栗田 秀一
株式会社パワーボックス株式会社レインボーエンタテインメント
代表取締役
アーティストは、amazarashi・工藤 真由・YOUNHA・Sotte Bosse などの方々が所属しています。
現在はFMPJ理事も兼務。


最近K-Popが随分と元気ですよね、特にガールズグループ良いですよね、腰フリフリとか美脚とか、おじさん達にもドキッとします。

私は以前韓国との音楽ビジネスに関わっていたので敏感に反応しているのかもしれませんが、で少し振り返ってみる事にしました、韓国との音楽ビジネスを。我々は今日本の音楽をグローバルにと声を上げていますが、実はこれ韓国が先輩です。1998年にS.E.Sという3人組のガールズグループのプロデュースで初めて韓国に行きました。その頃はまだタワーレコードも健在で、S.E.Sも100万枚近くセールスしていました。片やインターネットも急速に普及していて、韓国スタッフに聞いて欲しいCDを送ろうかって言ったら、「大丈夫です、ほとんどの曲はネットで聴けますから」と言われてビックリ。町中にはMY CDを作れる店もあったりして(これネットから好きな曲をダウンロードしてCDにコピーするサービス)、原盤権や著作権はどうなってんだろう???

でS.E.Sのマネージメントをしていた、今や飛ぶ鳥落とす勢いのS.M.エンターテイメントの創業者でプロデューサーのLee Soo Manさんからその時の韓国音楽業界の環境と問題点、未来の展望等を聞きました。というよりご教授頂きました(尊敬すべき音楽人です)。違法ダウンロードの増加、音盤市場の低下、ライブ市場の未成熟・・etc、でもそれより驚きは彼の頭の中に、その後の韓国音楽業界の衰退と今のアジアを席巻しているK-Popの状況が既に描かれていた事です。国内市場の衰退ゆえのグローバル戦略、今の、いやこれからの日本と同じだったのかも知れませんが、S.M.エンターテイメントの戦略は非常にシンプルで「アーティストのローカライズ」を徹底して行った事です。その結果がBoAや東方神起、そして少女時代のブレイクに繋がりました。日本発でグローバルにと考えた場合はまた違うかもしれませんが、とても参考になる戦略でした。

それにしても毎晩毎晩先の事を考え続けているLee Soo Manさんには脱帽でした。

またこの夏にタワーレコードさんと組んでNEXTアーティスト応援プロジェクト「Knockin’ on TOWER’s Door」というタイトルで、音楽に夢を持って活動しているインディ系のアーティストのオーディションを行いました。これは年間10アーティストくらいを選抜して、まだまだ店頭発信力のあるタワーレコードが全店でバックアップして売っていこう!というものです。(1番のアーティストはNO MUSIC, NO LIFE.のポスターに出演もできる!)

1.000組以上の10代から70代迄さまざまなジャンルのインディアーティストが応募をしてくれました。各2曲での応募だったので2.000曲以上でしたが、全部聞きました。久々でしたね、これだけの楽曲をまとめて聞いたのは。

しかし楽しかった!!どれもこれもエネルギーが充満しまくっていて、これからの音楽シーンが楽しみになりました。音楽業界を斜陽化産業などとは言わせたくないものです。

最後に、先日倉庫の奥から90年代のDiscmanが出てきました。いやぁ〜懐かしいな〜 で、どんな音だったっけと思い早速CDを聞きました。ビックリです!!音イイんですよね。最近のMP3プレーヤーとは明らかに違いました。

さらに、そういえば今年初めに引っ越した際に手伝いに来た友人にEAGLESの「HOTEL CALIFORNIA」をアナログレコードで聞かせたら感動してたな、を思い出し、早速引っ張り出して聞きました。いゃ〜本当に感動!感動!感動!音楽のパワーって凄いな、を感じた幸せな一瞬でした。

菅谷憲
スターダスト音楽出版 取締役
(ももいろクローバー・K・柴咲コウ・YUIなどのアーティストが所属する)
社団法人 音楽制作者連盟 理事


この国を憂う・・って、これ音楽業界のコラムですよね!?
30年余り音楽業界に(気が付いたら)身を置いているワタシが最近思うのです、憂国を。領土ってなんだろう? 外交って? 国が目指す方向は? 主張すべきは? 役割とは? 個性とは?

10月初め、弊社所属のアニソン系歌手Nが中国広州で開かれるアニメフェスティバルに招待されていた。そう、尖閣諸島問題で大騒ぎ真只中の時に!だ。当然「大丈夫なの?」と現地主催者に問い合わせるものの「全く問題ありません」との答え。「セキュリティー上の不安はないのか?」と聞くと「念のため警備強化しますが、大丈夫です」「ホントに?」「中国人にとって、日本の政治と日本のアニメは全く別のものですから」・・だそうです。

果たしてフェスティバルは無事終わり、約5000人のファンたちは会場を出るまでNに暖かい声援を送り続けてくれたという。でも、その数日後には中国各地で反日デモ隊が日系のスーパーや日本料理店を襲撃した。
確かに、日本の政治とMANGAは全く別物のようだ・・そう理解するしかない。

もう一人の弊社アニソン歌手Aの場合、7月のフランスJAPAN EXPOに出演し、現地のテレビ「NOLIFE」(カワイイ文化専門局)でのレギュラー出演も功を奏し、12月にパリでワンマンライブの招聘を受けた。正直言って日本のライブでもまだお客さん800人くらいがやっとなのに、現地招聘元は「パリで200〜300人集めます!」となかなか頼もしい。
他方、今週になってロシアのメドベージェフ大統領が北方領土を突然訪問「日本の神経、逆なで・・」と報道されている折、同じロシアの有名作曲家が「日本のアイドル歌手の作曲をしたい」と某広告代理店を通じてオファーしてきた。
まるでジキルとハイドが代わる代わる顔を出しているようだ。だいたい外交の本質って、ジキルとハイド的なものかもしれないが。

中国がレアアースの輸出を渋るのなら、日本はMANGAを中国に輸出しないことにしたらどうだろう!?
「一寸先は闇」のリアルすぎる21世紀を生き抜く現代人のためには、アンリアルな「もうひとつの世界」が必要なようで、日本のポップカルチャーが作り出すヴァーチャルワールドが世界中から求められているのなら、それが日本の「外交カード」として最強なものになる可能性をマジで考えた方が良いかもしれない・・隣国にまたお株を奪われてしまう前にね。

第5回目担当、業界歴42年になる菊地哲榮(キクチアキヒデ)です。現在64才。
以下、プロフィールです。

1946年、北海道函館出身。早稲田大学理工学部電気通信学科及び体育局応援部卒業後、1968年、渡辺プロダクション入社、ザ・タイガース、沢田研二、木の実ナナ、天地真理などのマネージメント担当。独立後、松任谷由実、アリス、渡辺美里、佐野元春、MR.CHILDREN、ケツメイシ、森山直太朗、アクアタイムス、フランプール、AKB48などコンサートの企画制作会社ハンズオン・エンタテインメント代表取締役社長。2000年さいたまスーパーアリーナこけら落とし「NINAGAWA 火の鳥」(演出:蜷川幸雄)、第19回福岡国民文化祭2004(演出:横内謙介)、2007年7月1日千葉市美浜文化ホールこけら落とし「美浜に吹く風」等を「扉座」主宰横内謙介氏と連携し、プロデュース担当。(以上)

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さて、40年前からの話になります、生まれてない方もいると思いますが、アーティスト名などに注釈はつけませんので興味や疑問がありましたら、自らネットで調べてください。
さあ、私の『現在・過去・未来』をとおして、何か今後の音楽ビジネス、音楽業界発展のためにお役に立てたらと思いまして、徒然なるままに書き連ねました。
 
◎現在:私の信条来る者は拒まず

現在、「来る者は拒まず」を信条にしてます。心を寄せて近づいて来る者は、どんな者でも受け入れるという意。(辞書から)それで時間の許す限り、人と出会い、来る仕事は、受ける。頼まれ事はまず、受けてみる。頭から断らない!CHALLENGE!
そもそも、人生は迷い続け、間違い続ける・・・という風に最初から人生を達観していたら、何も迷いはおこらないのですが。
何故、今まで自分は、来る者をああだこうだと選んできたのか?それは、損か得か!メリットかデメリット!幸か不幸か!・・・・・を小さな自分の中で、その時の価値観・境地、で判断していただけなんだと。

幸か不幸か?・・・禍福というと、中国の諺「人間万事塞翁が馬」を思い出します。
中国の北の方に占い上手な老人が住んでいました。
さらに北には胡(こ)という異民族が住んでおり、国境には城塞がありました。

ある時、その老人の馬が北の胡の国の方角に逃げていってしまいました。
この辺の北の地方の馬は良い馬が多く、高く売れるので近所の人々は気の毒がって老人をなぐさめました。
ところが老人は残念がっている様子もなく言いました。「このことが幸福にならないとも限らないよ。」
そしてしばらく経ったある日、逃げ出した馬が胡の良い馬をたくさんつれて帰ってきました。
そこで近所の人たちがお祝いを言いに行くと、老人は首を振って言いました。「このことが災いにならないとも限らないよ。」しばらくすると、老人の息子がその馬から落ちて足の骨を折ってしまいました。
近所の人たちがかわいそうに思ってなぐさめに行くと、老人は平然と言いました。「このことが幸福にならないとも限らないよ。」1年が経ったころ胡の異民族たちが城塞に襲撃してきました。
城塞近くの若者はすべて戦いに行きました。
そして、何とか胡人から守ることができましたが、その多くはその戦争で死んでしまいました。
しかし、老人の息子は足を負傷していたので、戦いに行かずに済み、無事でした。
「城塞に住む老人の馬がもたらした運命は、福から禍(わざわい)へ、また禍から福へと人生に変化をもたらした。まったく禍福というのは予測できないものである。」
というお話。

損得も同じ。一喜一憂していては、物事の本質が見えなくなって、目的達成は出来なくなる。

そんな訳で、現在、経営者として〜(株)ハンズオン・エンタテインメント代表取締役。講師として〜早稲田大学校歌研究会座長、早稲田大学メディアネットワーク非常勤講師。指定管理として〜千葉市美浜文化ホール芸術監督。業界団体活動として〜(社)音楽制作者連盟常務理事。最近の動き・仕事〜千葉市4館(千葉市市民会館・千葉市文化センター・若葉文化ホール・美浜文化ホール)指定管理応募の為の提案書作成。広島文化交流会館(旧・広島厚生年金会館)の指定管理者。パチンコ「CR天下夢想」へのルナシー楽曲使用コーディネート。マクドナルド主催「KIDS JAZZイベント」のプロデュース。AKB48〜『チームOGI 祭りat AX』ライブ&ODS。千葉市新人文化賞受賞者のステージ『美しき浜辺の妖精たち』のプロデュース。匝瑳市栢田のハンズファーム(約500坪)での収穫野菜を薬物更生施設ダルクに贈る。その他・・・・等々、今まさに来る者は拒まず」状態。

 
過去:「業界の先輩達に感謝」渡辺晋社長と永島達司会長

先日の夜(10月28日)渡辺プロダクション・渡辺美佐会長、エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ(株)・代表取締役会長稲垣博司、アミューズ・大里洋吉最高顧問の4人で会長を囲む会食の場がありました。当然、渡辺晋社長のお話、往時の飛ぶ鳥を落とす勢いの渡辺プロの話。私が在籍していた10年間(‘68〜’78)、1年365日、52週間のオリコンベストテンに渡辺プロのアーティストが必ず複数ランクイン。テレビ局の音楽番組プロデューサー、レコード会社のディレクター、映画会社のプロデューサー、広告代理店の取締役が多数日参。これこそ、音制連が向かうビジョン『プロダクション・イニシアチブ』そのもの!美佐会長が大里と私をヨーロッパのパリ・ロンドン・ハンブルグに引率。ロンドンでのロバート・スティッグウッド(ビージーズのプロデューサー)の大邸宅での驚き、ドッグレース場、DEEP PURPLEの映画館ライブ、ロッキーホラーショー。パリでは、ナイトクラブ「リド」「クレージーホース」中でも圧巻だったのは「アルカザール」のショー、渡辺会長はパリでも有名で司会者は「wellcome! from japan !misa watanabe!」(確かそう言った?)スポットライトの会長。大きな四角い水槽がステージ前面にせり出し、全裸?の美女がカメや魚と泳いでいる。又、美女がのった本物の馬が、デベソ舞台の中央で両足を上げて、我々の頭上でいななく!二人共、腰を抜かす程ビックリ。何と素晴らしいエンタテインメント!世界のレベルに完全にカルチャー・ショック!

さて、本題の「業界の先輩達に感謝」ですが、40年前は、芸能の興業には、暴力団・テキ屋が深く関わってました。

渡辺晋社長と永島達司会長(ビートルズを日本に招聘したプロモーター、「ポール・マッカートニーが最も信頼した日本人」)が体を張って、闇の勢力との関係を少しずつ絶ってきました。そのお陰で、綺麗に整った道を我々は現在、安心して、音楽ライブビジネスに邁進できるようになりました。時代の開拓者・冒険者たちに感謝いたします。

4年前の私の還暦パーティーの時に制作した映像を添付しますのでご覧下さい。

 
未来:「音楽業界の再生」

10月20日(水)読売新聞の朝刊の一面広告が目にとまりました。

『人間再生。日本再生。その挑戦と冒険をあなたから始めてみないか。』

日本も音楽業界も停滞気味、何か、活性化出来るヒントはないか?と常日頃、思案し続けている自分の目に飛び込んで来た、このキャッチコピー。

実は本の広告で、タイトルは『魂の冒険』〜答えはすべて自分の中にある〜高橋佳子著
http://rackbee1.web.fc2.com/bouken/,http://www.sampoh.co.jp/movie/tamashii.html
この著書を読んでみました。

哲学書であり、宗教書であり、人生の実践書である。
音楽業界再生のヒントが充満していると私は感じました。皆さんに是非、お薦めします。
とりあえず、広告の要約をかいつまんで、披露すると。

『敗色の色濃く』
昨今の日本には、暗雲がたれ込み、敗北感が漂い、日本経済は自立的な回復力を失っている。

経済においては、財政赤字は総額900兆円、国民一人あたり710万円の借金。GDP(国内総生産)では、中国に第二位を明け渡す、それを取り戻す未来は再び訪れそうにもない。ウオークマンがiPodに取って代わられ、トヨタ・ホンダがF-1から撤退し、世界シェア50%以上を誇っていた、半導体産業は著しく衰退。シンガポールの証券取引所には2008年の時点で、日本の10倍以上の外国企業が上場。アジアのハブ空港が韓国仁川(インチョン)空港に横浜・神戸港は東洋の中心的ハブ港としての役割を釜山(プサン)や上海に奪われ、世界一だった家電業界もサムソンやLGなど韓国企業に追い抜かれた。

教育においては、日本は教育機関に対する公費支出の割合は、GDP比でわずか3.4%、OECD(経済協力開発機構)加盟国中、データのある28カ国の最下位科学分野では、

鈴木章 2010年 化学賞 クロスカップリングの共同開発。
根岸英一 2010年 化学賞 クロスカップリングの共同開発。

ノーベル賞を授与しましたが、科学・工学系の博士号取得者数では、今世紀に入って、中国に抜かれ、アメリカの4分の1に過ぎない。
又、生活においては人々の生活は収入は目減り、老後を支えるはずの年金制度は崩壊の危機に瀕している。自殺者が12年連続で3万人を超え、孤独死は増加し、少子化も進行している状況です。明るい話題は影を潜め、問題山積。過去、経済大国と呼ばれていたことが嘘のように、我が国は元気を失っている。

『最大の危機は『冒険心』の喪失』

多くの人々が限界感を抱える。生活水準の向上は見込めない。就職も難しい。仕事では生き甲斐を求められない。安定しても停滞。自分の人生、将来に未来に希望を持てない。未来を描けない。何かを生み出せない・・・難しい。未来を想像(イメージ)が出来なければ、何かを生み出す創造(クリエート)が出来なくなり、未来はますます描け無くなってしまう。
本当の問題・危機は、希望を持てない→新たな挑戦が出来ない。→安定路線・既定路線でリスクを冒さない、壁は越えない→安定を選ぶ。安定を求め、冒険する心を失ってしまう。『冒険心の喪失』では無いでしょうか?

しかし、しかしなのです。

『二つの敗北感を乗り越えてきた日本』

私たち日本は過去の二つの大きな敗北感を乗り越えてきました。
一つは、江戸時代末期、黒船来港に象徴される圧倒的な西洋文明の力に屈し、開国を余儀なくされた時。もう一つは、第二次世界大戦で主要都市が壊滅的打撃を受け、焦土と化した敗戦の経験。
鎖国時代を生きた人々の目に映った西欧文明は、どれほど巨大で自信を失わせるに十分だったでしょうか?しかし、冒険心あふれる志士達が導いた維新の後、西欧文明を必死で吸収し、列強諸国に近づこうと富国強兵政策を進めた。そして、日清戦争、日露戦争を経て、その力を世界諸国に示しました。
そして全てを失った昭和の敗戦。焼け野原に呆然と立ちつくす人々。
しかし、そこから出発した我が国は、ベンチャー企業の冒険心、チャレンジ精神と技術力そして類い希なる勤勉さによって、見事に復興し、後に、ジャパン・アズ・ナンバーワンと形容され、先進国の一画を占めるようになりました。
認めがたかったはずの二つの敗北。しかし、我が国は、その敗北を正面から受け止め、それまでのやり方ではない生き方を選択することによって、乗り越える事が出来のです。
凋落としか思えない今の現実にも、道はあるということ。・・・・・・・・

どうぞこの後は著書『魂の冒険』を読んでみては如何でしょうか?

長い時間、お付き合い下さいまして、有り難うございました。

松野 玲(まつの あきら)
株式会社アミューズ エグゼクティブプロデューサー
社団法人 音楽制作者連盟 理事

東京国際映画祭が始まった。この映画祭を含むCOFESTAの一環として行われてきたTAMM(Tokyo Asia Music Market)も国内市場が縮小の一途をたどる中、今年からTIMM(Tokyo International Music Market)と名称を改めアジアも含めた海外に向け日本の音楽の売り込みに一層の力を入れるようだ。

2年前の2008年、TAMMにおいて音制連はジャパン・エキスポなどヨーロッパやアメリカの日本がらみのコンベンションの主催者や、ディストリビューターを招いての日本の音楽の海外展開についてパネルディスカッションを行なった。

またその前の春には、アメリカのテキサス州オースチンで行われている音楽コンベンション、SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)、7月には音制連理事長である大石氏とパリのジャパン・エキスポに出かけ、ライブを軸にした展開を現地の関係者などとも話し合ってきた。

この二つのコンベンションはまるで性質の違うものではあるが、SXSWの中のジャパンナイトは開始以来、日本からも多数のアーティストが出演して今では目玉の人気イベントとなっているし、ジャパン・エキスポについては「カワイイ」や「クールジャパン」などの言葉と共に、十数万人が来場する海外での日本人気を象徴するイベントとして特に注目を浴びているのでよくご存知だろう。これら以外にもその他のヨーロッパ、北米、南米、アジアなど世界中でこうした催しが行われており、その意味では市場の可能性は小さくないように思える。

しかし、もともとこのような現象は、アニメやマンガ、ゲーム、ファッション、また音楽の分野でも独自に海外のマーケットを切り開いてきたアーティストなど、先駆的な人たちのおかげで生まれたものであるのは間違いないし、数十年の間、テクノロジー=日本を名実ともに培ってきた製造業や技術陣の人々のおかげと言っていい。

そんな中デジタル化が世界中で進み、製造技術や表現技術の差はどんどん縮まって、もともとコストでは優位に立てないし、ましてや政策として国と民間がはっきりとした目標と予算を持って市場の獲得に乗り出してくる勢力に対して、「個」の力だけで国際的な競争に勝っていくのは簡単ではない状況になっている。

以来、音制連も関係省庁や関係団体とも協議をさせてもらい、今でこそいろんな分野で海外市場に関連して「オールジャパン」とか「パッケージ」とか言われるようになったが、音楽はより映像と、そして音楽や映像は機器やインフラなどともっと連携を深め、トータルでユーザーが楽しめるサービスを実現するべく提案を行ってきている。ただ現実的な諸問題もあり、理想的に物事が進んでいるとは言えないが、せめても音楽業界内の連携として音制連、音事協、MPAの3団体共同のSync Music Japanというサイトを立ち上げて、海外の関係者に向け日本のアーティスト情報を発信している。

そのような「情報」も大事だが、何といっても音楽を生み出すのはアーティストという「人」であり、その「人」のパワーが最大限に発揮される場所が「ライブ」である。観客の胸を撃つ影響力の大きさと深さはライブに代わるものはなく、最終的にはライブを成功させる動きにいかに繋げられるかということが重要だろう。特に日本のアーティストや楽曲の持つ、単なるショーには終わらないリアリティや人間味は、デジタル処理や形だけでは真似のできない絶対的なキラーコンテンツであることに誇りを持っていいと思う。

優れたテクノロジーに裏打ちされたハード分野と、世界中で人々を魅了するソフト分野の連携による相乗効果がうまく発揮されれば、どちらにとっても明るい未来が待っているはず。それに加え、合理性のある政策的後押しや、この分野をサポートできるビジネスに精通した人材の育成もうまく進めば、産業としても大きな柱とすることも不可能性ではない。いずれにしても、周辺のスピードはどんどん加速しており、もうそんなに時間はなさそうだが、引き続き音制連のメンバーとして、ソフト業界の人間として役に立てることがあれば積極的に貢献していきたいと思う。

野村達矢(ヒップランドミュージック/ロングフェロー

株式会社 ヒップランドミュージックコーポレーション 取締役執行役員。
有限会社 ロングフェロー代表取締役社長。
BUMP OF CHICKEN、サカナクションなどのアーティストマネージメント、そして新人発掘、マーチャンダイズ、ライブ制作などなど。
現在、FMPJ理事でもあります。

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こんにちは、初めまして。

「大人のNEXUS」、第4回目です。
第4回目担当の野村です。

このNEXUSのコラムの中の「大人のNEXUS」というのは業界職歴20年のキャリアを越えている人たちのコラムということなんですね。
20年といえば、人間で言うと成人式をむかえるわけで、まあ肉体的にも精神的にも法律的にも社会的にもいろんな意味で大人と認められるわけですね。それにちなんで、キャリア20年も越えるようなまさに業界的に大人な人たちが、大人目線でコラムってしまうのがこのコーナーなわけですよ。

しかし、俺もこんな風におっさん臭いくくりのところに登場するハメになるとは思わなかったわけですが。。。
いつまでも若手のつもりだったんだけどね。

大人になると、ある程度の分別は必要なわけで、かしこい大人は本音と建前をうまく使い分けるわけですよ。まあ、それもうまくやっていく処世術なわけですが、やっぱり本音をさらけ出してストレス発散するのもたまには大事なわけで。なので、このコラムでは、どちらかと言うと本音のほうでいろいろ書いてみたいと思うのであります。

音楽業界が不況です。
この不況は、日本の経済が不況なのももちろん影響あるけど、かなり違う次元での不況である要素が含まれています。
みなさんはどれくらいそれを実感しているのかわからないけど、世間でよく言われているので何となく知っているとは思うけど、CDが売れていないのです。

先日、渋谷の大きなCDショップが閉店してニュースになりましたよね。その時ニュースで言っていたのが、CDの売上げが10年前の約40パーセント。さらにこの後はもっと減っていくでしょうと。
まあ、CDの売上げが10年前の半分以下なワケです。
お小遣いで言えば、1万円だったのが4千円になっちゃうようなもんですよ。
10万だった給料が4万になっちゃう様なもんでもあるわけです。
なんか,これってすごいことじゃない?
でも現実なんだよね。

しかも、そのCDに取って代わろうとしている音楽を聴く手段の配信はその売り上げの減少をリカバリーするほどの成長はしていないわけです。
それは、リッピングの著しい簡便化による貸しレコードの存在と、違法ダウンロードの影響は大きいといわれてます。

こんなことが起きているのが今の音楽業界です。
大変なんですよ俺たち。

でも、実際こういう仕事をしている自分もう7~8年前くらいからCDは買わなくなりつつあります。
iPodを使い始めたことがもちろん大きく影響しているかな。
iPodを使い始めてからというものの、自分の家のCDラックがどんどんとパソコン上にライブラリー化されていったわけです。
それはそれで,快感にもなってきたりして、ライブラリーの曲が1万、2万と増えていくのは楽しかったわけです。
そして、ライブラリーが増えるに伴って、パソコン自体も時代とともにスペックがどんどんあがりハードディスクの容量やら読み込むスピードやらがどんどん便利になっていくわけです。

そして、いづれ、自分にとって重要度の低いCDは少しづつ処分するようになっていったわけです。

特に3年前に引っ越しをした時なんかは、奥さんからの「パソコンで音楽聞いていて、CDなんか聞いていないんだから邪魔だから捨ててよ。」と、まったくもって自分の家庭は何をもって生計を立てているのかということを完全に無視した呆然とするような発言をもって一気に2000枚ほどのCDがウチの家から去っていたわけです。
でも、これって一般的な人の正直な意見だなと思って。
こうやって、デジタライズすることで明らかに家庭の収納スペースは節約されたわけだからね。
ジャケットやら歌詞カードを含めてCDと言うひとつの作品を味わうことは好きなことでもあるけど、やっぱりほんとに好きなものだけしかCDは買わなくなっちゃったな。
CDが売れなくなっていくのは時代の流れの中では自然なことなんだなと認識せざるをえないよね。
こんな便利になっちゃうと。

そういえば、iTunes Storeで買い物していたりして思うんだけど、「メジャーデビュー」っていう概念がなくなっていくんじゃないかと思ったりする。配信が主流になればもちろん「CDデビュー」ってことばさえも当然なくなるんだろうけど。
それは,なんかちょっとさびしいことだ。

iTunes Storeで買う時、買う側からすればレコード会社やレーベルという概念の存在意識は明らかに薄れている。インディーだろうがメジャーだろうが区別すること自体がナンセンスのように品揃えされリスト化されている。
ダウンロードしてメタデータ見てかろうじてレコードメーカーやレーベルを見ることができるくらいだ。

CDの時代はインディーズだけを扱っているショップすらあったし、大きなショップでもインディーズとメジャーは売り場やコーナーが分かれていたりしたし。(CDの話をすると自然と過去形になってしまうな。。。)そして、CDラックにそろえた時に自ずと背表紙のレコード会社のマークは目につくわけで。どこのレコード会社から出ているCDなのかはそれはそれで大きな意味を持っていたし、意識もあった。
しかし、ダウンロードになってくるとその意識は極端に薄くなる、それはiTunes Storeだけでなく「着うた」とかでも同じことだよね。

となると、レコード会社やレーベル、インディーズとかメジャーとかどうでもいいことになっちゃうね。
そうなると「メジャーデビュー」っていう概念自体もなくなってくるよね。

いみじくも少しなりともこの「デビュー」という言葉には、音楽を極めていこうとしている人、音楽を生業にしていこうとしている人たちの目標でもあり夢でもあり、ある種キラキラしたあこがれでもある概念であったりもする。
音楽で自己表現しようとしている人たちが、目指すものの第一段階としての行き着くポイントととしての「デビュー」という地点が失われてしまうとなると、音楽を自己表現していく人たちのモチベーションが一気にさがってしまうだろうな。

音楽を創っていこうとする人たちのモチベーションがさがれば作品力もさがるし活気もさがる、すぐれた新しい音楽は生まれにくくなり、どんどんと退屈なものに成り下がっていってしまうかもしれない。

なーんて、極論だけどね。

でもそんななかで、俺たちはこの先も素敵で魅力的で感動的な音楽を少しでも多くみんなに届けていく使命があるし、いや、むしろ使命というよりは届けていきたいという本能でもあるし。
だから、単純にいい音楽を届けるというだけでなく、すぐれた才能を持ったアーティストの目標をなくしてしまってはダメだし、音楽で自己表現したいと思っている人たちを少しでもいい環境で迎えていってあげるということを考えなくてはならないのです。

個人的には、「メジャーデビュー」とかって言葉とか概念とかはチンケなもんだなと思ってたりするとこもあってあんまり好きな言葉ではないんだけど、ただ、そういうひとつのキラキラした目標みたいなもの自体の存在は何かしら絶対にあるべきだとは強く思っているわけです。音楽をやっていこうと思う人の大きな動機や目標や夢を失なわせてしまってはダメだもんね。

漠然としているかもしれないけど、キラキラ輝いた何かを絶対に失わないようにしないといけないな、、それって何なんだろう???
なーんて日々考えているわけです。

ほんと、急速に価値観も概念も変化していく今の音楽業界であまりに沢山ある見つけられてない答えを解いていかなければならないわけです。

毎日楽しいことと苦しいことの繰り返しですよ、ほんとに。

先週、サカナクションが武道館でライブをしました。
超満員の11000人のお客さんと同じ空間と時間をを共有しました。
すごく達成感も感じたし、充実感を感じました。
そこには、キラキラした何かがあったように思いました。

LIVE is Beautiful

浅川 真次(アーティマージュ

株式会社アーティマージュ代表取締役社長。所属アーティストはLISA、m-flo、leccaなど多数!
現在、社団法人 音楽制作者連盟 理事。

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 10月1日zepp東京にて、ARTIMAGE所属のleccaのLIVEが行われた。
 彼女のLIVEはエモーショナルで、アッパーな曲ではお祭り的、そしてメロウな曲ではしっかりと、心の奥底まで響かせる。9人編成のバンド、ダンサー、そしてゲストを迎えた3時間ほどのLIVEは内容色濃く、満員のお客さんを最後まで大満足させたはずだ。
 彼女LIVEの魅力は、そのパフォーマンスは然ることながら、説得力のあるメッセージを持ったMCも武器だ。人生についてのメッセージをおしつけがましくなく、かつ力強く自分の経験も交えながら伝えていく。そして、それがその後の曲のメッセージに繋がる。さらに、たいていのアーティストのツアーでは、ある程度予定されたMCで各会場を回るものだが、彼女のMCはツアー各地で変わっていく。それぞれの曲にこめたメッセージがしっかりしているからこそ、じぶんの考え方や言葉でその都度伝えていける。正直僕自身、LIVEを見る都度「明日からもがんばろう」とパワーをもらってしまうのだ。
 そういった総合的な”生の魅力”というものがLIVEの魅力なのだと思う。

 しかし、最近のLIVEのオーディエンスに変化が生じているという。
 着ウタ系のいくつかのヒットアーティストのLIVEのお客さんの様子が今までと違うようだ。
 まず、僕らは常にCDなどで聞く完成された音源とリアルなLIVEとを差別化し、生の楽しさをエンターテインメントするべく、バンドヴァージョンにアレンジしたりするのだが、最近の若い着うた系アーティストのファンは、なるべく原音に忠実を望むらしい。
 バンドセットより、オケだしのDJセットのほうが安心するのだという。
 そりゃあ、やる側にしてみればバンドより経費面では助かりますよ。でもそれって?
 バンドがダメというのではなく、厳密に言うとイベント慣れはしててもLIVE慣れをしていないので、盛り上がり方や楽しみ方が今ひとつ解らないようなのだ。

 う〜ん、それは音楽のホントーの楽しみ方を伝えていきたい我々に取っては大問題!
 現在って、確かにネット文化やデジタルによってかなり便利な時代になったけど、変換によって漢字を忘れていくように、「盛り上がり」や「グルーヴ」、「感情移入」や「共感」など、音楽にとっての“キモ”が失われていってるとしたら恐ろしいこと。確かに我々の時代には、学生バンドの頃の友達の応援に始まり、10代でのLIVEハウスやディスコへの潜入など、だんだんと盛り上がり方を覚えていくってあったハズ。
 この状況、何か変えていく方法を施していかないと、それこそヴァーチャルライブみたいな事になってしまわないかと、心配してしまう今日この頃でした。

僕がtwitterをはじめた理由

山口哲一(バグ・コーポレーション

株式会社バグ・コーポレーション代表取締役。所属アーティストはSION、Sweet Vacationなど多数!
現在、社団法人 音楽制作者連盟 理事。
Twitterはコチラ!→http://twitter.com/yamabug
 
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 twitterの存在を知ったのは、3年位前だったと思うけど、その時はぴんとこなくて、そのままにしてました。昨年、オバマ大統領がtwitterを活用して選挙に勝ったという噂と共に、日本でも流行りはじめた時に、登録してみました。ITのリテラシーが高い人が中心になっていたせいもあって、様々な情報の伝達の速さ、即時性に驚かされました。アーティストのプロモーションにも有効だと思い、早速、ネットPRに力をいれていたSweet Vacationというアーティストで、公式アカウントをつくりました。ユーザーと双方向かつダイレクトにつながっていけることは、ライブに近い親近感を醸造できることに気づきます。日本のアーティストとしては初めてだったようですが、ライブイベント時に客席の壁一面にtwitterの画面を表示して、無線LANも開放し、メンバー、スタッフ、観客、会場の外にいるファンが参加できる形にしました。「時間の共有」というまさに、リアルタイムウエブの醍醐味を実感しました。実際に現場で体験して、おおげさに言うと、これまで人類がした事の無いことだなと思いました。
 但、自分自身は匿名アカウントで、やりとりを見ているだけにしてました。自分の性格もありますが、職業的な習慣でした。ファンには公開できないアーティストの秘密や、メディアの裏側に触れますし、何より、マネージメントは裏方で、直接、ファンとは接してはいけないという意識が強いです。これまで、blogやメールマガジンなど、インターネット上で発言をしたことは一度もありませんでした。mixiも匿名アカウントで見るだけですし、「にちゃんねる」に書き込んだこともありません。Websiteというのは、ファンの反応を見るために覗きにいくだけのものでした。
 ですから、今年の1月に本名も会社名もさらして、twitterを始めたのは、個人的には一大決心でした。「今の時代に情報発信しないのは、仕事上、損すぎるので、仕方ない」と思ったのが理由です。個人個人がメディア化し、情報のハブとなっている時代に、自分自身も情報を媒介、増幅しない訳にはいかないなと。それから、ネット上で語られている音楽ビジネスに関する言説に、いい加減なものが多かったのも、もう一つの理由です。著作権のルールや運用、ベースになっている考え方、ビジネスのスキームや関係性を理解していない発言は、正していきたいと思いました。その為には、自分の本名や背景を明らかにしないと説得力がありません。抵抗感はあったのですが、それ以上に「やらないマイナス」が大きすぎました。
 そんな気持ちで始めたのですが、やってみたら、正直、ハマりました。Twitterを自分にとっての「社会の窓」にするのは、予想以上に便利です。適切なアカウントを選んでフォローしていけば、リアルタイムに情報が入ってきます。時には間違ったものもありますが、ネットにアクセスしていれば、真偽を確かめるのに時間はかかりません。(実際、自宅で日経新聞をとっているのが馬鹿馬鹿しくなってやめてしまいました。1年分の購読料でiPadが買えてしまいます。)
 この10ヶ月で、フォローアーは770人になりました。その9割は会ったこともない知らない人達です。アーティストのファンも居ますので、いい加減なことはつぶやけませんし、音制連の理事をやっていると機密性の高いミーティングもあるので、つぶやき内容には気をつけないといけませんが、自分の生活の中にtwitterが自然な存在になりました。(時々、酔っ払って、脱線することがあり、気をつけようと思っています。ご迷惑をお掛けした方、ごめんなさい!)音楽業界でも、理事長の大石さんや、野村さんなど、熱心な方はいらして、お互いの近況はtwitterでチェックしていたりします。しばらく会わなくても何をされているかわかりますね。また、会ったことが無い人でも、つぶやきを見ているうちに、その人の関心範囲、識見などがわかってきて、興味を持ってチェックする人が現れます。この種のことは、この人のtwitterをチェックだなみたいに思うようになります。人の性格がでやすいメディアですね。一方で、フォローやリムーブは自由にやる慣習になっているなど、たとえば、mixiのマイミクよりも、ウエットではなくて、私には合っていたようです。

 このようにネット上につくられていく人間関係を、最近は「ソーシャルグラフ」と呼ぶそうです。ネット上のメディア価値も、ページビューから検索上位になること(SEO)と変化して、今では、このソーシャルをどうやってイーコマースに繋ぐかが課題になっています。アーティストや楽曲をユーザーに知らせ、関係を深めて行くという私の仕事は、ネットビジネスの課題と重なる部分も多いです。音楽ビジネスにネット上のコミュニケーションをどう活かすのか実践的に研究していきたいと思っています。

 音制連が発行するフリーペーパー「音楽主義」11月号の特集で、音楽プロダクションにとってのITを取り上げます。7月の同種のセミナーの企画をした流れでこの特集にも関わることになりました。日本での事業展開が本格化するUSTREAMの最新情報や、twitterのアーティスト活用の事例集。スマートフォンの展望などに加え、セミナーでは取り上げられなかった、巨大コミュニティニコニコ生放送もキーパーソンのインタビューと共に紹介したいと思っています。ご期待ください。

FUJI ROCK FESTIVAL SILENT BREEZE

安藤広一(スピードスターミュージック

元THE ROOSTERZでキーボードを担当。
スピードスターミュージック代表。所属アーティストは、浜崎貴司、つじあやのなど多数!
現在、社団法人 音楽制作者連盟 理事。
 
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標高1346米、かの苗場スキー場から直線距離で5000米以上を離れる田代スキー場。

夏の三日間、この田代の山頂はフジロック会場内、最深にして最も高い所に位置するステージと化す。
そのステージの名前はサイレントブリーズ、そのステージには仮設の舞台、電気的照明、音響システムは無い。そこにあるのは、緑が広がる高原の広場と吹き抜ける爽やかな風、そして鳥のさえずりだ。
トラ、ライオン、アライグマ、カラスにカッパ、パンダ、モグラなど、動物達が手を振り来場者と遊ぶ。体操兄さん(弟)と一緒にラジオ体操第一、だるまさんが転んだや大縄跳びに、来場した多くの観客達が参加して大騒ぎ。そしてまるでアルプスの高原を思わせる広場にはハイジが駆け回り、サウンドオブミュージックからはマリアが登場しドレミの歌をみんなと歌うのだ。
歌のお兄さんもギターを弾きながらやって来る。翼をください、ビューティフルサンデーも大合唱、観るからに怪しい三人組の男達は、言葉巧みに観客を巻き込み、笑いの渦が沸き起こる。歌うパンダは人間臭くも、プレスリーへと華麗に変身する。また時間をかえるとこの広場には紙芝居のおじさんもやってくる。みんな駄菓子片手に屁っこき嫁を楽しむのだ。

2000年冬シーズン。苗場と遠く離れた田代を結ぶ、世界最長のロープウェイ、ドラゴンドラは開通した。
初めてゴンドラに乗り、ここへやってきたフジロックのオーガナイザーHさんは移動中の景観と、たどり着いた山頂の景色に驚いた。
当時50歳を迎える頃の彼は閃いた。
この原っぱで紙芝居やったら最高だろうなと。

この時点で20年近くお付き合いさせていただいていた僕に、いろいろあって、声が向けられた。

紙芝居、お前がやれ!

20年のお付き合いは絶対だった。
紙芝居をやることになった僕は2001年5月、山道を使い、苗場のふもとから2時間、車に揺られて山頂にたどり着いた。

ああ、Hさん、あなたの気持ちがよくわかった。

東京に戻った僕は未知の世界、紙芝居の準備にはまってゆくのだった。
この初年度2001年、紙芝居を観に来てくれたお客さんは108人だった。フジロック全体の来場者数は9万人だった。

頑張ろう、とにかくこの山頂の環境を存分に活かした、ここでしかできない、ここだけの面白い事を徹底してやってみよう。

あれから10年たった。

今年サイレントブリーズには三日間で、1万5百人の人が来てくれた。
フジロック全体では11万人の動員だ。

だいぶ、認知もされてきたようだ。

来年の事を考えている僕がすでにいる。

どうしよう、こうしよう、うーん。

サイレントブリーズの一番のファンは多分僕だ。