NEXUS アーティスト・インタヴュー:GO-BANG'S 

いわゆる「パンク」ではない、「自分らしく」というパンク精神。

GO-BANG'S

――パーソナルな部分の話に戻るのですが、森若さんって人当たりはとても楽しい方だし、一貫してポジティヴなところが強いですよね。そういう方が、なぜパンクっていう音楽をお好きだったんですか?

森若
当時の皆さんと一緒だと思うんですけど、私が触れてきたのは70年代のハードロック。クイーン、キッス、エアロスミス、ベイ・シティ・ローラーズっていうもので。小学校のときは漫画家の楳図かずおさんが好きで、漫画家になりたかったオタクな子だったんですけど、小学校の卒業で引っ越したんですよ。それで春休みに周りに友達がいない中ラジオを聴いてたら洋楽ってすごい!ってなったんです。それで洋楽を聴き漁るようになって。最初は大人の人がやっている音楽という感じで聴いてました。パンク、ニューウェーブで最初に聴いたのはブロンディ、あと大貫憲章さん(ロックジャーナリスト)の番組を聴いたりとか……もちろんその後クラスの子に聞いたディープ・パープルとかレッド・ツェッペリンとかもすごい聴きました。その中でも、きっとパンク・ニューウェーブというものが自分に近い、図々しい言い方をすれば「友達」感覚のものとしてあって。ファッションとかも自分に近い、自分のしたい格好で、それがパンクにのめりこんでいった流れですね。

――当時のパンクに触れていた人たちは、世の中に反抗していこうということを、顔を白くしたりと、奇異な行動をすることで果たしていた。特に日本のアンダーグラウンドシーンではそれが顕著だったと思うんです、政治が強い国でもなかったから。森若さんたちは当時のパンクの巣窟である新宿LOFTとかで活動していたし、パンクが好きで、バックボーンがしっかりした音楽をお持ちですよね。その中で世の中の流れに囚われずにヒット曲も出したしサヴァイヴしていった、ある意味特異なバンドだなって思うんです。

森若
今振り返ってみると、GO-BANG’Sはみんなパンクとかが好きで。美砂(谷島美砂:ベース担当)とか光子(斉藤光子:ドラム担当)は渋めのエルヴィス・コステロとジョー・ジャクソンとかが好きでしたね。私はブロンディとかセックス・ピストルズが好きで。けどそのパンクの反抗精神みたいなものが、「私達は私達のものをやる」っていうように変化したんでしょうね。ポップで怖くない感じというか。
GO-BANG'S

――亡くなってしまった方のことを推測するのも失礼ですが、多分清志郎(忌野清志郎)さんが上京前のGO-BANG’Sを良いと思ったのは、ロックなんだけど楽しいっていう部分だと思うんですね。そういうのって清志郎さんにはあったけれども、当時の他の日本人のロックには中々なかった才能だから。

森若
清志郎さんのカラフルさっていうのは私達もかなり受け継いでると思ってます。黒ではないあの虹色、花柄のような清志郎さんというのはとても異色でしたけど、あの歌のうまさとRCサクセションの音楽や歌詞の深さとかは本当に素晴らしかったです。

――初期の頃は怖いシーンの中で(笑)、ある種清志郎さんのような楽しさみたいなものを自分たちも出していければ、やがて道は開かれるだろうといった心境だったのでしょうか。

森若
まぁそうですよね。最初はバンドが楽しくてやっていたっていうところが一番で。その中で、図々しくとかじゃなく、確信を持って「清志郎さんが良いと言ってくれたものが悪いわけないじゃない!(笑)」っていう気持ちで進んでいけたところはありました。何しろ最初に会ったプロの方が清志郎さんだったので、どこに行っても、誰に会っても驚かない、一種の自信っていうのはGO-BANG’Sにはあったのかなと思いますね。

――デビュー当時、どちらかと言えばナゴム系でしたよね?

森若
はははははは。事務所がナゴム系の有頂天とか筋肉少女帯と同じだったんですね。だから「たま」は後輩なんです(笑)。

――あの時代って「ポコチンロックブーム」、「ホコ天ブーム」、「イカ天ブーム」とかが重なり、いわゆる日本の最初のバンドブームだったじゃないですか。森若さんはその当時の時代感をどのように感じてらっしゃったんですか?

森若
人との繋がりで言えば、ナゴム系の人たちとは今でも会うと嬉しい存在ですよね。

――例えばケラ(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)さん、大槻ケンヂ、石野卓球、などなど。みんな「音楽が出来ちゃう変態」ばかりですよね。

森若
はははははは! 紙一重とはよく言いますけど、やっぱりあの人達は天才でしたよね。あのブームの中でアーティストらしい天才肌な人たちに囲まれていたことは幸運だったなと思いますね。

「未完成」でも大丈夫

GO-BANG'S

――そしてやがて大ヒット、武道館公演成功ということになっていきますけど。その時代にGO-BANG’Sが「バンド」として実績を残したことは、後に続いていくガールズバンドの一つの指標になったと思うんです。

森若
そうであるなら嬉しいですね。そもそもギターのいない状態でメジャーデビューした私たちはある意味「未完成のバンド」でした。でもそのおかげで、白井良明さんとかアイゴンとかとの繋がりも持てた。未完成を最大限生かして渡りきったバンドがGO-BANG’Sだったとも言えますよね。だからこそ「未完成でも大丈夫だよ」って、身を以て言ってあげたいですね(笑)。

――(笑)その辺りのしなやかさ、甘え上手とも言っていい感覚は、デビューしてから身についていったものなんですか?

森若
そうですね(笑)。ライヴハウスで機材を運んでいる時もよいしょ、よいしょって声に出して運んでたら、対バンの男の子たちが手伝ってくれたりとか。変に男の子に負けん気を出すより、甘えるところは甘えたほうが女の子たちはいいんじゃないかなと思いますよ(笑)。

――そして約20年前にバンドとしての活動を終えた訳ですが、森若さんは正直なところGO-BANG’Sを続けたかった人なわけじゃないですか。

森若
そうですね(笑)。
GO-BANG'S

――その後、森若さんはソロ活動など様々なことをなさっていましたが、その間GO-BANG’Sに後ろ髪を引かれるような思いはあったのですか?例えば恋愛で言うと、よくよく考えると自分の本質はあの人と共にあったんだなという出戻りパターンもあるじゃないですか。森若さんにとってGO-BANG’Sはそういうものだったんじゃないのかなって思ったのですが。

森若
まぁ完全にそうだとは言えないですけど(笑)。けどもちろん思い返してみると良いものだったとは思います。ただ、いわば今の彼氏である、自分のソロ活動や作詞活動を捨ててまで、元カレであるGO-BANG’S一本で行くという考えはなくて。しっかりと今の仕事もキープしつつ、GO-BANG’Sとも付き合って行きたいって思ってます。

――非常にフラットかつ正しい選択を果たした訳ですね。

森若
その感覚はとてもあります。ソロ活動を始めた時も、初期の頃の“あいにきて I・NEED・YOU! ”とか“スペシャル・ボーイフレンド”のイメージが強かったんですけど、後半の“キスしたい”の頃とかは結構どんどんオルタナティヴな感じになっていったとか。その頃って朝本君(朝本浩文)とか、アイゴンとかと一緒にRam Jam Worldってバンドをやっていた頃で。だからある意味でのRam Jam Worldプロデュースみたいな感じだったんですよ。そういえば、あの頃はイッチャン(LOW IQ 01)とも一緒にやってたし、すでに光子もいなかったし、美砂も全てに参加しているわけではなくて……いろいろな歴史がありますよねぇ(笑)。

――本当に時代を超えて、最高の猛者たちに愛されてきたんですね。時代のシンボルのような方々ばかりですもんね。清志郎さん、ナゴム勢、東京クラブカルチャーのキーマン、そしてAIR JAM勢……凄いっす。

森若
人付き合いをしてきて思うのは、この人面白いなーとか思ってた人って必ずどこかで繋がっていきますよね。嫌々でやっている付き合いとかって絶対無理ですし。清志郎さんとの縁もそうですけど、繋がりは大事だなっていうのはとても教訓としてありますね。

――とても面白いお話を沢山聞かせていただいてありがとうございました。それではこれから実際どのように活動していこうと思っているのか、最後に教えてください。

森若
これから私一人の「スペシャルGO-BANG’S」として頑張っていくわけです。まずは元ゴーバニストと言われるファンの人達と会えるイベントも企画してますし、ライヴもやりたいと思ってます。とにかく、GO-BANG’Sの曲を歌っていきたい。もはや自分のソロ活動も、「あれはGO-BANG’Sだったんだよ!」ぐらいの勢いで、GO-BANG’Sの25年間を表現していけたらな、と思います。これから先、歌っていけるのはあと10年くらいだと思うから、一つ一つ大切にして行きたいですね。

――森若さんって先天的なポップさを持っていると思うんですね。だからこそ、今の時代なりの森若さんのポップを出していければ、また独自の活動が見えてくると思うんです。なので、それを楽しみにして……まずは25周年おめでとうございます!

森若
ありがとうございます!! これからもよろしくお願いします。

GO-BANG’S

1988年『ざまぁカンカン娘(ガール)』でメジャーデビュー。1990年にスキーショップのCMタイアップ曲「あいにきてI NEED YOU!」でチャート1位に輝き、日本武道館公演も果たす。1994年解散。2013年5月25日GO-BANG'S 25周年ベストアルバム『スペシャルGO-BANG'S』リリース(ポニーキャニオンショッピングクラブ先行発売)。

gobangs.com

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Vo.森若香織 選曲・監修
25周年ベストアルバム
『スペシャルGO-BANG’S』

2013年5月25日(土)発売
DMCA.40275 / 2,940円(税込)

[ 収録楽曲 ]
01. ざまあカンカン娘(ガール)
02. かっこイイ ダーリン
03. スペシャル・ボーイフレンド
04. チキチキバンバン
05. あいにきてI・NEED・YOU!
06. 無敵のビーナス
07. BYE-BYE-BYE
08. サマンサ
09. ちょっとだけハイカラ
10. 恋のフリフリ
11. ダイナマイトガイ
12. キスしたい
13. Sha・la・la
14. テレフォンコールで抱きしめて
15. 人生は絵の具のパック
16. ショートカット・ラブリー
17. ロリポップ・ロリータ・ロンリーディ
18. アイスクリームマン

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