The Cheserasera 宍戸 翼 特別対談「歌い手、冥利につき」 第三回 海北大輔 (LOST IN TIME)

The Cheserasera 宍戸 翼 特別対談「歌い手、冥利につき」 第三回 海北大輔 (LOST IN TIME)

The Cheserasera 宍戸 翼が敬愛するバンドマンの先輩たちに直接会いにいき、音楽について、歌について、言葉について真摯に語り合う特別対談企画「歌い手、冥利につき」。第三回はLOST IN TIMEの海北大輔さんに登場いただきました。

取材・文=柴 那典

海北さん

LOST IN TIMEとの出会いは、「列車」という曲からでした。流れる景色と一緒に爆発する後悔で終わらない焦燥感は、僕が音楽に求めている物そのものでした。LOST IN TIMEは絶対的な無常に立ち向かう勇気をくれます。いつかのミナミホイールで、出待ちのような形でお会いできた時、その次の夜僕は関東で、海北さんは京都でライブでした。その時握手をしてお互いいい夜にしましょうと言って頂けた事を、今でも思い出します。

海北さんは弾き語りツアーもやっていますが、旅中の過ごし方や、心の動かし方についても、是非お伺いしたいです。

宍戸 翼 (The Cheserasera)


僕は20代の頃、とにかく人が嫌いだった(海北)


ーーまずは、何故宍戸さんがLOST IN TIMEを好きになったのかを語っていただければ。

宍戸:はい。僕が最初にLOST IN TIMEに出会ったのが“列車”っていう曲で。大学に入った後に友達が教えてくれたんですけど。それをいきなりコピーしたんですよ。

海北:へえ!

宍戸:あの曲のサビの爆発する感じというか。言っちゃいけないことを言う感じがすごく好きで。とにかくもう「これだ!」っていう感じがあったんです。そこからアルバムをいろいろ聴いて、いろんなことを感じてきて。

海北:ありがとうございます! ありがとうとしか言いようがないよ、もう。

宍戸:いえいえ(笑)。

海北:歳もそんなに変わらないのかな?

宍戸:僕は89年生まれです。

海北:そっか。そんなに違うのか。

ーー海北さんは?

海北:僕は80年生まれなんです。“列車”っていう曲は2003年、僕が23歳の時にリリースした曲で。

ーーその曲を作った時は、どんなことを思っていました?

海北:僕は20代の頃、とにかく人が嫌いだったんです。自分のことも含めて。精神的に参ってた時期が長かったっていうのもあるんですけど。2002〜3年は「青春パンク」ってムーブメントがあって。僕らの仲の良いバンドもそこに括られて。気付いたら踊らされちゃってるような現状も見てたんです。あの頃に出たイベントの中には、ホントに「この人たち嫌いだなぁ」っていう人たちが、必ず1〜2組はいて。

宍戸:あははは(笑)。

海北:楽屋では、挨拶も早々に「初めまして」の代わりに「LOST IN TIMEって何枚売れてるの?」みたいなことを言ってくるミュージシャンがホントにいて。「もう死ねばいいのにな」って(笑)。

ーーそんなバンドがいたんだ。

The Cheserasera 宍戸 翼 特別対談「歌い手、冥利につき」 第三回 海北大輔 (LOST IN TIME)

海北:でもそういうヤツらに限って「僕らは絶対に今日という日を忘れない!」みたいなことをMCで言ってるワケですよ。それにすごいイライラして。それで僕は“約束”っていう曲で《忘れてしまうんだよ》って書いて。「いつまでも子供のまんまでいるんだ!」っていうようなMCとかも流行ってたから“一つだけ”っていう曲で《僕は大人になっていた》って書いて。みんなが「今がよければいいんだ!」って言うから“列車”で《あの頃はよかったなんて言いたくはなかったのにな》って書いて。全部そういうシーンとかに対するアンチの気持ちで書いてたんです。で、青春っていうか「青」っていう字に群がってんじゃねえよって思って『群青』っていうタイトルを付けて、3曲入りのEPとしてリリースしたんです。

宍戸:へええ!

ーーなるほど。その時期はかなり尖ってたんですね。

海北:尖ってました。反抗精神というか「周りと一緒にするな」って思ってたというか。僕はパンクロックがとにかく大好きだったし、パンクって姿勢だと思うんですよ。当時はパンクを名乗っていても全然姿勢としてパンクじゃねえじゃん、って連中が、俺の大好きなパンクロックを鳴らしてた俺の友達や仲間と一緒にされているのにとにかく腹が立っていて。で、僕自身はそういう風潮に対してどうやったらパンクであれるかを考えた結果、歌をしっかり歌うみたいなところに活路を見出していった。そういう気持ちであの頃の曲は作っていたりもしました。


好きな人たちが繋がっているということに気付いた(宍戸)


ーー宍戸さんもそういう感覚を当時のLOST IN TIMEの曲から感じていたりしてました?

宍戸:僕はどっちかといえば今、リアルタイムでそういう所にいると思います。俯瞰的な見方はできてないと思うんですけど、周りが言うことに対する反発っていうのは、すごく共感する部分ですね。確かに同じシーンのヤツらがMCで言ってることに、僕もわだかまりを持っているかもしれない。そういうものに苛立ったりして歌詞を書いてる可能性はすごく高いですね。

海北:俺も今になると大人げないことで喧嘩もしたなあ、とか、どっちも一緒じゃんみたいに思ったりはするけど。でも、それって今の視点でしかないもんね。歳を取って見えてくるものもあるけど、そこで何が見えるかは若い頃にどんな思いでやってたかで変わってくると思う。

宍戸:はい。

海北: 20代の頃は一つ一つの頃に立ち止まって向き合ってた気がするしね。それこそホントに、岩崎 慧(セカイイチ)も小高くん(小高芳太朗:LUNKHEAD)も23、4からの付き合いがあって。それぞれに辿ってきた足跡があって、それがなかったら今の彼らもないし、俺もいないし。だからね、昔から仲間意識みたいなものはあったけど、それは単純な仲良しこよしってことではなくてさ。特に小高くんに関しては俺、歳も同じだし誕生日も近くて。一緒にライヴをした時に、すげえいいライヴを見せつけられて悔しい気持ちになって「チクショー!」って言いながら一緒に酒を飲むっていうことがあって。で、後々で聞いたら、向こうもそういう気分になってたって話も聞いたりして。そういう間柄でいられる人がいてくれたのは、すごくラッキーだったと思う。

ーーその辺、どうですか宍戸さん。小高さんも慧さんも対談してきたわけですけど。

海北:ね、そうだよね。

宍戸:はい。僕自身ランダムに好きなものを選んで聴いていたつもりだったんですけど、好きな人たちが繋がっているということにこの対談をやることによって気付いたっていうのはありますね。

ーー確かに、高校生の自分が「この人とこの人が仲良いからこのCDを買おう」とか思わないもんね。

海北:ないよね。

宍戸:そうですね。だから、感覚というか時代の持つ空気というか、センスとか……トータルに共感したんだと思います。

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LOST IN TIME

LOST IN TIME

2001年1月、海北大輔(Vo,B)と大岡源一郎(Dr)を中心にバンド結成。2002年6月に初のアルバム「冬空と君の手」を発表し、同年9月に榎本聖貴(G)が正式加入する。その後「きのうのこと」「時計」といったアルバムをリリースし着実に評価を高めていく。2006年7月に榎本が突然のバンド脱退を表明。その後も海北・大岡の2人でバンドを継続し、CDのリリースやライブを重ねる。現在はギタリストに三井律郎(THE YOUTH)を迎えた3人編成で活動を行っている。

< RELEASE INFORMATION >
9thアルバム『DOORS』

2015年6月3日(水)発売
UKDZ-0162 / 2,400円(+税)
[ 収録楽曲 ]
01. 366
02. Synthese
03. 燈る街
04. No caster
05. 小さな隣人
06. ligarse
07. 予知夢
08. 22世紀
09. 呼ぶ
10. hurry
11. home
12. 明け星

< TOUR INFORMATION >
GOIND UNDER GROUND x LOST IN TIME「武蔵野コーリング」
4月11日(土) 新潟 GOLDEN PIGS BLACK
4月12日(日) 盛岡 tha five morioka
4月17日(金) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
4月18日(土) 京都 MUSE

オフィシャルサイト



The Cheserasera
The Cheserasera

2009年、東京にて前身バンドを結成。2010年02月26日、渋谷屋根裏との共同レコ発企画を開催。1st demo『夜も消えない』をリリース。同年11月21日、初自主企画『曇天ケセラセラ』を開催。バンド名を「The Cheserasera」に改名。2011年04月15日、渋谷屋根裏にて、レコ発自主企画を開催。2nd demo『empty,empty,dream』をリリース。同年12月、rockin'on presents『RO69JACK COUNTDOWN JAPAN 11/12』の入賞アーティスト16組に選出。2012年05月03日、渋谷屋根裏にて、レコ発自主企画を開催。3rd demo『さよなら光』をリリース。2013年03月22日、下北沢SHELTERにて、初のワンマンライブを開催。チケットソールドアウト。2013年10月09日、タワーレコード限定1st Single『Drape』をリリース。2014年01月08日、初の全国流通盤となる1st Mini Album『The Cheserasera』をリリース。

< RELEASE INFORMATION >
1st FULL ALBUM
『WHATEVER WILL BE,WILL BE』


2015年1月14日(水)発売
CRCP-40390 / 2,880円(税込)
[ 収録楽曲 ]
01. FLOWER
02. 東京タワー
03. さよなら光
04. 白雪
05. Yellow
06. BLUE
07. whatever will be,will be
08. カゲロウ
09. N0.8
10. 消えないロンリー
11. コーヒー


< TOUR INFORMATION >
The Cheserasera TOUR〜WHATEVER WILL BE, WILL BE〜
4月12日(日) 大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
4月14日(火) 広島CAVE-BE
4月16日(木) 福岡LIVE HOUSE Queblick
4月28日(火) 札幌COLONY
5月06日(水) 仙台PARK SQUARE
5月08日(金) 東京shibuya WWW ※ツアーファイナル・ワンマン

オフィシャルサイト

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