NEXUS アーティスト・インタヴュー:BiS 阿鼻叫喚の真っ只中を走るアイドルグループの「10年後」

ニューシングル『Fly / Hi』をリリースしたBiS。アイドルとか、ロックとか、そういう枠組みをとうの昔に飛び越えて、2013年現在の音楽シーンで最も過激なグループだと思う。

この夏には、ノイズバンドの伝説的存在・非常階段とバンド「BiS階段」を結成した彼女たち。シングル初回盤のDVDにもその模様が収録されているが、渋谷WWWで行われたその初ライヴは、謎の液体や一斗缶や豚の頭が飛び交う地獄絵図の風景になっていた。夏フェス出演を挟み、その後には下北沢SHELTERで7日連続のライヴを決行。最終日には同じ曲を計9回繰り返し、ダイヴする観客がどんどん半裸になっていくなど異様な興奮が場を包んでいた。

さらには同じ8月にはリーダーのプー・ルイがDDTプロレスリングの大会に参戦、先日行われた野外フェス「夏の魔物」では、BiS階段に電撃ネットワークを加えた「電撃BiS階段」で衝撃的なパフォーマンスを見せるなど、ひたすら破天荒で過激な道を突っ走っている。

結成時からの公約である「解散」を見据えての今、ニューシングル、この先、そして「10年後、BiSというアイドルグループはどんな風に振り返られるだろう?」というテーマで語り合った。

取材・文=柴那典

「これ楽しい!」みたいになって、変な方向に加速した

――初めてインタヴューさせていただくんですが、とりあえず、先日の下北沢SHELTERの7daysのラストを観させていただいて。完全に異常な空間だったと思います。

全員
ありがとうございます。

――あれもそうですし、渋谷WWWのBiS階段もそうですし、改めて、ここまで過激なことをやるようになったのは何故なのか?って話を最初に聞ければと思うんです。

プー
最初私がこのグループ組んだんですけど、その当時4人のメンバーがいて、そのメンバーで初めてアー写というものを撮ったんですね。その出来上がりを見て、とりあえず壊滅的に可愛くないということに、スタッフさんとメンバーが気付いて。「このアイドル戦国時代じゃ、他のグループと同じことをやってたらこんな中途半端なブスが売れるわけない」と(笑)。それで面白いことをやっていこうということになったんです。すごいブスなわけじゃなくて、中途半端なブスっていうのがポイントです。害のないブス(笑)。

――そこから3年くらい、メンバーもかなり入れ替わりましたけど、引き返すポイントはあったんじゃないですか?

プー
ないですね。このグループは終わりが決まってたし、一年ごとに目標みたいなのも決まってたので、それに向けてとりあえず走らないといけない状況だったので。立ち止ったり振り返ったりしてる暇は、今もないんです。メンバーにも、今も過去もアイドルらしい人がいなくて。どっちかというと男勝りに育ってきた人が多いので、「あれ、これ変……」とか思わずに「これ楽しい!」みたいになって、変な方向に加速した。そこにいつのまにか「エモい」っていう代名詞が付くようになって。最初は変なグループっていう感じで始まったんですけど、段々「エモイ」とか「BiSカッコいい」みたいな風にシフトしてって、味をしめた(笑)。そう言われるごとに、悪い大人達もメンバーもどんどん「楽しいことやっていこうぜ!」みたいなノリになりましたね。

――プー・ルイさんとヒラノノゾミさんは最初からいますけど、オーディションで入って来た皆さんはBiSをどういうものと捉えて入って来たんですか?

ミチバヤシ
私はメジャーデビューのタイミングで入ったんですけど、友達からBiSを教えてもらってて。「今めっちゃキテる、曲がめっちゃいい」みたいに聞いていて。私も曲もいいし、衣装がとんでもなく可愛いと思って。アイドルらしくないことをやってるのは知りつつ入ったので、「私アイドルのオーディション受けたのに、なんでこんなことやらされてるの?」みたいなギャップはそんなになかったですね。そもそも入るつもりもなく受けたので。

――そもそも就職活動と並行して活動してたということですけれど。

ミチバヤシ
今度辞めるのもそのためです。

――就職のためにアイドルを辞めるっていう。

ミチバヤシ
やってる時はそんなに考えてなかったんですけど、ふと「このままじゃヤバい……」みたいに思って。「このままじゃ卒業も就職もできない!」みたいな気持ちになって。元々思いつきでオーディションを受けて、芸能界に入りたいって気持ちもなく、残りたいって気持ちもないので。今どうにかしないと「私本当にプー太郎になっちゃう」と思って、「そっちをやりたいです」ってお願いをしたんです。

――カミヤサキさんとファーストサマーウイカさんの二人は、BiSに入った時、どういうグループだというイメージだったんでしょう?

カミヤ
私は元々アイドルが好きで、その中でBiSも知っていて、好きだったんです。破天荒な、今までジャンルがなかったようなところにいるって認識はあったので、自分が全然入ることに関しては抵抗がなくて。今自分がやってることも嫌じゃないし、BiSらしいなと思って活動してますね。
ウイカ
私、ちょうど上京して来たタイミングでオーディションを受けたんです。衝動で「なんか面白いことがしたいから」ってことで大阪から出てきたんですけど、BiSは面白いという領域を超えて、えげつないことしているアイドルだったので、「これは行くしかないな」って。これからもっとすごいことし続けてくんじゃないかという期待と興味を持って入りました。

――今日は体調不良でいらっしゃらないですけど、テンテンコさんもそういう感じだったんでしょうか?

ウイカ
彼女が毎回インタビューで言ってるのは、22歳で後がないっていうことですね。
プー
アイドルは低年齢化してるんで、事務所のオーディションとか受けられないようになってきてるっていう。でもBiSは大丈夫だったって。

本当にもう頭おかしいなって、やっちゃだめだと思いました

――ここからは、BiSにとっての今年の夏を振り返ってもらおうと思うんですが、どうでした?

プー
今年の夏はとりあえずフェスとかがいっぱい決まってたので、それを全力で楽しくやるっていう感じでした。
ウイカ
下北7daysもあったし。

――ROCK IN JAPANとかSUMMER SONICとか大きなフェスに出た時には、どういう手ごたえがありました?

ウイカ
かなり沢山のお客さんに集まってくださって、本当に「フェス」って感じが実感できるような環境でやらせてもらったのが意外というか、予想外のことでした。
プー
曲は普通にロックなんで、どっちかというとアイドルイベントにポンと出された方が、初めて観るお客さんは「うわ……」って感じに反応するんですけど、フェスのお客さんはすんなり受け入れてくれて。

――BiS階段に関してはどうでした? ステージの共演はもうちょっと前からありましたけれど、アルバムを作ってライヴもやってというような体験は。

プー
私、権力持ってる人が好きなんです。JOJO広重さんってそっちの界隈ではとても有名な方で、BiS階段のメンバーになったってことで「何か困ったことがあったらすぐ呼んでね」って言ってくれたんで、すごい人を味方に付けたなって思いました(笑)。プロレスもやったんですけど、それも発表された後にお会いしたら、「本当にやるの? 僕、行こうか?」って言って(笑)。
カミヤ
セコンドにJOJOさん立ってたら、怖いよね! 何も出来ない(笑)。

――8月の1ヶ月の間にやってることの振り幅が極端ですよね。夏フェスに出て、BiS階段のライヴやって、プロレスに出て、7daysのライヴやって。切り替えてるヒマがない。

プー
ただ全部面白いからやってるっていうだけですね。大人はたぶん考えてるんだと思うんですけど、メンバーとしては別にそんなにね、頭を使って「これをやったらこうで、これとこれは違うから切り替えていこう」みたいなのはなくて。常に一個一個のライヴとかを楽しく、やってるだけなんで。ただ、体力的に大変なだけで。

――体力的にはめちゃめちゃ大変ですよね。

プー
家帰った後が一番疲れる。
カミヤ
ライヴをやると、楽しい気分で疲れを忘れる感じですね。だから、逆に休みの日とかツラい。
ミチバヤシ
今だからやれてるんだとは思います。これから7daysは出来ないですよ。もうやりたくないって思った。
プー
私、またやりたい。10daysくらいやりたい。
ウイカ
あれはすごかったです。研究員(BiSファンの呼称)のみんなも、どんどん頭おかしくなるし。
カミヤ
ナチュラルハイじゃないけど、トリップしていく感じがありましたね。
プー
パンデミックが起きてたかも。

――最終日、「nerve」という同じ曲をひたすら繰り返してる時に、だんだんみんながおかしくなってく感じがあって。思い浮かべたのが、昔にあった『ぼくのなつやすみ』っていうゲームだったんですよ。あのゲームのバグで、永遠に8月32日が繰り返されて、グラフィックがどんどんおかしくなってくっていうバグがあるんですけど。そんな感じでした。

カミヤ
「永遠にこれは終わらないんじゃないか」っていう(笑)。
ウイカ
バグみたいなものだったのかもね(笑)。
ミチバヤシ
「nerve」を何回もやるっていうのは今までもやってたんですけど、本当に途中で何も分かんなくなってきちゃって。本当にもう頭おかしいなって、やっちゃだめだと思いました。

――でもプー・ルイさんとしてはまたやりたい?

プー
やりたい。楽しかったから。
ミチバヤシ
あのね、10日もやってたら何が起こるかわかんないよ? 人でなくなるよ、最後には。
全員
(笑)。

BiS

プー・ルイ
【リーダー兼ヨゴレ担当。「ぷーぷーぷーぷー おならプー」】
ヒラノノゾミ
【マイペース担当。「きりたんぽうめーよ、みんな秋田のことなめたらのんのんのん」】
テラシマユフ
【優等生担当。「古き良き時代から来ました。まじめなアイドル、まじめにアイドル!」】
ミチバヤシリオ
【キモい担当。「かわいい女の子が大好き! キモミッチェル!」】
ワキサカユリカ
【ピュア担当。「ここは手、ここは肘、ここはー?ワキワキワッキー」】

www.brandnewidolsociety.org


ニューシングル『Fly / Hi』

2013年9月18日発売
・ BiS階段盤 ※初回限定盤
AVCD-48754/B / 3,570円(税込)
初回封入特典 ミニ生写真(7種ランダム封入)
初回特殊“飛び出すミッチェル”仕様

・ BiS階段盤 ※通常盤
AVCD-48754/B / 3,570円(税込)

【CD】
M1:Fly
M2:Hi
M3:Fly -Acappella-
M4:Hi -Acappella-
M5:Fly -Instrumental-
M6:Hi -Instrumental-
【DVD】
2013.8.7 LIVE “BiS階段” @WWW MUSIC VIDEO “好き好き大好き”BiS階段

・ MV盤 ※初回限定盤
AVCD-48755/B / 1,890円(税込)
初回封入特典 ミニ生写真(7種ランダム封入)

・ MV盤 ※通常盤
AVCD-48755/B / 1,890円(税込)

【CD】
M1:Fly
M2:Hi
M3:Fly -Acappella-
M4:Hi -Acappella-
M5:Fly -Instrumental-
M6:Hi -Instrumental-
【DVD】
MUSIC VIDEO “Fly”
“Fly”MAKING

・CD盤 ※初回限定盤
AVCD-48756 / 1,050円(税込)
初回封入特典 ミニ生写真(7種ランダム封入)

・CD盤 ※通常盤
AVCD-48756 / 1,050円(税込)

【CD】
M1:Fly
M2:Hi
M3:Fly -Acappella-
M4:Hi -Acappella-
M5:Fly -Instrumental-
M6:Hi -Instrumental-

・ ミュージックカード
AQZ1-50979 / 750円(税込)
【ダウンロード】
M1:Fly
M2:Hi

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