NEXUS アーティスト・インタヴュー:でんぱ組.inc  「どれも嘘じゃない。全部がリアルなんです」――躍進の集大成。でんぱ組.incが海外に発信する新しい“文化”とは?

アキバから世界へ――。ロックフェスの会場を揺らし、海外進出も果たし、大きな飛躍を果たしたアイドルグループ、でんぱ組.inc。2年ぶりのアルバム『WORLD WIDE DEMPA』は、まさに彼女たちが駆け抜けてきた勢いを詰め込んだ記念碑的な作品になった。

得意のひたすらハイテンションでカラフルで派手な「電波ソング」系ナンバーを中心に、メンバー6人の過去と現在に向き合った“W.W.D”“W.W.D II”のドキュメンタリーソング、小沢健二のカバー「強い気持ち・強い愛」にビースティー・ボーイズのカバー「Sabotage」、新曲と、かなり凝縮された15曲。相当ぶっ飛んだ、濃くてパワフルな一枚になっている。

今回NEXUSでは、夢眠ねむ・成瀬瑛美へのインタビューが実現。新作について、グループについて、そして秋葉原と日本のインターネットに生まれた新しいカルチャーについて、じっくり語り合いました。

取材・文=柴那典

一曲一曲がぎっしり詰まってるんで、かなり情報量が多いです

――まずは僕も含めていろんな人の第一印象だと思うんですけど、「ようやくアルバムが出た!」という。

夢眠
成瀬
ははははは(笑)。お待たせしました。

――この2年で状況も変わったし、いろんなことやって来たし、一つ一つの歩みとか、からんできたいろんなカルチャーとか、そういうのが全部詰め込まれたアルバムになってると思いました。どうですか、出来上がった時の感触は?

成瀬
もう大満足としか言いようがなくて。もうめちゃめちゃ詰まってる感があって。一回でいろんな喜怒哀楽が見えたし、幸せもいっぱい貰ったし。1時間ちょいの時間、自分で言うのはおかしいんですけど幸福な時間を過ごせたな、と。
夢眠
メンバーが幸福になるくらいのアルバムなんです(笑)。私達は2年間を駆け抜けてきちゃってるので「あ、そっか! アルバムか!」みたいな感じなんですよね。でも「待ってました!」みたいに言ってもらえて嬉しくて。とにかく濃いですね。でんぱ組.incって毎回のシングルも、一曲一曲がぎっしり詰まってるんです。それがアルバムになってるので、かなり情報量が多いですし。「いろんなカルチャーとからんで」って言ってくださったとおり、アキバ感溢れてるものもあれば、渋谷系の音もあり、いろんな音が詰まってるので、これを聴けばでんぱ組.incがわかる一枚になっていると思います。

――いろんなターニングポイントがあったと思うんですけど、2年間を振り返って大きかったと思うのは?

夢眠
メンバー満場一致で言ってるのは、2012年の「アイドル横丁杯」というイベントですね。ファン投票で1位を取ったアイドルだけが「アイドル横丁祭」という渋谷AXでのイベントに出れるという勝負みたいなライブで。それまで、でんぱ組.incって、そんなに戦わずに生きてきたんですよ。アイドルイベントでもアニメイベントでも浮いてたし。どこにも属せないみたいな悩みもあって。でも「絶対勝たなきゃいけないね」って、「これで負けたらもうアキバに帰れない」みたいな覚悟でやったら優勝したんですね。それが自分達の力で初めて勝ち取ったステージだったんで、そっからやっぱり結束も強くなりましたし。
成瀬
もともとネガティブなところもあって、それまで「頑張っても意味ないよな、どうせ」と思ってたところはあったんですけど、そこからグッと本気になりましたね。
夢眠
自分だけの話じゃなくなってるっていうのも感じましたし。「でんぱ組.incに憧れてアキバに来ました」っていう子もどんどん増え出して来て、「ちょっとこれはかっこよくいなきゃ」みたいなことがちょっとずつ芽生え始めて(笑)。そこから今年はロックフェスとかにも出させていただけるようにもなって。ロックファンの方がでんぱ組.incのライブにすごいノッてくれるんですね。今までいろんなアウェイでやってたつもりだったんですけど、こんなに楽しく観てくれるんだなっていう。

不器用な6人が集まっちゃってるので

――僕自身の体験で言うと、もともと曲は知ってたんです。面白いグループだなって思ってた。でも「うわ、これは凄い!」ってハマったのが今年の1月のZepp Tokyoだった。

成瀬
うわー!あの伝説的に暗いライヴ(笑)。どういったところがですか?

――やっぱりあそこまで自分自身のことを全部さらけ出して、でも最終的にはっちゃけて終わったじゃないですか。最後はでんぱ組.incらしいワチャワチャした感じで盛り上がった。そのコントラストがすごい良かったんですよ。

夢眠
嬉しい!
成瀬
最初は自分自身をさらけ出すのがすごい嫌だったんです。“W.W.D”って曲自体がそうなんですけど、アイドルらしくいなきゃいけないっていう意識がそれまであって。苦労話も言いたくなくて。でも、メンバーが一人一人自分の過去を話していくのを見て、「みんな、いろんな表情を持ってるんだな」っていうのを魅力的に感じて、私も頑張ろうと思って。
夢眠
元々はやっぱりアイドルをやらねばならぬっていう頭があって、多分えいたそ(成瀬瑛美)が思い描いているようなずっとニコニコしてるイメージだったんですけど。やっぱり不器用な6人が集まっちゃってるので、ライブの力加減も分からなくて全部全力でやっちゃうんですね。最後倒れちゃうくらい、出しきっちゃう。気持ちも隠せなくて。“W.W.D”歌う時も泣いちゃったりするんですけど。観てくれてるファンの方も一緒に泣いてくれてるんです。ファンレターで“W.W.D”を聴いて生い立ちを私達に告白をしてくれるようになってきて。それって私たちがきっかけを投げたんだなと思って。だから嘘ついたり出来ないなと思って。今は本当に向き合ってる人達しかいないんです。

――そういうライヴでしたね。

夢眠
あの1月のライブを演出してくれた私達の振付のYumiko先生に「自分とちゃんと向き合ってみなさい」と言われたんです。私達、今ままでそこから逃げてきたんですよ。引きこもったり、世間と上手く馴染めなくて逃げてきたから、こういうことになってて。でも、それを引きずってる訳じゃなくて、昇華してエネルギーにするライヴだったと思うんですね。あんな20分も自分達の暗い過去を話すライヴなんて、ウチのセンターの未鈴(古川未鈴)が言ってるんですけど、「あってはならないこと」なんですよ。アイドルのライヴでそんな暗い場面なんてあっちゃダメだって。けど、それをしたから今年2013年ずっと前向きに走って来れたような気がしていて。

――以前、前山田さんが“W.W.D”について語っていて。どういったことを言っていたかと言うと、「でんぱ組.incのチームは、スタッフも自分も含めて、全員こじらせてる。普通に生きてこれなかった厄介者達の集団。だから、すごい共闘意識がある」って。

夢眠
ははははは! 耳がいたい(笑)。
成瀬
でも本当にその通りですね。
夢眠
ヒャダインさんも気持ちの込め方が尋常じゃない作り方をしてくれている気がするんです。レコーディングの時なんて、前山田さんがすごいんですよ。「今までの思いをぶつけるんだ!」みたいな感じで。
成瀬
「あの頃のダメだった自分を思い出せ!」みたいな。
夢眠
たぶん、自分に言ってるんですよね。それを私達も分かってて。

――「これは自分の曲なんだ」って言ってました。

夢眠
そういう方の曲を歌わせてもらってるから、ライヴで泣いてくれる人もいるんだなって思います。こじらせるのがダメみたいな風潮とかもあると思うし、「それが何なの?」みたいに言われるかもしれないけど、そんなの関係なしに私達は歌って、一緒に泣いてくれる人と一緒に幸せになる。そういう気持ちでやってますね。
成瀬
すごい分かりにくい表現かもしれないですけど、ギャルゲーに似てるんですよ。一人一人の背景に辛い過去がいっぱいあって、それぞれ別の生活をしてるんですけど、最終的に主人公が全員を幸せにしてあげたくなるような気持ちになるっていう。

――なるほど。ゲームに喩えるなら、でんぱ組.incはいろんな攻略ルートがあるんですよね。

成瀬
そうなんですよ!
夢眠
全員攻略出来ませんけどね。すごい難しいからレベル高いんですけど。

”W.W.DⅡ”は現在進行形

――そして、前山田さんは“W.W.D II”のことも言ってました。「これは荒療治の曲だ」って。

夢眠
ほんと文字通りそうです。

――「お客さんのためっていうより6人のために書いた曲である」と、「延命処置とリハビリである」って言ってたんですよ。そんな目的で曲を作るっていう話は初めて聞いたんですけど。

夢眠
それをリリースしようとするレコード会社も、そもそもヒャダインさんに「最近さ…」って相談するプロデューサーもすごいですよね!?(笑)。
成瀬
最初は「なんでこんな歌、歌わなきゃいけないんだ」ってことも思ったんですよ。実際みんな仲いいんですよ。だけど言いたいことが言えないっていうのもあって。でもそれをここまで赤裸々に歌っちゃって「どうすんの?」みたいな。ファンの人も心配しちゃうじゃんとか。いろんなエゴが混ざった気持ちで、「これ歌えんのかな」ってあったんですけど、泣きながら歌ったり、ダンスもメンバーでつけたりとか、話し合う機会も多くなって。結果的にワンマンライヴでいい形で歌えて。
夢眠
ファンの人も「なるほど。こういうこと歌ってたんだな」って納得してくれたと思うんですよね。だから結果的に良かったんですけど。
成瀬
最初の印象があんまり良くないっていう人も少なからずいて。でも、どんどん理解してって、何回も何回も楽しめて、っていう新しい曲だなって思いますね。

――これ、ほんとに問題解決ソングですよ。ビジネスの世界で考えるといろんなトラブルへの対処方法があるけれど、「歌うことによって解決しましょう!」っていう目からウロコの問題解決法(笑)。

成瀬
ちょっとおかしいですよね(笑)。話し合いができなくても「歌なら歌えるでしょ」っていう。

――でもね、「W.W.D.」が過去の自分に向き合ったっていうのと同じで、「W.W.D.II」は今の自分に向き合うことができる曲なんですよね。

夢眠
まさにそれですね。“W.W.D”の方は、過去を昇華してたんですけど、“W.W.D II”の方は現在進行形で。昔の話はある程度乗り越えてきてるから歌えるけど、“W.W.D II”の方は現在進行形だから本当に苦しくて。壁にぶち当たってる状態を歌ってるから。しかも、歌詞がリアルなんですよね。唯一、梨紗ちゃん(相沢梨紗)がリーダーなんですけど、梨紗はあんまり口に出して言わないし、えいたそもマイナスなこと言わないんです。
成瀬
言わないですね。
夢眠
「頑張ろうよ!」って、本当にそういう気持ちで言ってるし、それがチームを潤滑にするのに適してるって思ってやってくれてることで。リーダーも意見を言わずに皆を受け入れることで上手くやってるつもりなんですけど、やっぱそこでリーダーが「うるさーい!」って言わなきゃダメだっていうのをヒャダインさんがやらせてくれたと思うんです、彼女に。それは大きいなと思ってて。我慢してる側がぶち切れてるから(笑)。私はどっちかって言うとギャーギャー言う方なんですけど。
成瀬
私、“W.W.D II”に関しては、大事な時期にこういう曲をリリースしたっていうのは、エンターテイメントの一種として「超面白い! 新しい!」としか思えなくて。

――新しいですよ、本当。

夢眠
泣きながらやってるんですけどね、私達自身は(笑)。
成瀬
自分も泣きながらなんですけど「すっげえ面白いな」と思ってて。PVもすごいエンタメに突き抜けてて。だから、一緒に悩んで「こういう気持ちあるよな」みたいに感情移入してもらうのもいいし。「こういうの見せてくれんの? 面白いな」って楽しんでもらえたらいいなって思ってました。

でんぱ組.inc

古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、最上もが、藤咲彩音の6人組ユニットで、「秋葉原ディアステージ」に所属し、様々な活動を展開。メンバーはもともと、アニメ・漫画・ゲームなど、自分の趣味に特化したコアなオタクでもある。また最近は、東京コレクションや、ミキオサカベをはじめとして様々なクリエイターとのコラボレーションなどを活発に展開。国内のみならず海外からも注目を集め、台北やジャカルタでのファッションイベントに参加、さらに日本代表として、JAPAN EXPO 2013にも出演。東西野音ツアーでのワンマンライブも満員のファンで埋め尽くされた。TOY’S FACTORY×もふくちゃんの新レーベルMEME TOKYO所属。

http://dempagumi.dearstage.com/


New Album
『WORLD WIDE DEMPA』

2013年12月11日(水)発売
超豪華初回限定盤
(CD+blu-ray+GOODS+BOX仕様)
TFCC-86448 / 10,000円(税込)

初回限定盤(CD+DVD)
TFCC-86449 / 3,800円(税込)

通常盤(CD)
TFCC-86450 / 2,800円(税込)

■収録曲
01. ハジマリ。〜WORLD WIDE DEMPA〜
02. でんぱれーどJAPAN
03. Future Diver
04. VANDALISM
05. Sabotage
06. W.W.D
07. ナゾカラ
08. イツカ、ハルカカナタ
09. キラキラチューン
10. 冬へと走りだすお!
11. なんてったってシャングリラ
12. W.W.D Ⅱ
13. ORANGE RIUM
14. 強い気持ち・強い愛
15. でんでんぱっしょん

<blu-ray / DVD収録内容>
Music Video
※ メンバーによる副音声コメンタリー付き
でんぱれーどJAPAN / 強い気持ち・強い愛 / キラキラチューン / W.W.D / 冬へと走りだすお! / でんでんぱっしょん / ノットボッチ…夏 / W.W.D Ⅱ

<LIVE映像>
・「でんぱれーどJAPAN」2013.8.2 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013
・「Future Diver」2013.8.2 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013
・「でんでんぱっしょん」2013.8.11 SUMMER SONIC 2013
・「IDOL」2013.10.13 BiS×でんぱ組.inc ツーマンライブ

LIVE DVD
『夏のパッション! みんながいるし、仲間だもん! IN 日比谷野外音楽堂』

2013年12月18日(水)発売
TFBQ-18146 / 3,800円(税込)

■収録楽曲
01. キラキラチューン
02. でんぱれーどJAPAN
03. でんでんぱっしょん
04. くちづけキボンヌ
05. Kiss+kissでおわらない
06. BEAM my BEAM
07. 君も絶対に降参しないで進まなくちゃ!
08. W.W.D
09. W.W.D Ⅱ
10. ノットボッチ…夏
11. わっしょい?お祭り.inc
12. 強い気持ち・強い愛
13. ORANGE RIUM
14. Future Diver

『夏のパッション! みんながおるし、仲間やもん! IN 大阪城野外音楽堂』

TFBQ-18147 / 3,800円(税込)

■収録楽曲
01. W.W.D
02. Future Diver
03. わっほい?お祭り.inc
04. 君も絶対に降参しないで進まなくちゃ!
05. くちづけキボンヌ
06. ノットボッチ…夏
07. キラキラチューン
08. 強い気持ち・強い愛
09. 少女アンドロイドA
10. W.W.D Ⅱ
11. でんぱれーどJAPAN
12. ORANGE RIUM
13. でんでんぱっしょん

『夏のパッション!東西野音ツアーBOXセット』

7,600円(税込)

■ツアーインフォ
でんぱ組.inc 2014 全国ツアー

1月04日(土) 東京・Zepp DiverCity Tokyo
1月05日(日) 東京・Zepp DiverCity Tokyo
1月11日(土) 愛知・Zepp Nagoya
1月12日(日) 兵庫・神戸VARIT(女性限定)
1月13日(月) 大阪・Zepp Namba
1月26日(日) 京都・京都メトロ
2月01日(土) 千葉・ANGA
2月02日(日) 埼玉・HEAVEN’S ROCK さいたま新都心
2月08日(土) 宮城・Darwin
2月09日(日) 福島・HIPSHOT
2月11日(火) 神奈川・yokohama Bay Hall(女性限定)
2月15日(土) 長野・ALECX
2月16日(日) 山梨・KAZOO HALL
2月22日(土) 香川・高松MONSTER
2月23日(日) 広島・CLUB QUATTRO
3月01日(土) 福岡・DRUM SON(女性限定)
3月02日(日) 福岡・Zepp Fukuoka
3月08日(土) 北海道・Zepp Sapporo
3月09日(日) 北海道・Sound Lab mole(女性限定)
3月22日(土) 沖縄・桜坂セントラル

インタヴューArchives