NEXUS アーティスト・インタヴュー:1000say 凄いカッコいい音楽をやった上で、人と人っていう部分で信頼しあえる関係を作っていきたい

2013年は主催イベント“千ノ陣”シリーズを展開したほか、フランス発の日本文化フェス“JAPAN EXPO USA”に招聘されて初の米国公演を行なうなど、精力的なライヴ活動を展開した1000say(ア サウザンド セイ)。MAN(Vo,G)、API(Vo,B)、MICHELLE(Syn)、NON(Dr)からなる男女混合バンドは、着実に活躍の場を“BORDERLINE”を越えて拡げつつある。

1stミニアルバム『STARGAZER ORCHESTRA』でのデビューから5周年を迎えた2013年、1000sayが展開したのが初の“東名阪ワンマン・ツアー「NONZOの逆襲」”。11月17日(日) 高円寺HIGHを皮切りに、24日(日) 大阪北堀江club vijon、12月1日(日) 名古屋ell.SIZE公演で白熱のステージングを披露した。さらにこのツアーの前には待望の新曲「SPECTRUM」を、2013年内期間限定フリーダウンロードというかたちでリリース。1000sayならではのポピュラリティと疾走感あふれる作風の「SPECTRUM」は、リードシンセとギターオーケストレーションが映えるバンドサウンドが見事な仕上がりだ。

ここでは東名阪ツアーを終えた4人のインタヴューを通じて、1000sayの2013年を振り返るとともに、新たなチャレンジへ挑む2014年について語ってもらうことにしよう。

取材・文=北村和孝

1000sayのライヴを一緒に作っていこうっていう空気ができた

――最近の1000sayのライヴはショートセットでもルーティンな感じがしないライヴが印象的です。東名阪ツアーは大胆にも3カ所ともまったく異なるセットリストでしたね。

MAN
『APOLLON』(2011年リリースの最新アルバム)を出した後、創作意欲を出しきった感じもあったし、今自分達が持っている楽曲とお客さんとの接点という部分で、「ライヴでもっとチャレンジができるのでは!?」という風に意識がシフトしたんです。
API
そのチャレンジする姿勢に刺激を受けたところもあったし、「自分のいるステージは此処しかない」って、自分のライヴに向かう意識も変わったんです。私達はLOVERS(“千言LOVERS”/1000sayのファンの総称)に曲を届ける立場ですけど、同時にLOVERSに育ててもらっている感覚も強くて。前は「顔を憶えられない人がいたら申し訳ないから」とか思ったりして、お客さんとの間に何処か壁を隔てていたところもあったんです。でも今は「1人1人の顔を憶える努力をしよう」とか、そういう想いに変わったことが今のライヴに結びついているのかな。

――不特定多数のイメージというより具体的にファンの顔が見えてきたということですか?

MAN
今は何千って人を相手にしているワケじゃないし、ライヴハウスでプレイする状況ではそれが可能かなと。最近はライヴの予約表を受け取ると、「あ、あの曲を好きだと言っていた子が名古屋に来てくれるんだ」、「この子が来てくれるなら1曲目はこれで始めたいよね」とか、観に来てくれるLOVERSの顔に焦点を定めながら、セットリストを組むようになったのが2012〜2013年でしたね。
NON
そういうのがライヴの盛り上がり方にも表れてきたのかなと。“HANE”で「1、2」とみんながシャウトしてくれたり、“BASKET SHOES”でタオル回してジャンプしたりとか。
MAN
“HANE”の「1、2」って僕が1人でやっていたんですけど、はじめに何人かのLOVERSが真似してくれて、それが一挙に伝染していったというか。
API
“BASKET SHOES”でタオルが回るようになったのも去年の夏、大阪じゃなかったかな。
MAN
大阪のお客さんがキーワードだった気がする。「新しい波を起こしてやったぜ」みたいなツイートをしていた人がいたから(笑)。僕達から提示していなくても、1000sayのライヴを一緒に作っていこうっていう空気があるというか。サイリウムの腕輪もJAPAN EXPOだと海外のオーディエンスがみんな付けているんですよね。多分その映像を観た誰かが大量に買ってきて、それを周りに配ったのが定着したという。SEとともにステージに出ると僕らも「おぉ〜!」って驚くわけですよ(笑)。僕達も音楽を通じてLOVERSを驚かそうと仕掛けていく中で、LOVERSも何処か僕らをびっくりさせようってサプライズを用意してくれるというか。

――“BASKET SHOES”のMICHELLEのオカリナソロでみんなが沸いたりとか、ライヴで大きな見せ場として定着しましたよね。

MICHELLE
ツイートで「今日のオカリナは良かった」とか感想をいただくようになったり(笑)。ステージングや演出で個々がクローズアップされるポイントが定着していく中で、もっともっと表現しなきゃいけないって話はしているし。みんなが反応を返してくれるような形に近づいていく努力が伝わったかなと。一番敏感な感性を持ってオーディエンスとの関わりを持ってきたのはフロントマンのAPIとMAN君だろうけど、セットリストやMCがどんどん変わってきているなって感覚はありますね。

――フロントマンの顔しか見えないようなバンドではなくて、4人個々のキャラクターが明確でちゃんと見えるっていうのは1000sayの武器ですよね。

MAN
バンドの花形としてそれぞれにスポットが当たるというのは、僕がずっとバンドに対して求めていたものだし。楽曲においても「此処は誰々の見せ場」とか、そこは強く意識して作っていますね。

新曲“SPECTRUM”はひとつ限界を更新できた

――2013年は昨年末までフリーダウンロードで配信されていた“SPECTRUM”、そして“BORDERLINE” “FIFI”といった新曲も披露されて。すっかりライヴで定着しつつあるんですが。

MAN
「千ノ陣 VS-3GOKUSHI」の東名阪ツアーで1曲ずつ新曲を演るって言っちゃったので(笑)。実はその時点ではネタがない状態だったんですけど(笑)、自分にノルマとして課して。

――特に“SPECTRUM”はソリッドで肉体的なバンドサウンドが印象的でした。

MAN
音楽的に言えば確かにソリッドで肉体的な部分もあると思うんですけど、僕の中で次の作品のテーマは決まっていて。そのテーマと『APOLLON』以後、この2年間ライヴで演って獲てきたものが凄く合致したんですよ。1000sayのこれからを現す曲になったとは思いますね。

――ゲストに戦友とも言えるミュージシャンがコーラスで参加していて。しかもあのコーラスは楽曲の核ですよね。

MAN
2013年がデビュー5周年の節目だったんですけど、自分達がやってきただけじゃなくて、LOVERSにとっても共有してくれた時間があると思っていて。そういった人達に向けてどストレートな、わかりやすいメッセージソングを作ろうと思っていたんですね。それに加えて1000sayって今まで共演してきたバンドだったり、対バンして仲良くなったバンドに救われているところもあって。そういった同業者の仲間達とも何か残したいって気持ちがありました。声を掛けたメンバーはみんな二つ返事でOKしてくれたのでただただ感謝の気持ちでいっぱいですね。

――“SPECTRUM”を聴いたときは今の1000sayならではのポピュラリティのある楽曲に仕上がっていて驚きました。

MAN
スタンダードな楽曲を作ることに強い憧れがあるんですよ。それこそバグルスの“ラジオスターの悲劇”とかあのレベルの曲を死ぬまでに作ってやろうと思っているし。今までだったら“LOSTMAN”や“BASKET SHOES”がそういうところに挑戦して作った曲で、そのときそのときの僕の限界だったと思うんですよ。その意味で“SPECTRUM”はひとつ限界を更新できたのかもしれませんね。

1000sayはJAPAN EXPOの最多出場バンドらしいんですよ

――1000sayは今やJAPAN EXPOの常連バンドというか、近年海外公演のリアクションも大きいようですね。

MAN
海外で演りたいって目標はバンド結成時からあったんです。JAPAN EXPOは2011年のフランス、2012年にフランス、ベルギーの2国、昨年はUSAにも参加して。1000sayは最多出場バンドらしいんですよ。今ヨーロッパやアメリカでは、自国の音楽だけでは満足できない人達が確実に増えてきていて。そういう人達がYouTubeなどを介して僕らの音楽にも物凄い興味を示してくれたという。しかも興味だけじゃなくて、強い憧れや希望を持ってくれているんだっていうのを感じて。それを生で届けにいくっていうのは自然なことじゃないかと今は思っているんです。僕らがティーンエイジャーの頃に洋楽を聴いた感覚で、彼らのラインナップの中で日本の音楽が上がってきているタイミングなんだってわかって嬉しかったし。そういう流れを感じとったときに、「1000sayの音楽は絶対に通用するはず!」って確信を持ったんです。

――フランス人のスタッフが“BASKET SHOES”のMVを作ってくれたりとか、彼らと1000sayとは凄く通じ合っている感じが傍から見ていても感じるんです。

MICHELLE
フランスに行ったことによって、帰国してからもツイッターやFacebookなどで距離を感じさせない繋がりを持てたのは良かったですね。

――JAPAN EXPOのFacebookで1000sayのバナーがアップされたりしていましたよね。

MICHELLE
そう、いきなり一番上にアップされて驚いたり(笑)。最初はJAPAN EXPOでの宣伝がきっかけなんでしょうけど、ライヴの後は向こうでウェブサイトを作っている人達が、インタビューやライヴレポート、写真やライヴ動画をアップしてくれたりもしていて。
MAN
海外に限らずなんですけど、凄いカッコいい音楽をやっていて、その魅力だけで人がついてくるっていうのは実は僕個人が理想とするバンド像とはちょっと違うんですよ。凄いカッコいい音楽をやった上で、人と人っていう部分で信頼しあえる関係を作っていきたい気持ちが強いんです。「1000sayってバックヤードでも良いバンドだね」って言われるバンドでありたいと常々思っていて。海外公演では言葉で不自由することもあるけど、向こうで取材してくれたメディアの人達、JAPAN EXPOのスタッフ、向こうで知り合ったオーディエンスも勿論そうですけど、彼らとそういう間柄を越えた友情というか、信頼関係を築けた自信はありますね。向こうで演奏してそれが受け入れられたことも嬉しかったけど、僕にとっては彼ら1人1人と仲良くなれたことがそれ以上にスペシャルな出来事なんです。
NON
本当、出逢いに恵まれましたね。1年目に行ったときに仲良くなったスタッフが、その後日本に来たときにまた逢ってもっと仲良くなって。次の年に私達が向こうに行ってまた食事に行ったりとか、そこでまた友達が増えていって。そうして繋がっていたから、2013年も「JAPAN EXPO USAに出ないか?」って声をかけてくれたり。

――東名阪ツアーのMCで、2014年は制作モードで行くってことを発表されていましたね。

API
ここ最近、曲はあまり作ってこなかったので、曲を作りたいっていう思いを、自分の中で掘り起こしたいと思っています。大きなことを変えることはなかなかできないかもしれないけど、日常生活の小さなことからそれをバンドに波及させていこうかなと。
MICHELLE
僕も何かみんなに聴いていただけるように作曲も頑張っていきたいですね。もっとも制作に入るとは言え、ライヴをやらないってスタンスではないので。この2年で築いてきた感覚をヴァージョンアップして、さらにLOVERSと一緒に楽しんでいけるようなステージを作っていきたいですね。
NON
ドラマーとしてもっともっと技術を磨いていかないとって思っているし、もっと良いドラム叩いていきたいなって。MAN君が新曲を作ってくると毎回「新しいな!」って思うポイントがあるんです。“FIFI”だったらダブっぽいところとか、“BORDERLINE”だったら速いビートだったりと、自分の中でいろいろと挑戦させてもらっているというか。
MAN
この取材の前にスタジオに入って新曲を2曲合わせたんですけど。2014年はリリースに向けてしっかり制作していきたいというのが第一になりますね。『APOLLON』以後の2年間、そしてJAPAN EXPO 4回での海外公演経験、東名阪ツアーや仙台でプレイしたこと。そうした現場で培ってきた感覚と僕が掲げているコンセプトが物凄く絶妙に混ざりあった、多分最高傑作になると思います。

1000say
-A THOUSAND SAY-
(ア サウザンド セイ)

2005年にMAN (vo,g)、API (vo,b)、MICHELLE (syn)、NON (ds)が揃い、男女ツインヴォーカルをフィーチャー、生々しいバンドサウンドとシンセサウンドを融合した先進的な音楽性で注目を浴びる。
2008年にミニアルバム『STARGAZER ORCHESTRA』でデビュー。現在までに3枚のミニアルバム、2011年に国内初のミュージック・アプリ・シングル「HANE」を発表。同年に1stフルアルバム『APOLLON』をロック・チッパー・レコードよりリリース。国内外で大きな話題を呼んだ。
2011年よりヨーロッパ最大のカルチャーイベント “JAPAN EXPO”に毎年招聘されているほか、“千ノ陣 VSシリーズ”など主催イベントを展開。
2013年、デビュー5周年を記念しての東名阪ワンマンツアー“NONZOの逆襲”を成功させた。

オフィシャルサイト


最新リミックス・シングル
『SPECTRUM -MAJO NO TAKKYU Remix』

2013年10月10日(木)発売

最新シングル「SPECTRUM」のリミックス音源をOTOTOYより配信中
http://ototoy.jp/_/default/p/37388


■ ライブ情報
・1月27日(月) 渋谷duo MUSIC EXCHANGE
Qaijff 1st Single 『Clock hands/エンディング』release party[東京の皆さんへ。2014年はクアイフの年です。]

・2月1日(土) 名古屋鶴舞DAYTRIP
Lemon’s Chair presents [JAPAN SHOEGAZER FESTIVAL NAGOYA EXTRA]

・2月28日(金) 下北沢CLUB251
イノリオン×251 presents[ビター×スイート vol.1]

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