫌だなとか、ダメだなと思っていることがあるとしたら、その責任は自分にあると思う。もちろん自分以外の何か大きな力のせいみたいなこともあるけれど、少なくとも、私が歌にしているのは、自分の中にあるものなんです。

自分の尊厳をかけて、食い扶持をかけて働くことが根幹にある音楽

――どこかのインタヴューで、leccaさんは自分の音楽を「プロレタリア・ミュージック」であると言っていましたけれども。

lecca
言いました、確かに(笑)。

――それは聴いた人が、その人の生活の中でリアリティを持つものであってほしいという感覚なんでしょうか。

lecca
そうですね。たとえば、ダンス・ミュージックの全てがプロレタリア・ミュージックだとは思ってなくて。セレブな音楽、労働が全く関係しない音楽も沢山あると思うんです。でも、私のやっていることというのは、まず自分の尊厳をかけて、自分の食い扶持をかけて働くということが根幹にあっての音楽で。きっと、世代もあるんだと思います。もともと井上陽水さんとか中島みゆきさんも好きなんですけれど。日々の生活があって、そこには葛藤や悩みや闘争がある。そこにフタをして見ないような音楽もあって。そこにも音楽の良さはあると思うんですけれど、私のやりたいのはそういうものじゃなくて。私がやりたいのは自分をさらけ出しながら、一緒に闘争する音楽が好きなんです。どうしてもメッセージを入れたいんですよね。語り合いたいし、鼓舞しあいたいという。熱い心を持った歌い手の音楽は素敵だと思うし、自分もそうなれたらいいなと思っているんですね。

――「母熊と子熊」という、親子のモチーフもアルバムには出てきていますよね。たとえば”サンシャイン”とか"旅立ちの刻"とか。

lecca
おっしゃるとおりです。“旅立ちの刻”はもともと“dear little bear”という仮タイトルだったんです。小さい子熊を自立させるという内容のテレビ番組に感化されたんです。親の気持ちで書いているんですけれど、“Sunshine”なんかは、なるべく親子に限定しないように書いたつもりではあるんです。師匠と弟子、彼氏と彼女でも通じるぐらい、限定しないモチーフにしたつもりです。

――“旅立ちの刻”で、送り出したり、卒業したりする側の気持ちを描いたのは?

lecca
たまたま観たドキュメンタリー番組にすごく感動したんですよね。母とか親とか師匠が、今まで守ってきた存在を送り出すときって、すごく手助けしてやりたいし、ずっと見守っていきたい、庇護のもとに暮らさせてあげたいって思うんだろうなと。でも、そしたら子供は一人で生きていけない。そのためには、自分がその相手を手放さなければならない。こういうことを書いた曲は、今までやったことがなかったですね。

lecca

2000年にシンガーとして活動開始。2006年、ミニアルバム『Dreamer』でメジャーデビュー。ジャンルにとらわれないオリジナルなスタイルが注目を集めるシンガーソングライター。
現在までに6枚のフルアルバムをリリースし、2012年12月12日には7枚目のフルアルバム『ZOOLANDER』をリリース。
今年開催された3度目の全国ツアーのファイナルでは自身初の日本武道館での公演を行い最大規模のツアーを慣行。

www.avexnet.or.jp/lecca/


NEW ALBUM『ZOOLANDER』

2012年12月12日(水)発売

ALBUM+DVD:CTCR-14779/B / 3,360円
ALBUM:CTCR-14780 / 3,000円
※初回限定封入特典:「Clown Love」Short Movie
lecca原作短編小説

[CD収録曲]
01. Landing on the Zoo
02. Golden Lion
03. Sunshine
 ※Pioneer“STEEZ” CMソング
04. キラキラ ※Bee TV「ラブ・スウィング〜色々な愛のかたち〜」主題歌
05. TODAY ※2012年“TBS欧州サッカーテーマソング”
06. Clown Love ※MBSテレビ他「ロケみつ」「Dress」12月度エンディングテーマ
07. Guiding Star feat. CIMBA
08. シナリオ
09. ゴメンネ!
10. get on
11. 獅子奮陣
12. parakeets
13. 旅立ちの刻

[ DVD収録内容 ]
・キラキラ(MUSIC CLIP)
・Clown Love(MUSIC CLIP)
・Clown Love(Short Movie)
・lecca OFF SHOT
・Clown Love Short Movie Making

【ライヴ情報】
2013年、全国ツアー開催決定!!!
lecca LIVE TOUR 2013 “ZOOLANDER”

3/08(金) 愛知 Zepp Nagoya
3/15(金) 北海道 Zepp Sapporo
3/19(火) 大阪 Zepp Namba
3/22(金) 福岡 Zepp Fukuoka
3/29(金) 東京 Zepp Tokyo

開演/開場:18:00 / 19:00
料金:前売 5,000円(税込)
※ドリンク代別
※6歳以上チケット必要
※チケット一般発売日:2013年1月26日(土) 予定


「COUNT DOWN JAPAN 12/13」
出演決定!!

日程:2012年12月28日(金)
   29日(土)・30日(日)・31日(月)
会場:幕張メッセ国際展示場1〜8ホール、イベントホール
※leccaの出演は12/31(月)21:45〜となります!!

インタヴューArchives