NEXUS アーティスト・インタヴュー:ケツメイシ

ケツメイシが、いよいよ新境地に踏み出した。レーベル移籍第二弾となるシングル『moyamoya / guruguru』は、強いメッセージ性を持った両A面の一枚。「思い通りにゆく事よりも 思う通りに叫んでいたい」と、嘘と方便がまかり通る世の中を描く“moyamoya”。「あなたが笑うと時代も変わる」と歌う、全ての女性を褒め称えるメッセージソング“guruguru”。最先端のクラブミュージックの潮流を取り入れたサウンドも、鋭く意味深なリリックも、今までのケツメイシのイメージを大きく覆すものになっている。12月には約2年ぶり8枚目となるオリジナルアルバムのリリースも控えた4人に、今目指しているものを語ってもらった。

取材・文=柴那典

「ケツメイシっぽいもの」をただやり続けても意味がない

――今回のシングルは、サウンド的にも、歌詞のメッセージ面でも、新境地に踏み出した一枚になっていると思います。これはどういうところから作り始めたんでしょう?

RYOJI 
最初に“moyamoya”のテーマを決めて作っていきましたね。『最近、嘘つきな女が多いよね』っていうような話から、嘘をつかないと生きていけない今の人間社会に対しての曲みたいになっていった。
大蔵  
嘘が連鎖して良くない方向にいってるよねとか、モヤモヤするよねっていう話をちょうどしてたんです。
DJ
KOHNO
人付き合いをしていく中で、こっちも嘘つかないと円滑にいかないので、イライラというよりもモヤモヤしていくことが多いよねって。

――“LOVE LOVE Summer”でもそういう面はありましたが、今回は海外のクラブミュージックの潮流をさらに取り入れたサウンドになってますよね。それはどういう流れで?

RYOJI 
やっぱり僕らがそれを聴いて反応するかどうかで決まるんですよね。今は明確にメンバーの選ぶサウンドがズレなく決まってきている感じがあって。それは、普段聴いてる音楽とか、クラブに足を運ぶ際に聴く音とか、いろんな流れがあっての選択肢だと思うので“このジャンルじゃなきゃいけない”という感じで選んでるわけじゃないです。

――自分たちがピンとくるものを前面に出していこうと。

RYOJI 
そう。実は以前にもそういうことをやろうとしてたんですけど、その時はレーベルとか事務所から『ケツメイシっぽいものもやってくれ』っていう要望もあって抑えたりしてたんですよ。でも、ただそういうものをやり続けても意味がないっていうのは、4人ともわかってたんで。

――今のケツメイシが「いい」と思う音のポイントは、どういうところにあるんでしょう?

RYOJI 
僕は、その音が何を訴えてるのかっていうのをすごく気にしますね。曲を聴いて楽しい気持ちにさせたいのか、涙を流させたいのか、踊らせたいのかっていうことに重点を置いてる。で、今はクラブで人を踊らせられる曲とか、聴いてていつの間にかリズムを取ってる音とかが反応するポイントですね。
大蔵  
やっぱり腰にくるような音がいいんですよ。自然と体がノってくる感じというか。で、そういう音を使っても、ただ普通に踊るんじゃなくて、テーマや世界観のようなものを伝えられる曲という。

今は、いろんな人が何も言いたいことを言えないような世の中

――では、曲のテーマについても訊きたいんですけれど、“moyamoya”の「なんとなくモヤモヤする」というテーマはどう膨らませていったんでしょうか。

RYOJI 
今までこういう抽象的なテーマの曲はあんまりやってこなかったんですけど。でも今って、いろんな人が何も言いたいことを言えないような世の中なわけじゃないですか。ありとあらゆるところでモヤモヤしてると思うんですよね。
大蔵  
人に対してとか、会社に対してとか、社会に対して、学校に対して、家族に対してとか、その人を取り巻くいろんな環境でね。
RYO  
言いたいこと言ったら叩かれるみたいなね。
大蔵  
歌詞の中には“正直者がバカを見る”って歌詞があるんですけど、正論を言ったら誰かに叩かれたり、そんなことばかりですからね。

――心の中で思ってる苛立ちを表に出せないみたいな、そういうタイプのモヤモヤがある。

RYOJI 
うん、もちろんです。でも、直接的に誰かを責めるようなことを言ってもしょうがないと思うので。なるべく広いモヤモヤに対してこの曲が活きてほしいなと思うし、かといって言い足りないと伝わらない。その辺のさじ加減やバランスは考えましたね。

――この曲のミュージックビデオは、受験生や妊娠してる人や、いろんな立場の人がモヤモヤしているドラマ仕立てになっていますけれども。

DJ
KOHNO
そう、あれは非常にいいビデオだったと思います。そのモヤモヤっていうのが、僕らだけじゃなくて、それこそ中学生から主婦、サラリーマンまで、全員が思ってるものだから、その人によって違うじゃないですか。なんだか納得できない、けど口に出したら自分が悪いみたいな、そういう感じが表現できてて、素晴らしいなと思いました。
RYO  
それぞれ聴いた人に、『これ、俺の環境を歌ってる』みたいに思ってもらえればベストですかね。
RYOJI 
『あぁ、ケツメイシもモヤモヤしてんだな』っていう。ただ、モヤモヤを和らげたり解消させたりするんじゃなくて、日本人としては、やっぱり解決させるほうに持っていきたいんですよね。あのビデオだと、最後にいい話があって、みんながすっと荷が下りるような感じでモヤモヤが解消される。でも、それだけじゃ解決にはならないと思うんですよ。

――単純な応援歌として消費されるだけの曲じゃない、という?

RYOJI 
そうですよね。まずは自分がモヤモヤしてるっていうことに気付いてほしいという。それがあるのは何故なんだろう?って疑問視してほしい。それが裏のメッセージとしてある。深読みしろよ!って言いたいです(笑)
DJ
KOHNO
応援歌っていうよりは、問題提起的な曲だと思いますね。

ケツメイシ

1993年、RYOが通う大学の仲間が中心となってケツメイシの母体が誕生。
1996年頃に現メンバーのRYO(MC)、RYOJI(Vo)、大蔵(MC)、DJ KOHNO(DJ)で結成される。
1999年12月に初インディーズ曲「こっちおいで」を発売。
2000年12月に1stアルバム「ケツノポリス」をリリース。沖縄・首里城前で撮影されるジャケットが以後のアルバムでシリーズ化する。
2001年4月、「ファミリア」でメジャーデビューしてからは、ヒップホップとレゲエを下敷きにあらゆるジャンルを飲み込むスタイルで、スマートながらも人間味が伝わってくる中毒性の高いナンバーを連発。
2005年2月に発表した「さくら」は初のシングルチャート1位を獲得。同曲を含むアルバム『ケツポリス4』は国民的ヒットを記録し、ケツメイシの人気を不動のものにした。
人生の機微にふれる歌詞には定評があり、ラブソングをはじめ、友情ソング、人生応援ソング、パーティーチューン、社会風刺から下ネタまで、豊富な語彙と独特の着眼点で日常の喜怒哀楽を巧みに切り取る。 ライブパフォーマンスも評価が高く、これまでにアリーナツアーを含む6回の全国ツアーを開催。笑いと涙、興奮と感動が一度に味わえるステージで多くの観客を魅了している。
2011年12月、春夏秋冬の季節別に選曲したベストアルバム『ケツの嵐』4種とミュージックビデオ集『ケツの極』を前代未聞の5作同時リリース。
2012年4月にavex traxに移籍。7月11日に移籍第一弾シングル「LOVE LOVE Summer」をリリース。
動向が常に話題をさらうケツメイシの今後に一層の注目が集まっている。

<RYO>
1972年11月26日生まれ。MC担当。
個性的な高音ボイスの持ち主で、早口ラップと下ネタと自虐ネタが持ち味。辛口なメッセージをユーモア混じりに書かせたら右に出る者なし。05年発表の山下達郎「Kissから始まるミステリー」にフィーチャリング参加。アルファのツボイとNAMとで組んだタサツでは03年にアルバム『ぼくらの五日間戦争』を発表している。体はちっちゃいが大きな心で人を包み込むケツメイシ影のリーダー。

<RYOJI>
1974年12月14日生まれ。ボーカル&MC担当。
ケツメイシの楽曲制作の中心人物。歌とラップの両刀使いで、切なさと優しさと力強さを感じさせるソウルフルな歌声を持つ。これまでにCHEMSTRY、中島美嘉、SMAP、NEWSなど、数多くのアーティストに楽曲を提供。STUDIO APARTMENTやMCUの楽曲には客演で参加している。人一倍照れ屋で、人一倍寂しがり屋。でも誰よりも熱い心で義理人情を忘れない。

<大蔵>
1976年3月14日生まれ。MC&筋肉担当。
ケツメイシのリーダー。週一回のジム通いを欠かさない筋肉番長。骨太な声で、陽気な曲からしんみり曲まで柔軟にこなす。ライブでは仕切り役&盛り上がり前のビール一気を担当。これまでにDragon Ash「Luz del sol」や山嵐「Walking Under The Sun」に客演。DJとしても全国各地のイベントに出没している。ぶ厚い筋肉とは裏腹に優しい心を持つナイスガイ。

<DJ KOHNO>
1977年6月28日生まれ。DJ担当。
ライブの選曲リーダー。楽曲制作では最も飛び道具的なアイデアを出し、洗練を極めるケツメサウンドにスクラッチで現場の味をプラス。09年にミックスCD『I LOVE R&B 〜The New Decade int.』をリリース。関ジャニ∞「輝ける舞台へ」(『FIGHT』収録)を楽曲提供している。音楽・スポーツ・お酒をこよなく愛すグループ最年少。クラブイベントでのDJ活動も精力的に展開中。

http://www.ketsume.com


NEW SINGLE
『moyamoya / guruguru』

2012年11月14日(水)発売
avex trax


【CD+DVD】AVCD-48576/B \1,890(税込)

【CD】AVCD-48577 \1,260(税込)


[収録曲]
<CD>
01.moyamoya
02.guruguru
03.負の街
04.guruguru (THE COMPANY “Flip Side” Remix)

<DVD>
01.moyamoya MV
02.guruguru MV



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