NEXUS アーティスト・インタヴュー:avengers in sci-fi 木幡太郎

avengers in sci-fiがニューシングル『Sonic Fireworks』をリリースした。アルバム『dynamo』から1年2ヶ月ぶりとなる新曲は、「新世代マツダ アクセラ・デミオTVCMイメージソング」として書き下ろされた一曲。そして、“ロックの宇宙船”というキャッチフレーズで評されてきたavengers in sci-fiにとって、大きな転機となるナンバーだ。

電子音がキラキラと舞い、野生的なダンスビートとドリーミィな旋律がリスナーを桃源郷に連れて行くこの曲。歌詞には、これまで彼らと同じく宇宙を思わせるフレーズを使いつつ、思春期の淡く夢見るような感情の揺れ動きが切り取られている。

ニューシングルを経てバンドがどこに向かおうとしているのか、フロントマンの木幡太郎に語ってもらい、そして熱心な洋楽リスナーでもある彼に「2011年の一枚」を挙げてもらった。

取材・文=柴那典

武道館のときの野村さんのガッツポーズはカッコ良かった

――シングルはCMのために書きおろされたナンバーなんですよね。そのことが曲作りにどう影響を与えたかということから話を訊いていければと思うんですけれども。

木幡
CMは完全に予期せぬ話でもあったんですけど、でも、そんなに影響を与えたわけでもなくて。おそらくいい影響しかないですね

――僕はタイアップというものをけっして否定的に捉えていないんですよ。“お題”を与えられてそれに応えるというのは、ある種クリエイティビティを活性化するという面もあるわけで。実際、作っていてそういう感覚はありました?

木幡
ただ、そうは言っても具体的な要望というのがほとんどなかったんですよ。たとえばダウナーなものよりアッパーなもの、ネガティヴなものよりポジティヴなものという、それくらいで。それもハッキリ言われたわけじゃなくて、僕がそう感じ取ったというくらいで。でも、それって、車のCMを一度でも観たことがあるなら誰もが想像するようなことじゃないですか。だから、ほとんど意識する必要はなかったんです

――じゃあ、端的に曲としてはどういうスタート地点から作り始めたものなんでしょう?

木幡
完全にゼロからですね。曲のストックもあったんですけれど、それも使わなかった。バンドらしさとかコンセプトとか、いつもはそういうところが曲作りの出発点としてあったりするんですよ。でも今回はただただ曲作りを始めるしかなかった。〆切も伝えられてるし、そのプレッシャーもあるので。完全に何も考えないで曲作りを始めた。ただその時自分がやりたいことを正直に出すしかなかった感じです

――avengers in sci-fiって、これまで“宇宙”というテーマがあり、そこに向かっていくような形で作品を作ってきたヒストリーがありますよね。でも、この曲は逆に“宇宙”のイメージをツールとして使って別のものに焦点を当てるようなものになっている。

木幡
そうですね

――そこで、むしろ身近な内面の感情を描いている。そこにはどういうきっかけがあったんでしょう?

木幡
これはまあ、ぶっちゃけた話をしちゃうと、最近はもう宇宙とか未来とか、ほんとにどうでもよくて(笑)。そういうものを想起させるワードは使っているし、サウンドもそういうものをイメージさせると思うんですけれど。今は宇宙に向かって旅に出るという感覚より、地上から宇宙を眺めているとか未来に思いを馳せているとか、“宇宙”と言っても“内宇宙”というような、内側に向かっている感じがありますね。宇宙とか未来とか、そういうものに対する立ち位置が違う。それはハッキリありますね。これまではいわば第三者的な視点で俯瞰してストーリーを描いてきたんです。でも、今はもっと自分のことを歌いたい。自分が今までに感じてきたことを曲にしたいし、自分の原風景に近いものを音楽にしたいという意識がすごく強くなっていて

――これまでは“ここではないどこか”の曲だったわけですよね。それが“ここ”の曲になっている。

木幡
そうですね。そういうところはハッキリあるんで。完全に“ここ”の曲ですね。誰もが通ってきた道というか

――思春期の曲でもある、と。

木幡
そうですね。

avengers in sci-fi 木幡太郎


ギター、ベース、ドラムスという最小限の3ピース編成でありながら、シンセサイザー/エフェクト類を駆使したコズミックで電撃的なロックを響かせるavengers in sci-fi。“ロックの宇宙船”とも称されるこのバンドは、高校の同級生であった木幡と稲見によって02年にスタート、大学で長谷川と出会い現在の編成に。メロディック・パンクのカヴァーに始まりテクノ/ダンス・ミュージックへの傾倒を経て、数々のエフェクターを導入し独自の近未来的ロック・サウンドを展開。09年12月にメジャー・デビュー。それまでのロック、パンク、テクノ、エレクトロに加え、クラシック、オペラ、ゴスペルの要素も自由に操り更にパワーアップ。その高い音楽的IQが評価され、同年には木村カエラのシングル『BANZAI』をプロデュース。2010〜2011に全国28本に及ぶツアーを成功させ、初のCM書き下ろし曲となる2nd single「Sonic Fireworks」を2011年12月14日にリリース。

来年5月5日に渋谷AXでワンマンライヴ「2 yang 1 wrong」を開催。

2月に東名阪の接近戦ツアーを予定しているが、大箱規模は昨年のアルバムツアーのファイナル・新木場STUDIO COAST以来。2月のツアーとはまた一味違ったステージを見せてくれるだろう。



Sonic Fireworks

『Sonic Fireworks』
発売中
VICL-36677
1,200円(税込)

MAZDAアクセラ・デミオ“JAPAN DRIVE Fest”CMイメージソング
[ 収録楽曲 ]
1. Sonic Fireworks
2. Odd Moon Shining
3. Live at FEVER 20111018 (Nayutanized〜Universe Universe〜Wonderpower〜Before The Stardust Fades〜Starmine Sister〜Homosapiens Experience〜DelightSlight Lightspeed)


http://www.avengers.jp/

インタヴューArchives