NEXUS アーティスト・インタヴュー:HUSKING BEE

昨年2月の再結成に続き「AIR JAM 2012」で正式に活動再開を宣言、約9年ぶりとなるアルバム『SOMA』をリリースしたHUSKING BEE。

先日掲載した「TOSHI-LOW×磯部正文」特別対談(前編・後編)でも語られている通り、90年代から、長いキャリアと様々な苦節を経てきたバンドだ。それでも、新作はそういう時間の重みよりも、風通しのいいバンドサウンドと磯部正文が追求してきた“歌心”を感じさせる一枚になっている。以下のインタヴューでもたびたびこの言葉が出てきているが、何より「楽しい」音楽になっているのだ。

新たなフォーメーションとなって歩み始めた4人に、バンドの今を語ってもらった。

取材・文=柴那典

やろう!と決めたら、あとは音を鳴らす日々

――まずは昨年2月にハスキング・ビーが活動再開してからを振り返って、どんな一年だったかを教えていただければと思うんですが。どうでしょう?

磯部正文
(G, Vo)
このメンバーで固まる前までは、よもやこのメンバーでハスキンを再始動するなんて自分では思ってもなかったですからね。去年の2月から、怒涛の3月と4月を経て、めまぐるしく心境も変わって、ハスキンをやらしていただきたい、というよりも「やろう!」みたいな気持ちがあって。そう決めたら、あとは音を鳴らす日々でしたね。

――平林さんはどうですか?

平林一哉
(G, Vo)
2月の「DEVILOCK NIGHT THE FINAL」で復活して、そこからいろんな大きいイベントにも出て、レコーディングして、このメンバーになって。ほんと、めまぐるしかったですね。でも、そのときそのとき楽しみでしたし、すごく充実していました。

――山崎さんと岸野さんは、去年の「AIR JAM 2012」からこの編成のハスキング・ビーのメンバーとしてステージに立ったことになるわけですよね。最初の印象はどうでした?

岸野一
(B, Cho)
まず誘われた時点で、普通にファンだったので衝撃でした。でも、レコーディングやリハーサル、ツアーを重ねていくなかでハスキング・ビーのメンバーになったっていう感覚がかなり強くなってきたなって思ってます。
山崎聖之
(Dr, Cho)
僕は磯部正文BANDで僕が叩くことになった流れでやらしてもらったんですけど。やっぱり僕も普通にファンだったので、最初は本物と一緒にやってるコピーバンドみたいな感覚で。でも、誰かの後釜じゃなく、この4人でバンドをやるっていう風に気持ちを切り替えるのが大事だなと思って。今はそう考えてやってますね。

期待もショックも、全部背負っていこう

――磯部さんにとっては、この4人になってハスキング・ビーの新たな体制はどう変わったと思いますか?

磯部
やはりハスキング・ビーという名前を冠にして前に進もうということですから、メンバーが変わってもガラッと曲調が変わるとかではないでしょうし。けど、ハスキンを好きでいてくれる人たちにとって「こうあってほしい」と思う期待も、「あのメンバーじゃない」みたいなショックも、そういうのも全部背負っていこうかなという決断もありました。で、年を重ねた2人とある種の年齢の差もありますから、そういうのも楽しめたらいいかなと思ったり。ライヴを重ねて、各々感じたことが次にまた活かされてフィットしていくと思います。

――去年に再結成ツアーをまわって、お客さんと改めてこの4人で出会って実感したことはありました?

平林
ありましたね。僕自身、ツアーっていうのが久々だったんですよ。だから、ほんと初心に帰るみたいな感じでやってました。

――これは岸野さん、山崎さんに訊きたいんですけど、かつて自分が憧れていたバンドのメンバーとしてツアーをする、その体験ってどんな感じでしたか?

岸野
やっぱり緊張感はありましたね。元々のハスキング・ビーを観てきた人もお客さんとして来るだろうし、そういうプレッシャーと、あと単純に新編成になってからライヴの数を重ねてなかったので。ツアーをできるっていうこと自体の楽しみはすごいありましたけど。
山崎
まあ、自分も楽しもうって思ってましたね。僕自身、いまだに、元のハスキンを観れるものなら観たいなって思ってるぐらいなんですけど(笑)。でも、僕も好きなことをやらしてもらってるし、みんなで楽しむ感覚でやった方がいいんだろうなと思ってまわってましたね。

重いものが取れたような気がした

――新作の『SOMA』は約9年振りのアルバムになるわけですけれども。これはまず、作り始めようと思ったときにはどういうものをイメージしていたんでしょうか?

磯部
いろいろ考えましたけど、個人的には、『GRIP』という3ピースのときのファーストアルバムは初期衝動でできあがった作品だと思っているので、それは少し横に飾らしてもらって、『PUT ON FRESH PAINT』から『variandante』までのアルバムと友達になるというか、また仲良くできるような曲たちが作りたいなとは思ってました。

――アルバムの曲は、実際どんな風に作っていったんでしょう?

磯部
前から基本的には、嬉しいことあったらバーッとメロディが浮かんだり、喜怒哀楽があったらメロディが浮かんだりするので。去年から、生活の中で感じることとか、未来について考えたりするなかで、メロディが浮かんで。それでキーを考えて、作っていったんですよね。

――実際に新しい曲を作って、合わせてみたときの感触はどうでした?

磯部
岸野と山崎にとっては、ハスキンの古い曲を練習したり、前の人の手癖とかをコピーするよりも新しい曲を作る方がフィット感があるだろうなと思ってたので。詰めるときは難しいですけど、やってるときは楽しかったですね。
平林
自分的には久々にリードギター的なことをやらしてもらったんで、刺激も多かったし、楽しかったです。

――ハスキング・ビーが休止していた7年間、磯部さんも平林さんもいろんなバンドやプロジェクトを経てきたわけですよね。そのことでハスキング・ビーというバンドをより客観的に見えるような感覚はありました?

磯部
実はそういうの、ないんですよ。でも、不思議すぎて言葉にできない感覚はありますね。ハスキンをやむなく止めて、MARS EURYTHMICSとかいろいろやって、よく、解散したバンドの後は音楽をやるのも大変だっていう話を聞いてましたけど、まさしくそういう体験になったなと思いましたし。でも、今回ハスキンをやって、重い荷物を降ろせた感じはしますね。いろんな意見があるけど、とにかく自分がやりたいと思ったことは何を言われてもやった方がいいよ、と自分のすごく好きな人からも言っていただいて。本当にそうだなと思ったし、重いものが取れたような気がしましたね。

――逆に言うと、これまでは重荷みたいなものを感じていた?

磯部
まあ、自分にとっては必要なことだったんではなかろうかと思うんですけどね。でも、この何年間かの経験の中では、磯部正文BANDをやらしてもらったのが1番大きかったかと思います。

――それはどういう意味で大きかった?

磯部
「ソロという名義上、ハスキング・ビーの曲もやっていいんでは」みたいなヒダカさんの意見に、乗っかっちゃおうと思ってやらしてもらったんですけど。これまで自分が対バンしてたバンドの方とかに集まってもらって、それでみんなで奏でても、ハスキンの曲はやっぱりハスキンだなあと思って。みんなで弾くと楽しい曲になってるんじゃないかなっていう自信にもなりましたし。

人に優しくできたり、明るくなれたりするようなライヴを

――わかりました。では最後に。ちょっと大きな質問ですけれど、ハスキング・ビーというバンドにとってのライヴって、どういう場所というイメージがありますか?

磯部
最近は少し変わってきましたね。昔は、使命感っていうか。なんかもうダメだと思ってるような人たちが1人でもいたらその人を救いたいみたいな、「誰かを救うんだ」「命を救うんだ」みたいな気持ちでやったりしていて。でも、最近はその気持ちが支配してるわけでもなくて。

――というと?

磯部
簡単に言うと、やっぱり、みんな仲良くなってほしい。そういう感じでライヴをやってますね。ライヴを観たっていうことをきっかけに、人に優しくできたり、明るくなれたりするようなライヴをできたらいいなと思ってます。

HUSKING BEE

磯部正文(Vo/G)、平林一哉(G/Vo)、岸野一(B/Cho)、山崎聖之(Dr/ Cho)

94年結成。4人編成からボーカル・ドラムが脱退。磯部正文(Vo/G)、工藤哲也(B)、平本レオナ(Dr)の3人編成となり、東京、横浜を中心にライブ活動を続ける。96年、レーベルPIZZA OF DEATHより横山健プロデュースで1stアルバム『GRIP』をリリース。98年、BACK DROP BOMBと共にマネージメント事務所「ini(アイエヌアイ)」を設立。同年10月、マーク・トロンビーノをプロデューサーに迎えた2ndアルバム『PUT ON FRESH PAINT』をリリース。00年、平林一哉が加入し4人編成となり3rdアルバム『FOUR COLOR PROBLEM』を、02年に4thアルバム『the steady-state theory』、04年に5th アルバム『variandante』をリリース。05年3月にバンド解散。2012年2月、「DEVILOCK NIGHT FINAL」にて再結成。同年9月「AIR JAM2012」にて新メンバーの参加と工藤の離脱、本格的な再始動を発表。

http://www.husking-bee.com/


NEW ALBUM『SOMA』

2013年2月20日(水)発売
HICC-3432 / 2,500円(税込)

[CD収録曲]
01. Art Of Myself
02. Put On Fresh Paint
03. Feedback Loop
04. Mingle With The Night
05. 暖願コントロール
06.らせんの夜
07. Sun Pillar
08. Taking In The View
09. 星降る昏い
10. Face The Sunflower
11. 窓朗夢
12. 萌弾タイムス
13. Cosmo

LIVE DVD
『HUSKING BEE 2012 LIVE at AIR JAM 2012, DEVILOCK NIGHT, BAD FOOD STUFF』

2013年4月3日発売予定
TFBQ-18137 / 3,000円(税込)
[ 収録楽曲 ]
OPENING
01. Cosmic rays
02. Anchor
03. 8.6
04. Put on fresh paint
05. Life
06. D.W.S.
07. A small potato’s mind
08. 欠けボタンの浜
09. The sun and the moon
10. #4
11. By chance
12. New horizon
13. Question
14. A single word
15. Sun myself
16. The steady-state theory
17. 摩訶不思議テーゼ
18. 新利の風
19. Walk


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