NEXUS アーティスト・インタヴュー:ドラゴンアッシュ

ツアーもあったし、毎年各フェスでも大活躍だし、つい先日も『LOUD&PEACE』という2枚組のベスト盤をドロップしたばかりだし、何しろ今年はデビュー15周年である。ドラゴンアッシュにとってとても大事な2012年に、シングル“Run to the Sun/Walk with Dreams”がドロップされる。
 バカみたいなことしか書けないが、本当に太陽に向かって走るような硬質なミクスチャーロックンロールだし、本当に夢を抱えて確かな足取りで歩くようなノスタルジックなリズムバラッドである。彼らが15年間の中で培って来たこの国ならではのミクスチャーロック、その動と静の黄金律が、見事に響いて来る名曲の誕生だ。
 しかし、ご存知の人が多いだろうがドラゴンアッシュは順風満帆な再出発を遂げたわけではない。むしろ満身創痍だからこそここに留まるわけに行かずに走り出した再起である。去年から起こった数々のアクシデントや哀しみ、そしてベーシストIKUZONEの永眠―——。今回の降谷建志へのインタヴューはけして歯切れのいいものではないが、だからこそ彼が本当に欲しているのは何なのか? 本当の心の声が響く、LIVE TALKになっている。
 ドラゴンアッシュがいなかったら、この国のロックとポップの関係も変わっていたし、フェスの空気も変わっていたし、メッセージロックの在り方も間違いなく変わっていた。そんな彼らのケツを、今こそ音楽ファンが持ち上げ、そして蹴り上げる時が来たのだと思う。

取材・文=鹿野 淳 構成=柴 那典

去年、今年にあったことは、一生忘れないと思う

――ついに大河ドラマへの俳優としての出演も決まり、油が乗り切ってるアーティストに貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。

Kj
ははははは! そうそう。完全にロックに見切りをつけて、いよいよスター街道を歩き始めたKjさんです(笑)

――それがバンド15周年に対しての一つのけじめだと。

Kj
そうです。バッド・ボーイも、もういいだろうと(笑)

――(笑)それはさておき、久しぶりのシングルが出ます。ドラゴンアッシュは2010年の12月に『MIXTURE』というアルバムを出して、そこから馬場さんのことだけじゃなく、いろいろな哀しいことがあって、そして今、久しぶりの作品としてベスト盤とシングルがリリースされたわけですけれども。ようやくバンドとしてきっちりと走り出せる状況が来た感じなんでしょうか?

Kj
正直、今は、この先を決めてやってるわけではないね。とりあえずシングルを出す経緯は、馬場さんの遺作だから、ちゃんとそれを人に届けようということ。それだけです。こういう曲を作っているときにこうなったというのを知ってもらいたいといのもあるし。記念碑として出す、という感じ。で、決まってるフェスに関しては、誠心誠意やる。そこまでしかまだ決まってない。

――馬場さんの死だけじゃなく、ドラゴンアッシュは他にもここまで沢山の死と向き合って、ここに来ているよね。それも含めて、一度走りだそうと思ったけれども、それでも簡単に足並みをそろえることがいかないくらい、馬場さんのことが大きかったということ?

Kj
まあ……そんなに簡単に咀嚼できることじゃないからね。ただ、俺はもう、何があろうが、どうなろうと、音楽は作る。ライフスタイルそのものだから。中毒といえば中毒だし。そういう感じだね。で、今回のシングルについては、記念碑として出そうということ。

――わかりました。振り返っての話をさせてください。『MIXTURE』というアルバムは、バンドとしての未来を感じさせる作品だったと思います。

Kj
うん。

――それを引っさげて2011年からツアーを回っていて、その中で震災も起こったし、それに対する様々な形でのアクションも実行してきた。そうして、昨年の4月にツアーが終わりました。その時に、まずどんなことを考えましたか?

Kj
簡単に言うと、音楽の必要の無さ、無力さも痛感したし、音楽の正当性とか、音楽が必要だという実感も、より具体的に意識できたという感じだったかな。

――それは震災を受けてそう思ったということ?

Kj
そう。でも、その後にも馬場さんの手が動かなくなったというのがあるから。去年は、そういう一年だった。大きな一年でしたね。去年、今年にあったすべてのことは、一生忘れないと思う。

――ツアーが終わったあたりで、ドラゴンアッシュとしてやりたいこと、作りたい曲はどういうものだったの?

Kj
その時は、何もなかったかな。オリンピックに行った人に「4年後どうしますか?」って訊いても何もないのと一緒だという(笑)。もちろん、次のことは考えてたと思うけど。

――去年には、自分たちを発掘して、デビューの時からずっと一緒にやってきたレコード会社のディレクターがこのチームから病のせいで離脱していくということがありました。それはバンドにとって、大きな傷になりました?

Kj
そうだね。結局、色々けじめをつけるために、ドラゴンとしては一曲もレコーディングしなかったからね。“DREAMIN'”(布袋寅泰『ALL TIME SUPER GUEST』収録のBOΦWYのカヴァー曲)を除いて、ドラゴンの動きとしては一曲もやっていなかった。ずっと「どうしようか」という感じだったからさ。

――訊きにくいことを全部先に訊きます。去年には、馬場さんが手を痛めてイベントやフェスに出られなくなったり、ROCKS TOKYO(5月のフェス)のあとで建志自身が身体を壊して入院したり、ドラゴンアッシュの周りでよくないことが続いていて、周りから見ると非常にはらはらするような。切ない思いがあったんですけれども。あの頃は、バンド全体として「どうしてこんな風になっちゃってるんだろう」という気持ちはありました?

Kj
俺がハードワークで倒れちゃったっていうのは、ネックだったね。これまで「Kjに任せておけばいいでしょう」って感じでやってきたし、俺もそれでよしとしていたから、15年間まるまる。でも、去年のROCKS TOKYOの時は、俺はよしでも身体はよしじゃなかった。初めてだったからね、楽屋で座薬入れてライヴやったのなんて(笑)。しかも、ベース・ヴォーカルなんて17年ぶりだったから(馬場さんの負傷により、Kjがベースを弾きながら全曲歌った)。

――なんでも自分がやるのは無理なんだっていう、個人的な挫折を味わった?

Kj
いや、エネルギー不足とかHP不足とか、そういうことではなくて。たぶん、要は心労だったんだと思う。ディレクターのこともあるし、馬場さんの手も動かないし、直近のライヴはサポートを入れることもできないし。じゃあ、ということは、俺が弾くってことだなという。それで弾いたんだけど、まあ「ここまでやっちゃダメだ」っていうことなんだろうね。できるふりをしていることによって逆に迷惑がかかったわけだから。OKAMOTO’Sとの対バンも延期してもらったし。俺も辛いし、無理させて倒れさせちゃったってみんなも思うじゃん。だから、いいことはないって思った。まあ、あのライヴ自体は、すごいグランジ感は出たと思ったけどね(笑)。

――確かに。逆風に向かっていくっていうね。

Kj
ははははは! そうそう、土砂降りだったしね。完全に俺、グランジだなって。ロッカーとしてはあれはあれでよかったのかもって思うけどね。あと、あのライヴで、10-FEETのNAOKIに「ベースやる気なくした」って言われた(笑)。それはよかったかな。

ドラゴンアッシュ

1997年、Kj(Vo+G)、IKUZONE(B)、桜井誠(Dr)のスリーピースバンドとしてデビュー。現在はダンサーを含む7人編成。デビュー時よりあらゆるジャンルを驚異的なスピードで横断し、Dragon Ashとしか表現しようのない音を鳴らし続けている。常にオルタナティヴな道を自ら選びながらも、圧倒的なファンの支持を得続ける日本の音楽シーンを代表する怪物バンド。

http://www.dragonash.co.jp/

24th Single『Run to the Sun / Walk with Dreams』

【CD+DVD】
2012年9月19日(水)発売
VIZL-493 ¥1,980(税込)


[CD収録内容]
01.Run to the Sun
02.Walk with Dreams
03.Run to the Sun "RockStar mix" Remix by I.N.A. (hide with Spread Beaver)
04.Walk with Dreams "Live On" Remix by Toshiya (DIR EN GREY)

[DVD収録内容]
“Run to the Sun”video clip
“Walk with Dreams”video clip
「REST IN PEACE IKUZONE」memorial video

15th ANNIVERSARY BEST『LOUD&PEACE』

2012年8月22日発売
【初回限定盤 CD3枚組】
VIZL-478 ¥3,900(税込)
【通常盤 CD2枚組】
VICL-63891〜2 ¥3,200(税込)

[ LOUD DISC ]
01.The Day dragged on
02.羊を数えても夜は終わらない
03.Rainy Day And Day
04.Iceman
05.Drugs can't kill teens
06.Just I'll say
07.Deep Impact feat. Rappagariya
08.Amploud
09.百合の咲く場所で
10.Snowscape
11.Fantasista
12.Posse in Noise
13.Resound feat. HIDE, 136
14.Develop the music
15.Dear Mosh Pit
16.CALLIN'
17.AMBITIOUS
18.ROCK BAND
  feat. SATOSHI, KO-JI ZERO THREE
19.SLASH

[ PEACE DISC ]
01.Public Garden
02.Invitation (single ver.)
03.陽はまたのぼりくりかえす
04.Under Age's Song (single ver.)
05.Viva la revolution
06.静かな日々の階段を (single ver.)
07.Lily of da valley
08.花言葉
09.Life goes on
10.Harvest
11.朝凪Revival
12.夢で逢えたら
13.Beautiful
14.繋がりSUNSET
15.運命共同体
16.TIME OF YOUR LIFE

[ BONUS DISC ]
01.Dragon Ash trahere Mix  performed by BOTS
02.Ivory -out loud-
03.Something in view -L&P eternal session-
04.花言葉 -for peaceful morning-  performed by HIROKI

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