NEXUS アーティスト・インタヴュー:BUGY CRAXONE 「今は曲を作ることが当たり前に暮らしの中に入っている」 ――デビュー15周年、自然体でハッピーなバンド力学

BUGY CRAXONEが、アルバム『ナポリタン・レモネード・ウィー アー ハッピー』をリリースした。

ビクターからデビューしたメジャー時代、自主レーベル「ZubRockA RECORDS」でインディペンデントな活動をしていた時期を経て、現在は増子直純(怒髪天)主宰レーベル「Northern Blossom Records」を拠点に活動するBUGY CRAXONE。新作は、肩肘張らない、しなやかな強さを感じさせるようなアルバムになっている。

リード曲“なんとなく Be happy”をはじめ、心地よくドライブするロックチューンが多く集まった新作。アルバムに込めたものを、すずきゆきこ(Vo/G)に聞いた。

取材・文=柴那典





作り手として、常に作る作業を続けるというのは当然のこと

——ご無沙汰してます。

すずき
はい。久しぶりですよね。

——前に取材したのが2000年の『歪んだ青と吐けない感情の底』のときだったんで、だいたい15年ぶりくらい。

すずき
そうですよね。

――あの頃の自分は今の自分を想像していましたか?

すずき
どうでしょう、当時は先のことを考えていなかったですからね。今36歳で、15引いたら21歳でしょう? 全然想像していなかったな。もう、毎日のことで精一杯でした。

—−ここ数作、BUGY CRAXONEはバンドの調子がいい感じですよね。自然体で、肩肘張っていないで、でも芯は射抜いているような感じがある。そういう今の自分が見えてきたのは、いつぐらいからでしょうか。

すずき
モノの考え方とかはそんなに変わっていないと思うんです。けど今は全然違いますね。当時は何に対してもイライラする感じだったかな。そういうタイプの性格だったと思うし。

——ここ3年くらいは、1年に1枚アルバムを作ってリリースするということを掲げて、それを実行しているわけですけれども。曲作りも快調に進んでいる感じ?

すずき
前作の時までに作ってあったストックのようなものはなくなったから、今回はイチから作ることになっていて。ただ特にものすごく困ったという印象はないですね。ある程度作ってみんなでそれを聴いて、「もうちょっとこういう曲があった方がいいんじゃない」って意見が出たらまた書き足して…っていうのをひたすら繰り返す。レコーディングの日程までに納得のいく10曲を意地でも揃えて、録音する。それだけなんで。

——今のペースで活動しようというのを決めたのは、どういうきっかけで、どういう理由でした?

すずき
最初はビクターからデビューして、それから自分たちのレーベル(ZubRockA RECORDS)で活動して、今は増子(直純/怒髪天)さんのレーベル(Northern Blossom Records)でやってるんですけど、自分たちのレーベルでやっている時って、自分たちのことを全部自分たちでやるから、どうしてもリリースペースが追いつかなくなるんですよね。ブッキングとかデスクワークもあるし。

――仕事が多い。

すずき
うん。あと、外からの意見もないから「こんなんじゃまだ出せない」って言って間隔が長くなっちゃうのもあって。でも、今いる自分の環境には、the pillowsとか怒髪天とか、年に1枚ちゃんと出す人たちが先輩にいて。それはすごく大事だなと思うんです。世の中に忘れられない方法とかじゃなくて、作り手として、常に作る作業を続けるというのは当然のことなんじゃないかなと。それを1個の目標にしようって。まだ3枚目ですけどね(笑)。それが始まりです。

——3年連続でリリースして、今は実際に手応えもあると思うんですが、どうでしょう。

すずき
3年前の『Joyful Joyful』は4年ぶりだったし、自分たちも「ああ、ひとまず終わってよかった」という感じだったし、次の『いいかげんな Blue』も、ちゃんと1年に1枚出せてよかった。で、今回の『ナポリタン・レモネード・ウィー アー ハッピー』は、それが当たり前になるスタートだと思ったんで。なんとなく作るんじゃなく、これが自分の平均点になる。それをできるだけ高いところにしておきたいなというのはありましたね。

自分たちは自分たちらしくあればいい

——このアルバムはドラムのヤマダヨウイチさんが加入して初の作品になるわけですよね。ずっとサポートという形でしたが、これはどういう経緯だったんでしょう?

すずき
もちろん私はメンバーになって欲しいっていう気持ちはあったけど、あんまり全員でガツガツ言ってもかわいそうかなって(笑)。笈川くんと旭さんが、とくとくと口説き落としているのを私が横で見ているという感じ。その後にまた笈川くんが2人で話して、「じゃあお世話になります」みたいな感じ。必死に説得したんでしょうね(笑)。ヤマダさんもずっとずっと長く続けてきたバンドを辞めて一人でやっているという期間だったから、バンドに対してきちんと考えがあって。真面目な性格なので。「入る」って言った時はちょっとビックリしました。「いいんだ ! 」って(笑)。

——すずきさんは、バンドに対してのイメージをどういう風に思っていますか。

すずき
いろいろなタイプがありますけど、自分たちは完全にファミリータイプですよね。世代も性別も違う中でやるっていうのは家族だなっていう感じがしますね。

――BUGY CRAXONEはファミリーっぽい。

すずき
でもね、そもそもロックバンドって同世代の同じ性別の人がやる方が純度が高いと思うんですよ。でも私は最初からそこを選べなかったから、「この編成でもロックバンドは楽しくやれるよ」っていうところに今気付き始めています。

——最初はどうでした? 「そこを選べなかった」というのは。

すずき
バンドをやろうって決めた中学校3年生の時は、とにかくバンドを組もうって思ったから楽器屋さんにメンバー募集の紙を貼って。同じ学校にいなかったんですね、バンドやってくれる女の子。でもあんまりに1人だと心細いからピアノを習っている友達に「いるだけでいいから一緒にやろう」って言って、ユニコーンのコピーバンドをやって。中学生だって書くとあんまり人が寄って来ないから高校生だって嘘書いて、その当時は大学生の男の子2、3人と組みましたけど、あっという間にいなくなっちゃって。で、その時に知り合った人とバンドをやった。それがブージーの大元。だからわたし、一回もバンド辞めたことないんですよ。解散もない。コピーバンドが空中分解してからは辞めたことないです。

——そもそも最初から、自分にとってのバンドがそういうものだったんですね。

すずき
そうですね。とにかく自分がバンドをやるために、その時にできる環境で動くっていうことしか考えていない。だから、後から気付いたんですよ。「あーそっか、同世代、同性でやった方が純度は高いんだな」って(笑)。

——そういう「純度」と関係なくバンドを続けてこれた理由はどういうところにあると思いますか?

すずき
ロックバンドというものが昔と今とでは存在の仕方自体も違っていて、そんなに制限が無いものなんだなと今は思うし。今、自分がこの時代で私たちの音楽を活かしてもらえる場所で音楽をやるというのが今の目的で、やるべきことだから。そういう意味では、さっき言っていた同世代や同性というものは今の私としてはどうでもいい。関係がないなっていう感じですかね。いわゆるロックシーンみたいなところに入らなくていいというか、自分たちは自分たちらしくあればいいし。その上でいろんな世代の人と繋がっていけたらいいかなって思うけど。

——自分たちが気持ちのいい、自分たちのやろうとしていることを貫く方が自然だと。

すずき
そうですね。自然ですね。

機嫌よく生きたいって思っているけど、どっかで捻くれたことも書かないとバランスが悪い

——『ナポリタン・レモネード・ウィー アー ハッピー』というタイトルの由来は?

すずき
これは曲が先ですね。私、曲を作る時にやりたいことを紙に書くんですよ。「リフもの」とか、「フロアが鳴っているもの」とか。それで、なんとなく浮かんだイメージを書いておく紙に「ナポリタン」「レモネード」ってあって。全体的にハッピーな気持ちがいいし、機嫌よく生きたいって思っているけど、どっかで捻くれたことも書かないとバランスが悪いというか。それで、思いっきり青臭い感じというか、捻くれた感じを表したくて書いた曲かな。センチメンタルな感じ(笑)。

——機嫌よくハッピーでいたい気持ち、そういう感覚がしっくりくるというのは? この作品でもそういうテイストを持った曲が多いですよね。

すずき
まあ、別に無理矢理全部を明るく考える必要はないと思うし、好き嫌いを当然と思っている健全さが大事だと思うんですね。無理矢理明るくしておこうっていう方がよっぽど不健康だと思うし。

——曲を作るときのサウンド感のインスピレーションって、どういうところが大きいでしょう?

すずき
自分の気持ちを表すのに最適な音色やビート感っていうのがあって。本当に「いろんな音楽がかっこいいな」って日々思っているんですけど、一番自分の気持ちにしっくりくるのは、やっぱりニューウェーブのギターの音とかドラムのフレーズとか、そういう自分が心を奪われるものですね。アイディアの元にもなる。ここ最近は、自分が10代の頃とかに影響を受けたものを振り返ることが多いかな。

——アルバムの中で、すずきさんの思い入れが大きい曲は?

すずき
もちろん全部かわいいんですけど、特に自分で書いた曲で言うなら、“ナポリタン・レモネード・ウィー アー ハッピー”かな。私が書いたこれまでの中で一番よくできたと思う。あとは、「ナイス・ナイス・ナイス」って曲はコーラスとか新しいトライができて。それが私たちの持ち味を表しているなと思う。その2曲かな。これは笈川くんの曲なんですけど、あの人は結構北海道っぽい曲を書いているというか。それもあってヴァクシーンズみたいなの好きみたいなんです。大陸的というか、みんなで大きな声出して歌っている、みたいな。その影響が強く出て、かつ自分たちらしい格好がつかない感じというか、情けない感じがあって。曲を書くことで、より自分たちのことが分かるというか、そういう曲ですね。

——来年もアルバムを出すというのは見えている?

すずき
そうですね。年1かどうかは分からない、もっと逆に短くなるかもしれないし、あえて空けるかもしれないけど、日常的にするっていう。今も曲作りは始まっているし、作り続けると思う。

——なるほど。腹をくくった感ありますね。

すずき
去年とかも結構そうだったんですけど、アルバムを作り終えて一段して、しばらく曲を作らなくて、製作期間になってまた曲を作り出すっていうのが、今まで10何年のパターンだったんですよ。でも、そういうことじゃなかった。なんだかんだ言って、バンドしている自分とバンドやっている自分に距離があったんじゃないかなと今ちょっと思う。今は曲を作ることが当たり前に暮らしの中に入っている。誰かと約束をしているわけじゃないけど、作る。っていうのが今の自分にしっくりくる感じはありますね。

BUGY CRAXONE

すずき ゆきこ(Vo.Gt)
笈川 司 (Gt)
旭 司(Ba)
ヤマダ ヨウイチ(Dr)

1997年5月 札幌にて結成。
1999年3月 Victor Entertainmentよりデビュー。
2003年4月 レーベルとマネージメントを兼ねた『ZubRockA RECORDS』を設立。

以降、多彩なアイテムのリリース&ツアーをコンスタントに重ねる。

07年には、増子直純(怒髪天)主宰のレーベル『Northern Blossom Records』での活動を開始。

08年「Good morning, Punk Lovers」、「Hello, Punk Lovers」をリリース。
そして、09年7月15日に新曲「チーズバーガーズ・ダイアリー」(會田茂一氏プロデュース参加)「Aha」の2曲に、BUGY CRAXONEデビュー10周年を記念して Victor Entertainment/ZubRocka RECORDS の音源をセレクトしたスペシャルなアニバーサリーアルバムをリリース。

自主企画イベント「COUNTERBLOW 」も継続して開催し活動の幅を広げる。

オフィシャルサイト


『ナポリタン・レモネード・ウィー アー ハッピー』

2014年6月18日(水)発売
BNBR-0008 / 2,500円(税抜)

[ 収録楽曲 ]
01. いみがないから きこえない
02. ナポリタン・レモネード・ウィー アー ハッピー
03. ナイス・ナイス・ナイス
04. のー ふらすとれーしょん
05. わかってきたよ
06. パレードだよ
07. GO GO シリアス
08. クレイジーがいっぱい
09. なんとなく Be happy
10. bye-bye song


■TOUR INFORMATION

ウィー アー ハッピー ツアー

10月30日(木) 千葉LOOK
11月05日(水) 名古屋CLUB UPSET
11月06日(木) 高松 DIME
11月08日(土) 熊本 Django
11月09日(日) 福岡 Queblick
11月11日(火) 大阪 FANDANGO
11月16日(日) 新潟 CLUB RIVERST
11月18日(火) 郡山 #9
11月19日(水) 仙台 HOOK
11月21日(金) 札幌 COLONY
11月28日(金) 下北沢 SHELTER (ワンマン)

インタヴューArchives