NEXUS アーティスト・インタヴュー:The Cheserasera 

美しいものや感動を誘うものは、大抵が「いびつ」なものだと思う。たとえば、オリンピック級のアストートが競技に望んでいる姿は本当に美しいが、冷静に観るとそれは常人と比べて、明らかに極端なスタイルやポージングによって成されている。常軌を超えようとするものは、必ず「いびつだからこそ美しいゾーン」に自らのスキルとスピリッツを突入させ、そこで驚くような何かを僕らの前で示すのだ。
ロックがロックであるのも同じことだと思う。道ばたで急に「イェ〜〜イ!」と目を見て叫ばれ、レスポンスを求められても、LINEをしていたスマホを慌てて電話機能にして110を押したくなってしまうが、でも彼らがステージの上で放つイェ〜!は、圧倒的な感動と共感を促す。
ギターもそう。砂を噛むようにジャキジャキ響くディストーションサウンドは、工事現場レベルの殺伐としたノイズにほど近い触感をもたらすが、それがリズムやメロディと絡まると、途端に未知の感情が疼き、精神の物語が次々にページをめくられて行く。ロックというのは、やはり何かが圧倒的に特別だ。そういうロマンが、今日もロックをロックとして輝かせている。
The Cheseraseraは「ケセラセラ」と読む3ピースバンドである。疾走感に溢れたグルーヴ。立ち止まりそうな思いを振り切る様に綴る歌詞。そして心の渇きと目の前に広がる荒野の壁をすべて崩そうとばかりに鳴り響く歪んだギター。シンプルであるが故に、ロックバンドの最も本質を鳴らし切り、歌い切るバンドだ。
既にリリースされているミニアルバム『The Cheserasera』を聴けばわかるが、彼らのロックは「終わり」を刻む曲が多い。それはあたかも、生まれた瞬間から死というエンディングに向かう僕らのリアルな気持ちを代弁しているかのようで、ネガティヴな音楽というより清々しくさえ聴こえるものだ。まだまだ未完の名曲、そしてバンドのオーラを感じてもらうべく、ソングライターでありヴォーカルの宍戸 翼にインタヴューを試みた。

取材・文=鹿野 淳

音楽を仕事にすることが世のため人のためになれる気がしたんです

――まずはバンドの馴れ初めから教えて下さい。

The Cheserasera
宍戸
大学に入りまして、軽音楽サークルを探して入ったんですね。そこで3年生の先輩に今のドラムの美代(一貴)くんがいて、あとは他のベースと一緒に活動してたんです。でもベースがすぐに脱退してしまって……けどライヴとかもやってしまって引き返せなくなってたんですね。それで、幼馴染の西田(祐作)くんにベースとして入ってもらったんです。それで今の3人になりました。

――宍戸くんが、大学の軽音サークルでバンドをやってる時は、人生を賭けてやっていたの? それとも娯楽だったの?

宍戸
僕は中学校2年生の時にアコースティックギターの授業があったのがきっかけで音楽の世界に来て。中学3年の時には、『俺、これが一番得意かもしれないなぁ』って思い始めたんですね。それで、高校生の時には2個バンドをやって――。

――その高校の時はオリジナルで?

宍戸
そうですね。ちょうど1年生から2年生の半分くらいまでと、2年の半分から3年の終わりまででふたつ。で、大学に入ってまたひとつ始めて、今に至るって感じなんです。僕はバイトとか……駄目なんですよ(笑)。あんまり上手く行かなくて……人として駄目なんですよ。スポーツも、勉強も駄目で……だから音楽を仕事にすることが世のため人のためになれる気がしたんです。

――社会的に自分が駄目っていうのは、社会が駄目なんじゃなくて、自分が社会を受け入れないから駄目なんですよね? じゃあロックであったり、バンドっていうものにはどういう部分が自分の中でフィット感があったんですか?

宍戸
昂ぶり方が今まで一番あって。曲を作って歌った瞬間とか……昂ったんですよね。

――曲を聴いていると、「独りだー!」っていうことを声高に叫びたいっていう感じがするんですけど。

宍戸
そうですね、曲作りとか歌詞を書いたりっていうのは絶対独りじゃないと駄目なんですよ。もう、物音がするだけで駄目というか。

――安いアパート住めないね。高校の時に曲を書いて、自分の中の何かを証明できたような気がしたりしたんですか?

宍戸
そうですね……詞は高校の時はずっと一緒にやってたベースのやつが書いてて、曲は自分も一緒に書いてました。夜中中、高校の軽音楽部の部室がプレハブで学校の外にあったんで、ずっと一日中やってました。夜中に大きな音は出さないけど、凄くいい時間でしたね。表現するというよりは、当時その時間が楽しかったっていうのが一番でした。

結構舐めてかかってたんですね。それは音楽自体にも

――どういう音楽に影響を受けたんですか?

宍戸
高校の時に、やっと音楽をまともに聴きはじめたんですね。高校の先輩の奨めもあったんですけど。 MO'SOME TONEBENDER……Syrup16g……GRAPEVINE……。

――音楽の天才である故にろくでなしである、みたいな人やバンドばかりだね(笑)。

宍戸
そうかもしれないですね(笑)。そういうものが大好きで……そこが一番自分に響いてきたというか。あとはこれも先輩に教えてもらってですけど、ColdplayとかRadiohead……あとはハードコアとかですね。でもThe Beatlesとか、Mr.Childenとかは何故か入ってこなかったんですよね。その辺の王道のものを聴けるようになったのは、大学に入ってサークルでコピーとかやり始めてからですね。

――大学に入ってサークルに入って、音楽への想いとかは変わっていったりしたんですか?

宍戸
結構舐めてかかってたんですね。それは大学のサークルも、音楽自体にもなんですけど。『結構みんな半端なんだろうな』とか勝手に思ってて(笑)。

――それは自分よりバンドとか音楽に向き合ってる人はいないんじゃないかっていう感覚?

宍戸
そうっすね……なんかみんなお洒落だし(笑)。最初はそんな感じだったんです。でもサザンをコピーしてみんなで騒ぐことの楽しさとかを知って……大分丸くなっていきましたね。

――その、メインストリームの人達のコピーをすることで、何を得たんですか?

宍戸
予定調和の素晴らしさというか……何かに合わせてみんなで同じことをするっていうのは凄くつまらないと思ってたんですけど、楽しかったんですよね。みんなで手を上げてジャンプして……あとはサークルならではの代替わりの時にみんなで泣いたり笑ったりっていう……心の解放とかを初めてみて。

――そこでそういうものをもたらす音楽っていうもののパワーを知ったと。そして世の中の人がみんなで分け隔てなく感じることができる音楽を自分も作りたいと思ったんですか?

宍戸
そこは……違うんですよね(笑)。

――違うんだ(笑)。

宍戸
その経験は、あくまでも踊っている人達に素晴らしさを見出したんで。音楽の楽しみ方を知ったというか。――自分の中で音楽に関して目標って立てたことはなくて。自分から出るものをとにかく作っていくっていう状態……作るっていうか出るって状態で。

1曲1曲ライヴの時に、自分で泣いちゃってるような状態で

――大学に入ってから自分で作詞とかも始めたんだよね? 曲を作ったり、歌詞を書いたりっていう行動はどういうものだったの?

宍戸
作曲は前からやってたんですけど、詞は、歌を歌いたくて詞を書かなきゃいけないからっていう理由で書き始めただけでしたね。最初は本当に何も考えてなかったです。

――自分で言葉を綴って、それを歌うっていうのは凄く恥ずかしいことじゃないですか。

宍戸
凄く恥ずかしかったですね……。

――その恥ずかしさはどう乗り越えたの? 大抵の場合は、恥ずかしいまま終わっていくんですよ。自分の言葉がデビューなりをして人に届く人なんて、ほんの一握りですから。

宍戸
『なんだこの詞は』って自分で思ってたんです。でも10曲くらい書いてから、なんか詞っぽくなってきたなって思えるようになって。いいものができたから続けてこれたというよりは、自分自身はその行為に興奮してたから、続けてこれましたね。……大学に入って、最初TODAYっていうバンドを組んでたんですね。その時の歌詞はもう救いようもないもので。1曲1曲ライヴの時に、自分で泣いちゃってるような状態で。

――それは自分の言葉に切なくなっちゃってたの?

宍戸
そうですね(笑)。それでMCもなんも喋らなくなっちゃって、声も出なくて。

――悲しい歌を作って歌うと、自分にはどう作用するんですか?

宍戸
できた瞬間に、凄くスッキリするんですよ。やったことないんでわかんないですけど、もしかしたらクスリをやる感覚ってこういう感覚なのかなって思いました。ありえない魔法のようなことが起きるって感じがあるんですよね。

The Cheserasera

2009年、東京にて前身バンドを結成。
2010年02月26日、渋谷屋根裏との共同レコ発企画を開催。1st demo『夜も消えない』をリリース。同年11月21日、初自主企画『曇天ケセラセラ』を開催。バンド名を「The Cheserasera」に改名。
2011年04月15日、渋谷屋根裏にて、レコ発自主企画を開催。2nd demo『empty,empty,dream』をリリース。同年12月、rockin'on presents『RO69JACK COUNTDOWN JAPAN 11/12』の入賞アーティスト16組に選出。
2012年05月03日、渋谷屋根裏にて、レコ発自主企画を開催。3rd demo『さよなら光』をリリース。
2013年03月22日、下北沢SHELTERにて、初のワンマンライブを開催。チケットソールドアウト。

オフィシャルサイト


1stミニアルバム
『The Cheserasera』

2014年1月8日(水)発売
PFCA-0030 / 1,600円(税抜)

[ 収録楽曲 ]
01. 風に吹かれて
02. LOVERS
03. Drape
04. Finale
05. ALL DAYS THROUGH OUT
06. カナリア
07. 涙あふれてた

< LIVE INFORMATION >
「タワーレコードインストアライヴ」
2月08日(土) タワーレコード広島店
2月09日(日) タワーレコード福岡店
2月15日(土) タワーレコード梅田NU茶屋町店
2月16日(日) タワーレコード名古屋パルコ店

2月13日(木) 下北沢SHELTER
2月14日(金) 大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
3月08日(土) 郡山♯9
3月09日(日) 仙台HOOK
3月15日(土) 熊本TVイベント「HAPPY JACK」
3月16日(日) 長崎 studio Do!
3月20日(木) 西川口 Hearts
3月22日(土) 浜松 MESCALIN DRIVE
3月29日(土) 新潟 CLUB RIVERST

■The Cheserasera
〜リリース記念フリーライブ〜
日程:4月3日(木)
開場 17:00 / 開演 17:30
※1D代別途必要
会場:渋谷CLUB QUATTRO
問:渋谷CLUB QUATTRO 03-3477-8750

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