NEXUS アーティスト・インタヴュー:Base Ball Bear

Base Ball Bearが、新作ミニアルバム『初恋』をリリース。これがかなりの意欲作になっている。まさに今のバンドと小出祐介というクリエイターが持つポテンシャルを全方向に爆発させたような作品。そして、今回のインタヴューでは、その裏側にある様々な“狙い”を包み隠すことなく語ってもらった。

直談判で獲得したという映画『図書館戦争 革命のつばさ』タイアップの表題曲“初恋”のサウンドに込められた「王道ポップソングとしての仕掛け」とは何か? ももクロなどを手掛ける人気作家・前山田健一(ヒャダイン)や岡村靖幸とのコラボの裏側にあったものとは? そしてレピッシュ 25周年記念対バン企画「Tug of war」への出演など、世代を超えた交流を繰り広げる理由とは?

まず自分自身がワクワクしたい、そしてそれを通じて音楽を面白くしたいという彼の意志に、是非触れてもらいたいと思う。

取材・文=柴 那典

次は改めてポップソングというものにもう一度目を向けたいと思った

――新作は非常に面白い一枚だと思うんです。それも含めて、今年に入ってからのBase Ball Bearというバンドの動きがいろんな広がりを持っているのを実感していて。きっとそれは、去年に『新呼吸』というアルバムを作ったことで、より自由にいろんなことができるようになったという面が大きいと思うんですけれども。

小出
そうですね。うん。

――まず、今の時点からあのアルバムとそれ以降を振り返っていただくと、どんな感じでしょう?

小出
自分の中の位置付けとしては、『新呼吸』とその前の3.5枚目の『DETECTIVE BOYS』『CYPRESS GIRLS』というのは、自分にとってのバンド観を改めて見直すというものだったんです。その前までタイアップのような対外的な曲作りをがむしゃらにやってきた流れがあって、でも、そういうものをやればやるほど、自分にとってのバンド観というのがわかんなくなってしまった時期があって。だから、いろんなことをやりたいけど、それを最終的にギターロックっていうところに凝縮してパッケージするという。

――『新呼吸』はすごく真摯なアルバムだった、と。

小出
うん。『新呼吸』ってすごくストイックなアルバムなんですよ。まずは自分が聴きたいギターロックを作ろうと思って作ったものなので。でも、そうやってストイックにやればやるほど、逆に自分の中の引き出しの多さ、自分の興味の幅の広がりを再認識することもあって。だから、次は改めてポップソングというものにもう一度目を向けたい。そう思ったのが今回のミニアルバムに繋がる流れですね。

――そのポップソングというキーワードは、どうやって生まれたものだったんでしょう?

小出
今年初めの武道館のライヴが終わった後ぐらいに、『新呼吸』というアルバムでバンドの一つの大きなタームが終わった感じがして。バンドを結成して、メジャーデビューしてから自分がいろんな試行錯誤をしてきた道筋の先で、あのアルバムに到着したなって思ったし。そこで何かを卒業したみたいな、そんな感じのいい締めくくり方ができたなと思って。だから、その次に新しい季節をこれからバンドが迎えるにあたって、じゃあ今持っているカードをどう組み合わせて、どう展開していくかをすごく考えて。これまでレアカードも、トラップカードも、いろいろ入手してきたんですけど(笑)。

誰も損しない、誰もやましい気持ちにならない曲。僕がタイアップをやるならそうしたい

――そこから今回の新曲の“初恋”を作り始めたのはどういうきっかけで?

小出
まずはタイアップの曲をやりたいと思ったんですよ。だから、そういう情報を探そうと思っていた矢先に、『図書館戦争』が映画化するというのを知って。僕、知らなかったんですよ。ほんとに、本屋さんで文庫本の帯に書いてあるのを見て知って。「あっ!」と思ってマネージャーに電話して、「『図書館戦争』映画化するらしいんですけど何か情報来てます?」「いや、全然知らないですけど」って言われて、「じゃあやらせてくださいという連絡をしといてください」って言って(笑)。

――そもそもTVアニメでは“changes”が主題歌だったわけですからね。

小出
そうなんですよ。だから、悔しいなと思って。TV版のキャストさんやスタッフの皆さんが再集結してやる作品なのに、そこに呼ばれないのは、ちょっと悲しいんですけど! 俺も集まらせてくださいよ!みたいな(笑)。それくらい、“changes”という曲にも『図書館戦争』にも思い入れもあったので、「もしできたらやらせて下さい」っていう直談判をしたんです。直談判でタイアップを取るっていうなかなか珍しいパターンだと思うんですけど(笑)。実は「こんな感じのアーティストさんにお願いしたい」みたいな話もあったらしいんですけど、そこに「ちょっと待った!」という感じで割り込んでいったという(笑)。

――その時点でもう曲のアイディアはもうあったんですか?

小出
いや。よくよく考えたらそっから先の具体的なことはまだ何も考えてなかったということに、そこで気づきました(笑)。そこからいろいろ考えましたね。僕が『図書館戦争』という作品にどういう曲を作りたいのかとか、映画のエピソードや内容も考えたし。あと、今までもそうなんですけれど、改めてタイアップでやりたいのは、映画や原作に携わる皆さん、そのお客さんや原作のファンの皆さんがまず笑顔で喜んでくれる作品で、同時にうちのスタッフやメンバー、バンドのお客さんも笑顔で喜んでくれる曲にしたいんです。誰も損しない、誰もやましい気持ちにならない曲。僕がタイアップをやるならそうしたいという、めちゃめちゃ高いハードルを設定しているんですね。

――それまではそうじゃなかったところがあったんですか?

小出
2009年までのタイアップもので、悔しかった点って実はそこなんですよ。曲がダメだったわけではないんだけれど、気持ちの折り合いやバランスが取れてなかった。大丈夫かどうかの判断を玉井さん(玉井健二/agehasprings)というプロデューサーに委ねていたところがあって。だから、その判断を今度は自分できっちりジャッジする。3年前と違って、自分が全責任を持って、タイアップ曲を作るっていう。一応今回もプロデューサーには玉井さんに入ってもらったんですけど、それは監修っていう感じで。実際は自分でちゃんと指揮して、責任を持って曲を作ろう、と。

Base Ball Bear

小出祐介(Vo/G)、関根史織(B&Cho)、湯浅将平(G)、堀之内大介(Dr&Cho)の4人組。

2001年、同じ高校に通っていた4人のメンバーにより、学園祭に出演するために結成された。 10代のころから都内のライブハウスに出演し、その高い音楽性と演奏力が大きな話題を呼ぶ。 2006年、EMIよりメジャーデビュー。

2枚のフルアルバム『C』と『十七歳』が業界内外より非常に高い評価を得ると共に、そのステージパフォーマンスや遊び心あふれるキャラクターで10代〜20代前半の男女から圧倒的な支持を集める。

2008年5月発売シング「changes」でついに、オリコン・シングルランキングで初のTOP10入りを果たし、以降『LOVE MATHEMATICS』(シングル)『完全版『バンドBについて』』(インディー時代の音源のコンプリートアルバム)、『神々LOOKS YOU』(シングル)とオリコンランキング10位以内にランクイン。

2010年1月には初の日本武道館でのワンマンライブが行われ、約9,000人の客を沸かせた。
2011年は結成10周年となり、4枚目のフルアルバム『新呼吸』をリリース。年をまたいだ2012年1月には、2回目となる日本武道館ワンマンを成功させた。

http://www.baseballbear.com/


2nd Mini Album

2nd Mini Album『初恋』
2012年7月11日(水)発売
【初回生産限定盤】 TOCT-22316 ¥2,000(税込)
【通常盤】 TOCT-22317 ¥1,600(税込)

[収録曲]
1. 初恋
2. ぼくらのfrai awei
3. 君はノンフィクション
4. 60-Minute Live Track From “TOUR 新呼吸” (2012/5/20 @ Zepp Tokyo)
 ・深朝
 ・ダビングデイズ
 ・Transfer Girl
 ・転校生
 ・スローモーションをもう一度
 ・short hair
 ・青い春.虚無
 ・kodoku no synthesizer
 ・yoakemae
 ・新呼吸



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