<インタヴュー> UQiYO 僕らは「体験」の部分をとても大事にしています ――ブラックボックスの中に込められた、とても大切な音楽


酒井景都さんは不思議の国のアリスのイメージ


ーー「Lost in Wonderland feat. 酒井景都」は8分を超える長尺のナンバーですが、これはどういう風に作っていったんでしょう? 酒井景都の透明感ある歌声はUQiYOの世界観にぴったり合っていると思いますが。

Yuqi:1903年に映画がまだ活動写真と呼ばれていた頃、それは殆どがドキュメンタリーや記録映像だったそうです。そんな中、「フィクション」を世界で初めて映像化した映画の中の一つだったと言われている不思議の国のアリスの映像があって。この映画はもちろん無声映画だったので、音は当時その場で生演奏されていたことになります。そこで、この映画に改めてUQiYOとして解釈した音楽を付けて観たらきっと新鮮で楽しい体験が出来るんじゃないかということをやってみました。これは去年の秋に行われたイベントのために試みた企画で、酒井景都さんは不思議の国のアリスのイメージに本当にピッタリとハマって、声もとっても素敵だし、僕の声とストレートにハマっている気がして、とてもとても気持ちよく出来たと思います。

ーー「Saturn」では「Studio Live at Atelier Hajikami」というYouTubeも公開されています。すごく素敵な空間ですが、このスタジオライヴはどんな経緯で実現したんでしょうか?

このハジカミさんは、様々なCMや映像の舞台美術や、レストランなどの内装を手がけているセンスの固まりの集団なのですが、僕らが初めてUQiYOとしてPVを撮らせていただいた、At the Starcampの時に全ての舞台美術を担当していただいたところからのお付き合いです。毎回本当に膝がガタガタ震えるぐらいの衝撃的な美術を作って頂いていて、お世話になりっぱなしの谷脇兄弟に、会社のアトリエを使わせていただけないかと打診してみたところ、とても快く承諾していただき、しかも何から何までPV用にセットしたり協力していただいて、実現しました。あの二人にはいつか、車を買って差し上げたいぐらいの感謝です。


人生はバランスで、なんとか人は生きていく


ーー「Blue Blur Beach」には、アーケイド・ファイアなどにも通じるポップな祝祭感も感じます。この曲はどんなインスピレーションから?

アルバムの中でこの曲は少し異彩を放っていると僕は思っていて、結果として一番ロックになりました。元々作りたかったものは、混沌とディープと骨太なビート感でどこまで表現出来るか。ある架空の数学者の恋物語を描いた曲なのですが、πという数字の混沌と、宇宙と、そしてこの世の女性という存在という混沌を上手く表現できたのかなって思っています。

ーー「Saturn」や「Juvenile Dreams」など、アルバムの楽曲からは「孤独」のストーリーが多く感じ取れます。他の曲でも、何かが消えていくことや、失われていくことのメランコリアやセンチメンタリズムを描いたものが多いと思いますが、これはどういう象徴なのでしょうか?

去年一年、僕の身の回りで、親しい人が何人も病気で倒れたり、交通事故で亡くなったりしてしまって…。さらに自分も、無理をしていたのもありますが、大きな病気を2、3回してしまって。そんな中、生まれたての小さな娘を育てているという究極にポジティブな経験もあり。

もしかしたら、そういう年齢なのかもしれないけど。そういうことから、自ずと生まれて来た思いだと思います。きっと、人生はバランスで、すっごく幸せなことの後は大体すっごく辛いし、その反対もきっとあって。だから、なんとか人は生きていくんだろうなって思います。

ーーアルバムは『Black Box』ですが、その「箱」の中にはどんなものが入っていると思いますか?

大切なものですね。


本当に良い大切なものを丁寧に作ったらこんな値段になっちゃった


ーー今回の『Black Box』には15個限定のスペシャル版があったりと、音楽の届け方もかなり独創的な形となっていると思います。このあたりのコンセプトはどのように考えたのでしょうか?

『BLACK BOX』のコンセプトは先程お話したとおりです。そして、僕らは音楽を皆さんに届ける上で、「体験」の部分をとても大事にしています。それは、インスタレーションアートの表現とも通じるところがあるのかもしれません。音楽というコアのクオリティはもちろん大切ですが、感じ取ってもらう皆に対して、あるレベルでの責任を負うことが、これからは実は一番大事だと思っています。サブスクリプションや有料配信や、CD等、色々なかたちで音楽が届けられますが、僕らの方でも「こんな素敵なもの作りました」というオプションがあるというのは単純に楽しいと思うんです。

今回は、少し尖った企画になっていて、値段が21,000円という設定なのですが、本当にほぼ原価の値段です。「本当に良い大切なものを丁寧に作ったらこんな値段になっちゃった。」というのが真実です。実際に手にとってもらえたら確実にわかると思うのですが、絶対に数千円では作れない丁寧に丁寧に作られた、感動の黒い箱とその内容物です。

別に硬いことは言うつもりはなく、お金があったら、面白半分でも買っていただきたいし、儀式をするかの様に正座して開けてもらっても、いずれにせよ、この世界で他には無い体験が出来るものになっていることは断言できます。今までも色々挑戦してきましたが、こういうことを、細やかながら、今後も続けていきたいし、そういうことでUQiYOというバンドが知られたら本望なのかなとも思っています。

ーー4月には、名古屋の「K・Dハポン」、大阪「細野ビルヂング」、東京「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」でのツアーが行われます。ライヴハウス以外でも意欲的にライヴを行ってきたUQiYOですが、今回のツアーはどんな試みになっていますか?

今回は深い音像をより意識したアルバムなので、単純な出音の迫力よりも、雰囲気をより大切にしたいと考えました。なので、場所の持つパワーが際立っている場所をなるべく選んでいます。年内にはまた全く違う趣向のアルバムを出す予定で、その時にはまた箱も全く違う趣向で選んで行きたいと思っています。

ーーちなみに、今後ライヴをやってみたい場所や、コラボしてみたい音楽以外のカルチャーは、どんなものがありますか?

場所とかカルチャーについては、そこに行って、またはその人に会って、心臓がドキドキしたり、身体の中がジーンと暖かくなったりすれば、なんでも良いし、どこでもやりたいと思います。でも、順番的には、「何がしたい」から始まってそのために良い場所やカルチャーとコラボレーションできるのが、一番見て頂くお客さんにとって大きな衝撃波を起こせると思うので。まだ今はなんとも言えません。すみません。

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UQiYO

日常を、心地よい非日常-浮世-にいざなう音楽ユニット。2010年より活動開始。2013年アルバム『UQiYO』を発表。 2010年より活動。'13年アルバム『UQiYO』を発表。評判が口コミで広がり、1年後に異例の全国流通。全国レコードショップで相次いで「Album of the Month」を獲得。常に新しい試みを行う姿勢と作風は、国内外で活躍するクリエイターから注目され、様々な共創を形にする。 LIVEはライブハウス以外にも映画館、コワーキングスペース、図書館、寺などで行い、新しい音楽体験を提供している。2015年アルバム『TWiLiGHT』を発表。


オフィシャルサイト


MINI ALBUM『BLACK BOX』



2016年1月20日(水)発売
FO-1002 / 1,667円+税
[ 収録楽曲 ]
1. Saturn
2. Ship’s feat.元ちとせ 
3. Lost in Wonderland feat.酒井景都
4. Blue Blur Beach
5. Aero
6. Juvenile Dreams
7. Blood Fest at Tiffany’s
8. 1 -plumule-


『Black Box』特別版
公式Web Store & Live会場限定販売
価格:21,000円
初回限定15セット(予定)
1月19日正午より随時メールにて予約開始(先着順)


< LIVE INFORMATION >
インストアライヴ
2月12日(金) 19:00
HMV&BOOKS TOKYO 7Fイベントスペース

3月13日(日) 21:00
TOWER RECORDS新宿店 7Fイベントスペース

「2016 Tour OTOGi vol.1」

4月16日(土) 名古屋 K・Dハポン
4月17日(日) 大阪 細野ビルヂング
4月23(土)・24日(日) 東京 Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE


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