NEXUS アーティスト・インタヴュー:星野源

星野 源が、ニューシングル『フィルム』をリリース。その初回限定盤付属のDVDに収録されている約70分の映像作品「フィルムのビデオ」が、とてもシングルの特典とは思えないほどの盛り沢山な内容になっている。

映画『キツツキと雨』主題歌として書き下ろされたこの“フィルム”では、映画を手掛けた沖田修一監督がミュージックビデオの監督も担当。星野 源の発案のもと、ゾンビが日常的に存在する世界で星野 源がニュースキャスターに扮するというストーリー仕立てのMVを仕上げている。

DVDには、MVのメイキングやお蔵入りになったその別バージョン、さらにはライヴ映像や、レコーディング風景などのドキュメンタリーまで収録。星野 源とスタッフによるオーディオコメンタリーも含め、約70分、たっぷりと楽しめるものになっている。

この「フィルムのビデオ」について、じっくりと語ってもらったのが以下のインタヴュー。特典映像は本人も語る通り「おまけ」ではあるかもしれないが、実はそういうところだからこそ如実に表れる“星野 源という表現者”の本質に迫る話が訊けたのではないかと思う。

取材・文=柴那典


お金を出して買ってもらうからには、満足してほしい

――まずこれ、相当気合が入った作りですよね。すごいな!って思いました。

星野
すごいんですよ(笑)。これは自信を持って『すごい』って言えます。

――そもそも、これだけ力を入れた、映像作品としてもリリースできるクオリティのものを「シングルの特典」として作る理由というのは、どういうところにあるんでしょう?

星野
もちろん、シングルとして何が面白いのかということを考えて作っているというのがあって。アルバムは、作品性が強いべきだと僕は思うんです。音だけをパッケージしたひとつの作品であるべきだという。でもシングルは、作品性が最も必要なのは表題曲1曲で、その他のカップリングや特典は自由でもいいと思っているんです。だからシングル企画性が高いものなんですよね。で、ずっと前から、そこに手を抜きたくないなって思っていて。2曲だけ入れて終わりとか、DVDにも表題曲のPVが入っているだけで5分で終わりとか、そういう作品を見て『自分はこうしたくない』って思ってたんですよ。だから、自分がそれを出せる立場になった時には、いっぱい遊んで、面白いものにしたかったというのが大きいです。あと、もったいない気がしちゃうんですよ(笑)。光ディスクを使い切らないともったいない。

――(笑)。貧乏性みたいな?

星野
そうですね(笑)。「これしか入ってないのか」って思われたくないんです。今だに貧乏で食費を削りながらCD買ってた時の気持ちが忘れられなくて。今は、残念だけど、動画サイトを見るだけで済ませてしまったり、お金を払わないことに疑問を感じない人も多いから。なおさら、買いたくて堪らなくなるようなものを作りたい。

――でも、ここまで内容があれば、買った甲斐がありますよね。

星野
そう思ってもらいたいです。前のシングルの『くだらないの中に』の映像も評判だったんで、買ってなかった人も今度は買おうと思ってもらえたら嬉しいし。やっぱり、お金を出して買ってもらうからには、満足してほしい。トクをしてほしいんですよね。CDが売れないという話もよく聞くけれど、それで縮小するんじゃなくて、できる範囲で面白いものを提供したいと思うから。

――そこは予算よりもアイディアの勝負ですよね。

星野
そうですね。実際、シングルの4曲目、5曲目の“House Ver.”は、予算がかかってないですからね。自分の家で僕が1人で努力しているだけ。でもそれ、面白いからやろうよ!っていう。そのほうが楽しいし、その努力は惜しみたくないですね。

主張もあるけど、それを熱く見せないところに、信頼を感じる

――“フィルム”は、まず映画ありきで作った曲なんですよね。

星野
はい

――曲を作った時点で、映画とのリンクのようなものは考えていたんでしょうか?

星野
まず監督に『好きに作ってください』と言ってもらえて、任せてもらえたんですよ。「信頼してもらえてるんだな」って実感もあったし、任せてもらったからには応えたい気持ちがあって。今回は、映画を見ていなくても曲だけの世界が成立してて、映画を観た人も、最後に流れた音楽でストーリーの全体を思い出してもらえるような、映画の雰囲気を感じられるような絶妙なものにしたかったんです。そこに、自分の作りたい気持ちや言葉も、ちゃんと入っている。そのふたつが両立する曲を目指して作りました。

星野源


1981年、埼玉生まれ。シンガーソングライター。学生の頃より音楽活動と演劇活動を行う。2000年に自身がリーダーを務めるインストゥルメンタルバンド「SAKEROCK」を結成。2003年に舞台「ニンゲン御破産」(作・演出:松尾スズキ)への参加をきっかけに大人計画事務所に所属。10年にファーストアルバム『ばかのうた』、11年にセカンドアルバム『エピソード』を発表。ミュージシャン、俳優、文筆業、映像ディレクターなど多方面で活躍中。

http://www.hoshinogen.com


2ndシングル

2ndシングル「フィルム」
2012年2月8日(水)発売
[初回限定盤(CD+DVD+スリーブケース)]
VIZL- 456 定価¥1,890(税抜¥1.800)
[通常盤(CD)]
VICL-36683 定価¥1,260(税抜¥1,200)

[ CD収録内容(初回盤・通常盤共通) ]
1.フィルム
2.もしも
3.乱視
4.次は何に産まれましょうか(House ver.)
5.落下(House ver.)

[DVD収録内容(初回限定盤のみ)]
『フィルムのビデオ』
監督:山岸聖太
Music Video:
「フィルム」(監督:沖田修一)
「日常」(監督:山田一郎)
Live:
『星野 源の「エピソード1」』
(@SHIBUYA-AX 2011/10/02)
Documentary:
Recording & Music Video メイキング
星野 源 in 台湾
など

星野 源とスタッフたちによる
オーディオコメンタリー収録


【ツアー情報】
『エピソード2以降』
1月29日(日)札幌・ペニレーン24
2月2日(木)仙台・RENSA
2月7日(火)名古屋市芸術創造センター
2月9日(木)広島クラブクアトロ
2月10日(金)福岡・天神イムズホール
2月12日(日)大阪・サンケイホールブリーゼ
2月20日(月)東京・中野サンプラザ

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