NEXUS アーティスト・インタヴュー:avengers in sci-fi 木幡太郎と語り合う、avengers in sci-fiと「ロックの進化」の原理

初のベスト盤『Selected Ancient Works 2006-2013』をリリースするavengers in sci-fi。今回のインタヴューでは、ベスト盤について話を訊くだけじゃなく、「過去のインタヴューでの木幡太郎の発言を検証する」という企画を立てて臨んでみた。結果、バンドのこれまでと、独特なスタンスが明るみになったのではないかと思う。

NEXUSでは、このインタヴューにあわせて、ベスト盤の特設サイト、木幡太郎がリアルタイムの洋楽を紹介する別企画(後日公開予定!)を展開。バンドの「これまで」と「これから」を立体的に探る。

取材・文=柴那典

大河ドラマ的な連続性を盛り込んでいる

――まず、今回ベスト盤をリリースすることになったのは、どういう理由から?

木幡
僕ら、いつまでも若手みたいな顔してるんですけれど、意外とキャリアを重ねていて、音源も増えてきてるんですよ。例えばフェスに出演した時の反応を見ても、バンドのことは知っていてもどこから手を付けたらいいかわからない、どのアルバムから入ればいいかわからないという人がいるのはわかっていて。そういう人たちに、ベスト盤を入り口にしてもらいたいっていう気持ちはありますね。もちろん、新しいアルバムを作りたい気持ちもありますけど。オリジナルアルバムをできるだけ多くの人に聴いてもらいたいですね。

――自分の作ってきた曲、フェスやイベントで主力になってきた曲を並べてまとめて、改めて思うことはありました?

木幡
そうだなあ、新しい曲のほうがやっぱりいいなって思いました(笑)。あと、昔の曲はミックスし直したものもあるんですけど、当時なんでこんなミックスとかアレンジをしてたんだろう?って、驚愕するところもありましたね。なんでこんなことやってたりしたんだろう?って。

――Disc 2の【Selected Ancient Mixes】というのはどういう風に作っていったんですか?

木幡
これはボーナス的なものを作ろうというときに、いろんな案があったんですけど、その中の一つでMix CDをつけるというのがあって。僕も最近DJする機会があって、Mix CDへの興味も出てきたのでやってみようと思った感じですね。

――自分の曲をMix CDにするにあたって、どういう風に変えた感じでしょう?

木幡
僕らの曲って、結構、各アルバムをまたいで同じような音の素材を使っていたりするんです。『ドラゴンボール』でも、1巻から何十巻まで集めると背表紙の絵がつながっているじゃないですか。そういう感覚で、別々の作品というよりは大河ドラマ的な連続性を盛り込んでいて。それで、似たような音の素材を使っていたりするんです。そういうことをやっている曲を繋げてみました。

――マンガで言うと『火の鳥』でも違う話で同じキャラがいたりしますよね。ああいう感じ?

木幡
そうですね。そのネタばらし的なところもあります。

新曲はアッパーなだけじゃないという意思表示

――新曲の“Crusaders”についても訊きたいんですが、これはすごく切ない曲なんですけど、これはどういう風にできたんでしょう?

木幡
ベスト盤のために作ったというよりは、曲作りはずっと進めていて、いくつかデモがあった中で、このアルバムに相応しい曲を選んで完成させた感じですね。ベスト盤に収録するものは過去3年間のライヴでのプレイ回数から選出して、割とアッパーなものが中心になってきちゃったんで、このバンドのもう一つの側面も見せたいという気持ちもあったんで。

――〈沈みかけのマザーシップ〉〈旅は終わったのだと僕等だけが知らない〉っていう歌詞を歌ってますよね。めちゃ終わりを匂わせているじゃないですか?

木幡
そうですね、ベスト盤を出してこの曲って、解散をほのめかしてますよね。(笑)。

――そうですよ! これ、ほのめかす歌詞ですよ(笑)。

木幡
まあ、この曲はやりたいことをやらせてもらった感じがあるんですよね。どう受け取られるかとか、どんな反応が返ってくるかとか、そういうことも考えず。シングルをリリースする時って、すごくプレッシャーがかかるし、反応が気になったりするんですけど。今回はそれも気にせず、やりたいことをやらせてもらった感じです。

――こういうダウナーな曲、盛り上げるだけじゃない曲というのが、やりたいこととしてあった?

木幡
どっちもやりたいんですけどね。でも、最近のフェス偏重の風潮のよくないところですけれど、どうしてもライヴでやる曲はアッパーなものになりがちなんですよね。どのバンドでもそう。アッパーなことをしないといいライヴと言われないようなところもある。それに抗う部分もあるし、それだけじゃないっていう意思表示でもある。そういう気持ちはありますね。

――盛り上げ合戦だけじゃない、みたいな。

木幡
もったいないと思うんですよね。それって、僕らが高校生とか大学生だった頃のAIR JAMのシーンでも同じようなことがあって。バンド側はメロディックパンクとかハードコアとかの狭い枠から離れて新しいことに挑戦していこうという姿勢を見せていたんですけれど、リスナーがついていけないことがあった。音楽のアッパーな側面しか見ていなかった。それで正当な評価を受けられなかったバンドとか、陽の目を浴びないアルバムもたくさん見てきたんで。その辺は危惧しているところはありますね。アッパーなものが悪いわけじゃないんですけれど、もう一つの側面にも陽を当てていきたいという気持ちはすごくあります。

avengers in sci-fi『Selected Ancient Works 2006-2013』Special Site
avengers in sci-fi『Selected Ancient Works 2006-2013』Special Site

avengers in sci-fi

木幡太郎 (Guitar/Vocal/Synthesizer/Samplar/
Song&Lyrics)
稲見喜彦 (Bass/Vocal/Synthesizer/Samplar)
長谷川正法 (Drums/Percussion/Samplar/Chorus)

木幡太郎、稲見喜彦、長谷川正法により2002年に結成。最小限の3ピース編成でありながら、シンセサイザー/エフェクト類を駆使したコズミックで電撃的なロックを響かせ、“スペース・ロック”とも表される独自の近未来的とも言うべきサウンドを大胆に展開。木村カエラの「BANZAI」(2009年)をプロデュースするなど、高い音楽的IQが話題を呼ぶ。昨年はNew Album 「Disc 4 The Seasons」をリリース。SHIBUYA-AXでのワンマンライブ、全国ワンマンツアーを行った。6月19日に新曲&ライブプレイ率上位の楽曲を収録した初のベストアルバム「Selected Ancient Works 2006-2013」をリリースする。

http://www.avengers.jp


Best Album
『Selected Ancient Works 2006-2013』

2013年6月19日(水)発売
VICL-64038〜9 / 2,900円(税込)

[CD収録曲]
■DISC 1
01. The Planet Hope
02. Yang 2
03. Homosapiens Experience(2013 Mix)
04. Sonic Fireworks
05. Nayutanized(2013 Mix)
06. Psycho Monday
07. Delight Slight Lightspeed
08. Beats For Jealous Pluto(2013 Mix)
09. Starmine Sister(2013 Mix)
10. Universe Universe
11. Before The Stardust Fades
12. Cydonia Twin
13. Wonderpower
14. Wish Upon The Diamond Dust
15. Radio Earth
16. Crusaders(New Song)

■DISC 2 [Selected Ancient Mixes]
01. Yang 2
02. The Planet Hope
03. El Planeta / Death
04. Wonderpower
05. Odd Moon Shining
06. BANZAI (Remix)
07. Pulsar A

[ LIVE INFORMATION ]

■ HighApps Tours
6月03日(月) 高松DIME
6月05日(水) 福岡Queblick
6月06日(木) 広島ナミキジャンクション
6月14日(金) 札幌DUCE
6月16日(日) 仙台CLUB JUNK BOX

■「avengers in sci-fi presents “SCIENCE ACTION”」
6月23日(日) 東京・渋谷O-EAST
 guest:9mm Parabellum Bullet
6月26日(水) 大阪・心斎橋Music Club JANUS
 guest:Sawagi
6月27日(木) 名古屋・池下CLUB UPSET
 guest:Sawagi

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