NEXUS アーティスト・インタヴュー:Dragon Ash 失った命、それでも消えない絆、そして生まれた決死の覚悟。 数々の名作を超えた最高傑作アルバム『THE FACES』、今放つ!

最新アルバム『THE FACES』は、彼らにとって10枚目のオリジナルフルアルバムである。ここまで来るまでに、売れなくてもう解散しようと思ったことも、そうしたら突然成功してそのまま時代の寵児バンドになったことも、その後で精神的な挫折に至ったことも、そこから立ち直るべく、最初は3人から始まったバンドが7人の大所帯になったことも、いろいろあった。
ただ、この3年間の彼らは今まであれだけ様々な経験をして来たにも関わらず、未だ味わったことがない絶望を感じた。バンドが世の中に出るきっかけを与えてくれたディレクターと、Kjや桜井と共に最初からこのバンドを支えたベーシスト馬場IKUZONEの「死」である。
そこからバンドとして這い上がる、つまりはもう一度活動し、新たなDragon Ashの音楽を生み出そうとなるまで、彼らは大いなる時間を費やした。その時間のすべてが、このアルバムの素晴らしさに結びついている。 歌わなければいけないこと、鳴らさなければいけないこと、それをどう歌い鳴らせばいいかを追い求めること。それだけを考え、実行し、生まれた曲が、ここに14曲ある。それらはすべて、「今、俺らが歌えばみんなに響く」という確信の音だ。
圧倒的な才能を持ったアーティストが、今やらねばならないことだけを音楽にし、それを稀代の経験を積んだバンドが生きる証明として鳴らす。
アルバム『THE FACES』は生むべくして生んだ、Dragon Ashという最高のバンドによる、ロックの新しい金字塔だ。
Kjと桜井と話をして来た。

取材・文=鹿野 淳 構成=柴 那典


初期アップのインタヴュー原稿部分に不備があったため、修正させて頂きました。
ご迷惑をおかけした読者の皆様ならびに関係各位に、深くお詫び申し上げます。


何があっても、這いつくばってでも進もうと思ってた

――このアルバムは、フィーチャリングでKenKen(RIZE)が参加している“The Live”以外は、全て6人でレコーディングしたんだよね。まずはそのことについて話を訊かせてください。

Kj
そうだなあ……紆余曲折あったけど、(今いるメンバー)6人で全てを超越しようというアルバムを作ろうとした、ということだね。で、それが出来た確信が自分たち6人に今はある。そのことは幸せなことだと思うね。

――アルバムを作るにあたって、そういうことを決めるミーティングをした?

桜井
そうね。何をどう進めようというテーマもなかったんで。単純にみんながみんな混乱している中で、進むためにはどうするか、どういう形態を取るかという話はした。最終的に俺らだけで制作はできるから、6人だけでやろうというところに落ち着いたんです。勿論、Kjがベースを弾けるのは知ってるしさ。ウチの場合、録り方自体は各々が録るというのをずっとやってきたわけだし、作業の環境自体が大きく変わったかといえば、そうではないので。

――今回のアルバムはバンドのキャリアの中で一番インターバルがあいたアルバムになったわけで。まず馬場さんが亡くなる去年の春まで約1年半ありました。その間にはデビューの時からずっと一緒にやってきたレコード会社のディレクターが亡くなったこともありました。あの間、アルバムを制作しよう、音楽を作ろうというのは、どういう動きだったんですか?

Kj
それでも俺たちにはこれ(バンドで音楽作ってやる)しかないんで、やりたいですっていうことだよね。そういう感覚で“Run to the Sun”を作った。馬場さんが居る時点で“Run to the Sun”と“Walk with Dreams”と“Blow Your Mind”と“Today’s the Day”はすでに完璧なデモを持っていってて。何があっても、這いつくばってでも進もうと思ってた。……本当に過去最高のものを作ろうと思って、俺が持っていったのがその4曲だった。

――その時点で失われた人も、その大きさも、全て背負っていた。それを背負ってバンドでいい音楽を作ろうと、一致団結したんだ。

桜井
そうですね。ライヴはできるけれど、制作はずっとディレクターが居てやってきたことなんで。すぐに踏み切れないというのがあって。今は新しいディレクターがついてくれているけれど、最初はスイッチをすぐに切り替える気にも、正直なれなくて。

――ドラゴンアッシュはそういうバンドなんですよね。運命共同体だから。

桜井
まさにそうなんですよね。そこで一年間が必要だったということです。

「やる」ってことになって初めて「あ、曲はあるよ」って言った

――で、リスタートしようとして馬場さんが亡くなってしまった。そこから立ち上がるまでに相当な時間がかかったと思います。前回のNEXUSでのインタヴューでは、まだアルバムを作ろう、ここからまたバンドをやろうというモードにはなっていない。そこまで頭を切り替えられないメンバーがいる、という話も聞きました。そこからどう切り替えて、ここに至ったのかを教えてください。

Kj
俺は最初からやろうと思っていたよ。曲も作っていたし、ずっとね。そこで足踏みしないように、もう一度やろうとなった時のために曲を作ってた。

――それは、6人の足並みが揃っていなかったということだよね。

Kj
うん。でもその足並みは、俺が揃えるものでもないしさ。

――俺の曲だったら足並みを揃えられるかもしれないっていう気持ちはなかったの?

Kj
いや、全然ないよ、そういうのは。曲ができたとも言ってないからさ(メンバーには)。「やる」ってことになって初めて「あ、曲はあるよ」って言ったからね。

――格好良すぎるな。

Kj
だろ? 半端ねえだろ(笑)。
桜井
メンバーそれぞれ、あと事務所やスタッフとの“間”をとる作業が一番多かったかな、俺は。……いろんな人の意見を聞いて、みんなそれぞれどう思っているのかもわかってたし。それを上手く、ドラゴンアッシュをやるという方向に持っていきたいと思ってましたね。ここで「まあいいや」ってあきらめて自分が動かなかったら、ドラゴンアッシュは終わっちゃうなと思ったので……。その橋渡しを担ったというのはありますね。それで結構疲れた。かなり疲弊した。

――俗に言うネゴシエーターとして頑張ったんだね。

桜井
そうだね(笑)。でも、こうやってアルバムが完成して、インタヴューを受けてるうちにようやくみんなの気持ちがわかってきたっていうのもある。

――要するに、バンドをやめたい人間、音楽をやめたい人はいなかったんだよね。ただただ、どう走りだしていいかわかんなかった。

桜井
ほんとそうだね。喰らった衝撃を自分でどう処理していいかわからない人もいたし。……結局はドラゴンアッシュをやりたかったからね、俺は。全てはそこですね。

マジでなりふり構ってない

――毎回素晴らしいアルバムを作ってるんですけど、今回のアルバムは曲への思いの強さが、過去と比べても秀でてると思いました。音楽的にも若干の変化が生まれたアルバムだと思ったし。まず最初に曲を作ったとき、アルバムを作ろうと思ったときに、思い描いていたことはありました?

Kj
うん。「Show Must Go On」というテーマはあった。つまり、やり遂げようということだよね。

――バンドを続けよう、ってことね。ドラゴンアッシュが動く、動かす。そのために俺はこういう曲を作ろうと。

Kj
うん。ただ、曲としてのテーマはないです。俺自身は、曲調が変わったとも思ってないし。それでも全てにおいて過去を凌駕していると思う。クオリティとか技術とかメッセージ性とか、何も等価交換しないで、全てを超越したアルバムを作れたと思ってる。

――そういうアルバムを作ろうと思って有言実行したからだよね。

Kj
まあ、俺たちの思いもあるけど、聴く側の思いもデカいと思うよ。基本的にドラゴンアッシュの味方じゃないライターさんってあんまりいないからさ、今。「よくやった!」って思いが強いんだよね。それもあって、連日連夜(取材や仲間から)、すごい褒められてるから(笑)。
桜井
そうだよね。ホントに?みたいな(笑)。

――それはこのアルバムが完成した今に始まったことじゃないと思う。それこそ二度の大きな悲劇もあったし、客を仲間だと言い続けてきた10年以上の時間があった。それを経て、仲間と言われた客が「こんどはあいつら(バンド)を励ます番だ」と。そういう時間がこの2年間だったと思うんだよ。

Kj
まさに。確かにそれは凄く大きかったね。

――曲を書くモチベーションにもなった。

Kj
なったね。まあ、単純に通ってきた修羅場の数が普通のバンドとは違うからさ、Dragon Ashは。すごいインナーマッスルの集団にはなってると思うけどね。

――“Golden Life”という曲で、そういうことを歌ってますよね。

Kj
うん。それだけの経験していたらさ、いいアルバムを作れるって思うよね(笑)。

――(桜井に向かって)客観的にバンドを見てる立場として、どうしてこういう素晴らしいアルバムが作れたんですか?

桜井
うーん、自分は客観的には見れてないですよ。自分のパートをどれだけよくするかってことしか見えてないドラマーですから。人のことまで構ってられないというのが、レコーディングしてる時は正直なところですね。
Kj
そうだなあ……今までもそうだったのかもしれないけど、「何をするか」じゃなくて「いかにいい曲にするか」をみんな考えていたんじゃないかな。あと、過去と違うところで言えばマジでなりふり構ってないっていうところはあるよね。クソほどいい曲、クソほど盛り上がる曲を作ってやろうということしか考えてないっていうかさ。

生き延びようとしている感じがない。血の一滴、骨、肉。そういうものだけで構築してる

――これまで、いろんな時代があったじゃない? 浮かばれないこともあったし、黄金時代もあった。やるせないことも起こったし、新しいバンドの再編をして無理やり音楽を作っていったこともあった。今回のアルバムは自分たちのためとか相手のためじゃなくて、時代も関係なく、とにかくいい音楽を作ると。一番シンプルなところにいっているよね。何もあてにしてない――そんな筋の通り方が、このアルバムを傑作にしたんじゃないかと思うんです。

Kj
それはないけど、すげえ緻密なことを、緻密に聴こえないように作るというのはあるかな。それは自分の音楽的なテーマとしてずっとあるよ。

――ポップミュージックにおける一番素晴らしいロック・ミュージックの在り方がそうだよね。フィル・スペクター(歴史的プロデューサー)もビートルズもそう。実際、どうやればそれが果たせるの?

Kj
いろんな経験をすることじゃないかな。あと、今回に限って言えば、俺は生き延びようとしている感じがないなって思う。大袈裟に言うと、このアルバムを作って声が出なくなってもいいという感覚で作ってたし。“Curtain Call”という最後の曲まで、全てそういうつもりで作ってる。

――生き延びようとしていないっていうのは、一曲一曲の中で100%を使い切ってるっていう話?

Kj
そう。こういうのって口で言うと安いんだけど、20年弱やってる人がそれを思うって、よっぽどだと思うんだよね。音楽をやってるのが誰よりも楽しいってわかってるから長くやってるわけじゃん。そういう人間が「先を見てない」と言って作ってる。血の一滴、骨、肉。そういうものだけで構築してるんだよね、このアルバムは。

――いつも潔い活動してきたし、そういう姿勢でバンドもやってきたと思うんだ。でも今話してくれたようなことは、今までやってこなかったよね。それは何が違うの?

Kj
実際、日本人のアルバムって、ツアーのブッキングを一年前くらいからしていて。たとえばそのツアーが2月からだったら、1月までには出したいよねっていう。そういうものだけで作ってるわけじゃん。「やりきった」っていうわけじゃなくて。

――悪しき言い方をするとルーティンワーク。

Kj
そうそう、良い言い方をするとライフワークだと思うんだけど。でも、今回はやり切った感があるんだ。だからといってまだ枯渇はしてないけど、初めての感じなんだよね。

Dragon Ash

1997年、Kj(vo&g)、IKUZONE(b)、桜井誠(dr)の3人でデビュー。
BOTS(dj)、HIROKI(g)、ATSUSHI(dance)、DRI-V(dance)が加入し7人編成になるも、 2012年、オリジナルメンバーのIKUZONEが急逝。
2013年、現在のメンバー6人で再び前進することを決意する。
デビュー時よりあらゆるジャンルを驚異的なスピードで横断し、これからもDragon Ashとしか表現しようのない音を鳴らし続ける。
常にオルタナティヴな道を自ら選びながらも、圧倒的なファンの支持を得続ける日本の音楽シーンを代表する怪物バンド。
又、バンドの司令塔であるKjは音楽はもとより、ライフスタイルからファッションに至まで絶大な影響力を誇る。

http://www.dragonash.co.jp/


ニューアルバム『THE FACES』

2014年1月15日(水)発売
初回限定(CD+DVD):VIZL-621 / 3,400円(税抜)
通常盤(CD):VICL- 64098 / 2,800円(税抜)

■収録曲
01. Introduction
02. The Show Must Go On
03. Trigger
04. Run to the Sun
05. Neverland
06. Today’s the Day
07. Here I Am
08. Blow Your Mind
09. Still Goin’ On feat. 50Caliber, Haku the Anubiz, WEZ from YALLA FAMILY
10. Golden Life
11. Walk with Dreams
12. The Live feat.KenKen
13. Lily
14. Curtain Call

■特典
・「Dragon Ash Tour THE SHOW MUST GO ON」バックステージご招待キャンペーン抽選応募ハガキ封入
・プレミアム封入特典(※詳細は2014年1月に発表!)

■初回限定盤付属DVD収録内容
3年ぶりのフルアルバムをメンバーへのインタビューやレコーディング&ビデオメイキング映像などにより読み解くスペシャルビデオ「THE SHOW MUST GO ON」を収録。
・収録予定ミュージック・ビデオ
「Lily」「Here I Am」「Trigger」「Run to the Sun」「Walk with Dreams」

■ライヴ情報
「Dragon Ash Tour THE SHOW MUST GO ON」

2月01日(土) SHIBUYA-AX
2月07日(金) Zepp Tokyo
2月09日(日) 京都KBSホール
2月10日(月) なんばHatch
3月01日(土) Zepp Fukuoka
3月02日(日) T.O.P.S Bitts HALL
3月07日(金) Zepp Nagoya
3月09日(日) 川崎CLUB CITTA’
3月14日(金) 岡山オルガホール
3月15日(土) BLUE LIVE 広島
3月23日(日) キッセイ文化ホール 中ホール
4月05日(土) 富山・南砺市福野文化創造センターヘリオス
4月06日(日) 福井県県民ホール
4月12日(土) 桐生市市民文化会館 小ホール
4月13日(日) 新潟LOTS
4月18日(金) いわきアリオス中劇場
4月20日(日) 石巻Onepark
5月31日(土) 日本武道館

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