NEXUS アーティスト・インタヴュー:BUMP OF CHICKEN BUMP OF CHICKEN×初音ミク―異色コラボへの挑戦と必然を語る

BUMP OF CHICKENと初音ミク。バンドにとっての初めてのコラボレーションは、多くの音楽ファンにも衝撃を持って受け入れられた。

7枚目のオリジナルアルバム『RAY』の収録曲“ray”のミュージックビデオにて実現したこのコラボ。大きなポイントは、初音ミクがバーチャルシンガーとしてバンドと実際に共演を果たしている、ということだ。新たなバージョンとして作られた楽曲で歌声のプログラミングを担当したのは“Tell Your World”など数々のボーカロイド楽曲を手掛けたプロデューサーkz(livetune)。ミュージックビデオの監督は東市篤憲(A4A)がつとめている。撮影にあたっても、CGの合成処理は一切用いず、全てをライヴで行うことが貫徹された。

大きな反響を巻き起こした今回の試みについて、メンバー4人の思いを語ってもらった。

取材・文=柴那典


「面白そうだ」という気持ちが爆発した

――まず、今回の初音ミクとのコラボはどのようにして始まったんでしょうか。

直井
これはA4Aの東市篤憲さんと“ray”のミュージックビデオを作りたいというところから始まった話ですね。

――戸惑いはありました?

直井
最初は4人とも黙ってました。今まで僕らは他のアーティストさんともコラボしたことがなかったんです。そもそも自分たちの中にそういう概念がなくて。だから最初はよくわからなかった。でも、東市さんが持ってきてくださった絵コンテを見て、素晴らしいと思ったんです。リスクがあるのはわかってましたけど、それよりも「面白そうだ」という気持ちが爆発した感じでした。

――初音ミクとコラボをするという話を聞いて、皆さん、最初はどう感じましたか。

直井
みんないろんなことを考えていたと思うんですけれど、僕は実は、こういうコラボレーションが夢だったんです。もともと僕はアニメがすごく好きで、小さい頃からアニメの主題歌を聴いていてたから2次元というものが当たり前にあったし。初音ミクちゃんも、僕にとってはそんなに離れた存在ではなくて。

――昔からそういう夢想をしていたんですね。

直井
それと、もうひとつ僕にとって大きな出来事があったんですよね。まだ20代になったばかりの頃、海外の雑誌『DAZED & CONFUSED』の表紙でGorillazを知って「なんなんだこれは! なんでアニメの人たちが楽器を持ってるんだろう?」って、衝撃を受けて。大事件だと思って、とりあえずその雑誌を買って美容室に行ってGorillazの「2D」というキャラクターと同じ髪型にしてくださいと言って(笑)。

――ははは!

直井
僕にとっては、ああいう世界に入るのが夢だったんです。2次元と音楽の融合に憧れていた。だから、今回、初音ミクちゃんの話が来たときに、いろんなリスクよりも自分がずっと追いかけ続けてきた2次元と音楽の融合に心が動いて、離れなくて。それで今回「やりたい」と話をさせてもらいました。

――升さんはどうでしょう?

やっぱり話を聞いた時には驚きました。でも、その驚きはイヤなものではなくて、ワクワクする感覚があったんです。テクノロジーや未来というものに、基本的に胸がときめいてしまうところがあって。今回はそれに加えて、それを使って何か新しいもの、今までにないものを作り出すということ。コラボレーション自体が初めてだったんで、もう少し不安があるのかと思ったんですけれど、シンプルなワクワク感やドキドキ感が勝った感じです。

――増川さんはどうでしょう?

増川
僕もそうですね。最初に話を聞いたとき、すごくワクワクしたんです。面白いことが起きそうだ、と。それと同時に、僕は初音ミクに対して切なさを感じるんですよ。2次元と3次元の境目というか、ミクはもともとモニタの中にいる存在で、それを自覚しているようなところもあって。

――なるほど。“いる”と“いない”の境界を感じさせる、というか。

増川
そう。すごく切ない存在だと思うんです。今回、僕らはミュージックビデオで共演しているけれど、そこには次元の壁があって。それでも一緒にいる。そういう感覚は、僕らは言葉にしなくても、好きだし、持っているもので。しかも、ミクを操って自分の部屋で作業をするって、すごくパーソナルなことじゃないですか。パーソナルなところから世界に通じる、そういう感覚も、僕らBUMP OF CHICKENにもずっとある部分で。そういうところも含めて、僕は違和感がなかったですね。

敬意を感じずにはいられなかった

――藤原さんはどうでしょう?

藤原
初音ミクというキャラクターに対しての僕なりの見解として、初音ミクは音符そのもの、音の響きそのものだというイメージがあったんです。ユーザーは自分の思いを旋律と言葉で指定して、それを忠実に再現していくキャラクターだという。思想や善悪も何もなく、純粋に音符として、響きとして存在している。僕はkzくんの作業を横で見ていただけなんですけれど、プログラミングによっては声に表情が出たり出なかったりするんですよね。そういうふうに、いろんな人の表現のツールになっている。歌を再現するということに対して、とても忠実で、誠実である。そういうところにすごく共感したんです。

――というと?

藤原
僕たちはバンドをやる上で、昔からずっと大事にしてきた思いがあって。僕らは楽曲至上主義で、曲が一番偉いんです。曲が生まれてきたら、その曲が望むような形でアレンジして、再現してあげたい。個々のプレイヤーとしてのエゴよりも、楽曲の声を聞く必要がある。そこに僕たちのすべてがあるんです。たとえば最近は大きなステップを踏むことがたくさんあって、それも、僕個人の気持ちを言えば、怖いことはたくさんあったんです。でも、曲がそれを望むのであれば、僕たちはその足を引っ張りたくない。僕達以上に曲が望むことを叶えてあげられる人間はいないはずだから、そこに全霊をかけて全うしたい。BUMP OF CHICKENの4人は、そういう思いを持って音楽活動しているんです。そういう僕らの音楽に対する姿勢があって、だからシンパシーを覚えたんですね。

――なるほど。楽曲や音そのものに導かれている、というところが共通しているわけですね。

藤原
そうですね。だから敬意を感じずにはいられなかったんですね。その曲を曲として存在させるために、全てをかけて機能している。僕達もそうありたいんです。自分たちの楽曲を曲の望む形で再現したい。そういう思いがあったので、とても素敵なことだと思いました。古くから応援してくれた人たちは戸惑うかもしれませんが、今回のコラボレーションも、しっかり僕達の行動理念に基づいたものなので、ぜひ聴いてほしいなと思います。

BUMP OF CHICKEN

藤原基央(Vo&G)
増川弘明(G)
直井由文(B)
升 秀夫(Dr)

千葉県佐倉市出身の幼馴染み4人で結成。1999年1stシングル『LAMP』を発表。2000年トイズファクトリーよりシングル『ダイヤモンド』でメジャーデビュー。2012年までに23枚のシングルと6枚のオリジナルアルバムをリリースしている。

2013年、自身初のLIVE DVD & Blu-ray『BUMP OF CHICKEN GOLD GLIDER TOUR 2012』、7月に初のベストアルバム『BUMP OF CHICKEN I [1999-2004]』『BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]』を発売。2014年3月12日には7枚目のオリジナルアルバム『RAY』をリリース。

今なお、リスナー層を拡大し、熱い支持を受け続けるBUMP OF CHICKEN。このバンドが発信するメッセージと音楽は、これからも多くの人々の感性を震わせ続けるだろう。

オフィシャルサイト


ニューアルバム『RAY』

2014年3月12日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD):TFCC-86456 / 3,714円(税抜)
通常盤(CD):TFCC-86457 / 2,913円

【収録曲】
■CD
01. WILL
02. 虹を待つ人
03. サザンクロス
04. ラストワン
05. morning glow
06. ゼロ
07. トーチ
08. Smile
09. firefly
10. white note
11. 友達の唄
12. ray
13.(please)forgive
14. グッドラック

■DVD
<MUSIC VIDEO> 01. 虹を待つ人
02. ゼロ
03. Smile
04. firefly
05. 友達の唄
06. グッドラック

<2013.8.9 Live at QVC Marine Field>
01. Stage of the ground
02. firefly
03. 虹を待つ人
04. プラネタリウム
05. 花の名
06. ダイヤモンド
07. メーデー
08. K
09. 天体観測

※初回限定盤・通常盤収録曲同じ
※予約特典 : オリジナル・ステッカー(外付)

■TOUR INFORMATION
BUMP OF CHICKEN Live at STUDIO COAST
BUMP OF CHICKEN Live at STUDIO COASTが、藤原基央(Vo.&G) の肺気胸の影響で下記の日程に延期になりました。
http://www.bumpofchicken.com/info/

最新アルバム「RAY」購入者限定ライブ
「BUMP OF CHICKEN Live at STUDIO COAST」
日程:7月15日(火)
会場:新木場スタジオコースト
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
料金:スタンディング 6,300円(税込・D代別)


BUMP OF CHICKEN TOUR「WILLPOLIS 2014」
4月05日(土) 千葉 幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール
4月06日(日) 千葉 幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール
4月17日(木) 名古屋 日本ガイシホール
4月18日(金) 名古屋 日本ガイシホール
4月26日(土) 石川県産業展示館4号館
5月03日(土) 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
5月10日(土) 福岡 マリンメッセ
5月11日(日) 福岡 マリンメッセ
5月17日(土) 静岡 エコパアリーナ
5月24日(土) アスティとくしま
5月31日(土) 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
6月01日(日) 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
6月07日(土) 広島 グリーンアリーナ
6月08日(日) 広島 グリーンアリーナ
6月14日(土) 宮城 セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)
6月15日(日) 宮城 セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)
6月23日(月) インテックス大阪5号館
6月24日(火) インテックス大阪5号館
7月06日(日) 沖縄コンベンションセンター展示棟


■BUMP OF CHICKEN TOUR “WILLPOLIS 2014” FINAL
7月31日(木) 東京ドーム

インタヴューArchives