<インタヴュー> UQiYO 僕らは「体験」の部分をとても大事にしています ――ブラックボックスの中に込められた、とても大切な音楽

<インタヴュー> UQiYO 僕らは「体験」の部分をとても大事にしています ――ブラックボックスの中に込められた、とても大切な音楽

気鋭の音楽ユニット、UQiYOがミニ・アルバム『Black Box』をリリースした。

新作は、彼らならではの浮遊感あるエレクトロニックなサウンドと深い歌心が融合した一枚。元ちとせや酒井景都といった女性ボーカルをゲストに迎え、どこにもないタイプの音楽に仕上がっている。

今作からYuqi、Phantao、Simaの3人編成となった彼ら。21,000円という価格のスペシャルな特別版を販売したり、ライヴハウス以外の場所を選びツアーを行ったりと、音楽の届け方にもユニークな発想を持っている。今回はYuqiへのメールインタヴューで、新作の背景を聞いた。

取材・文=柴 那典


得体のしれないBlack Boxで溢れかえった世界が今


ーーこの作品を作り始めるスタート地点はどういうところにありましたか?

Yuqi:実は去年の夏ごろ、全く違う趣向のアルバムを作っていて、それをまるごとボツにしました。そして、そのおかげで、今やりたいこと、というよりやらなきゃいけないことをはっきりさせることが出来ました。とにかく、全ての音を深く、豊かに。でも音像は明るくなく、ディープに。でも踊れるもの。トレンドに敏感でオシャレでしゃべりの上手な男性だけがセクシーなのではなく、真面目で職人で家族思いな男性もすっごくセクシーだよねっていう時代だと思っていて。そういうことだと思います(笑)。

ーーアルバムは「黒い箱」というタイトルですが、これは何を象徴している言葉なのでしょうか? どんなコンセプトが込められているんでしょう?

『Black Box』って、Wikipediaで引いてみたんですけど、「内部の動作原理や構造を理解していなくても、利用する事のできる装置や機構の概念」と書いてあったんですよ。続いて「この世の殆どはブラックボックスだと言える」みたいなこと書いてあって、ガツンときたんですね。今ってそういう時代だなって。僕らの親世代とかは、産まれた時はあまり揃ってなくて、段々色んな物が発明されて便利になっていく過程を見てきた。でも、僕ら世代や、これから生まれてくる世代なんて、もう産まれた時から不思議で便利なもので溢れてて。

でも、少し根源的な話すると、無人島で一人だけ取り残されたら、生きるために全部一人でやるわけですよね。それが、もし10人とかだったら、きっと色々役割分担ができてくるわけで、日本は今1億何千万人が取り残された無人島なんですが。こうなってくると、役割分担が複雑になりすぎて、自分が生きるために何をしているのか、実感が生まれにくいんだと思うんです。便利で良いこともたくさんあるけど、そのための弊害もたくさんあるんだと思うんです。

そんな、得体のしれないBlack Boxで溢れかえった世界が今で、それを表しているのがこの黒い箱というタイトルです。

そして、僕が一番言いたかったのは、そんな世界の中でも、ちょっとでも自分がちゃんと中身をわかって、いいものだってプライドをもって使う選択をするという美徳がもっとあってもいいんじゃないかな、ということを考えていたんです。そういう考えをちょっと持つだけで、生きている実感が色々なところから湧いてくる気がしたんです。


時間や自我や死というような概念を意識することがとても多かった


ーーリード曲の「Ship’s feat.元ちとせ」は、特に、UQiYOにとっても今までになかったタイプの歌になっていると思います。元ちとせさんとのコラボはやってみていかがでした?

ちとせさんは、僕が大学生ぐらいのころにデビューして、ワダツミの木を聴いた瞬間の衝撃は今でも忘れません。すっごく生意気なのですが、周りの友達に「ついにグラミー取れる日本人歌手出てきたぞー!」とか言っていました(笑)。そんな憧れの人が、スタジオに入ってきて、どもーって挨拶してくれて、僕の歌を歌ってくれた時の「死にそうな緊張」は今まで味わったことのないものでした。

音の話でいうと、個性の固まりのような声でいらっしゃるので、それを想定してメロディーを作りましたが、歌ってもらうまでちゃんとハマるか、あとは、どちらかがどちらかを殺してしまわないかとか心配でした。が、自画自賛で申し訳ありませんが、ものすごく良くハマって、本当にカッコイイ曲になったとホクホクしています。

ーーこの曲ではYuqiさんの歌う無機質なメロディーと元ちとせさんの奄美島唄を思わせるこぶしの効いた歌い回しの取り合わせが絶妙なマッチングになっていると思います。「船」と「時間」というモチーフを持つこの曲はどういうイメージから作っていったんでしょうか?

去年は実は色々とあって、時間や自我や死というような概念を意識することがとても多くて、そんな中、時間の捉え方というものを、水面を船が進んでいくものを俯瞰で見ている状態に例えてみたんです。船が速いスピードで進むと、水面には綺麗な放物線が二本広がっていって、それはすっきりした情景になると思います。そして、船がゆっくり進むと、細かい波や波紋ができて、複雑な水面情景になると思います。この複雑なディテールを覚えていればいるほど人は時間がゆっくり進んでいるように感じるのではないかなという感じです。そして、時間の中での自我も意識しました。「今の自分」は「過去の自分」と全く違っていて、連続ですらないのかも知れないとしたら、自分というものは何をもって意識すればいいんだろう?みたいなことを考えて書きました。

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UQiYO

日常を、心地よい非日常-浮世-にいざなう音楽ユニット。2010年より活動開始。2013年アルバム『UQiYO』を発表。 2010年より活動。'13年アルバム『UQiYO』を発表。評判が口コミで広がり、1年後に異例の全国流通。全国レコードショップで相次いで「Album of the Month」を獲得。常に新しい試みを行う姿勢と作風は、国内外で活躍するクリエイターから注目され、様々な共創を形にする。 LIVEはライブハウス以外にも映画館、コワーキングスペース、図書館、寺などで行い、新しい音楽体験を提供している。2015年アルバム『TWiLiGHT』を発表。


オフィシャルサイト


MINI ALBUM『BLACK BOX』



2016年1月20日(水)発売
FO-1002 / 1,667円+税
[ 収録楽曲 ]
1. Saturn
2. Ship’s feat.元ちとせ 
3. Lost in Wonderland feat.酒井景都
4. Blue Blur Beach
5. Aero
6. Juvenile Dreams
7. Blood Fest at Tiffany’s
8. 1 -plumule-


『Black Box』特別版
公式Web Store & Live会場限定販売
価格:21,000円
初回限定15セット(予定)
1月19日正午より随時メールにて予約開始(先着順)


< LIVE INFORMATION >
インストアライヴ
2月12日(金) 19:00
HMV&BOOKS TOKYO 7Fイベントスペース

3月13日(日) 21:00
TOWER RECORDS新宿店 7Fイベントスペース

「2016 Tour OTOGi vol.1」

4月16日(土) 名古屋 K・Dハポン
4月17日(日) 大阪 細野ビルヂング
4月23(土)・24日(日) 東京 Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE


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