<特別対談> tofubeats × tomad 二人が語りあうそれぞれの10年、そして音楽の未来

<特別対談> tofubeats × tomad 二人が語りあうそれぞれの10年、そして音楽の未来

2ndアルバム『POSITIVE』をリリースしたtofubeats。そして主宰するネットレーベル〈Maltine Records〉の10周年を記念して自ら監修した書籍『Maltine Book』を刊行したtomad。様々なところで語られているように、二人の間には長い交流関係がある。

インターネットを介して二人が出会ったのは、お互いが高校生だったころ。tofubeatsはdj newtownという名義で〈Maltine Records〉からのリリースを重ね、レーベルの主催イベント「lost decade」も、tofubeats、tomad、DJ WILDPARTY、okadadaという4人のメンバーで続いてきた。

00年代から10年代、インターネットと音楽産業を巡る環境が大きく変わってきた時代を経てきた二人に、お互いの作品やスタンスについて、そして音楽の未来とそれぞれのビジョンについて、語り合ってもらった。

取材・文=柴 那典


人生がコンテンツになっている


Maltine Records 2005 - 2015 10th Anniversary Issue

ーー今回の対談は、まずそれぞれの最新のアウトプットについて語り合ってもらうところから始めたいと思います。まずtomadさんはMaltine Recordsの10周年を経て、イベント「天」をやり、『Maltine Book』という本も編集した。どういう風にその一連の仕事を振り返っていますか?

tomad:大変でしたね。特に本を作ってる間は思い出す作業が多かったんで、それをやり続けるのも辛いというのもあって。本の中に僕が好きな曲をまとめた270曲のレビューがあるんですけど、それを書いているときは、当時のtofubeatsのブログとか掘り返して読んだりしていてーー。

tofubeats:そんなんしてたんですか(笑)。

tomad:いつもは新譜ばっかり追ってるんですけれど、本を書いてる時はブログを見て「こんな曲あったな」って、ずっと過去と対峙していた。だから、今は逆に新しいことをしたい感じになってますね。

ーーtofubeatsさんはこの本を読んで、どうでした?

tofubeats:面白かったですよ。あと思ったのは、僕はこういうことを実は毎年やってるんですね。新しい曲を作るために自分の昔の曲も聴くし、毎回アルバムをリリースするごとに自分の過去を区切っているようなところがあって。でも、社長(=tomad)は10年で初めて過去を区切ったことになるんで、それを見て「量になるな」と思った(笑)。

ーーなるほど。一方は本で一方はアルバムですけれど、過去を区切るという意味では似た構造を持っている。

tofubeats:僕はいわば区切り好きなんですよ。でも社長はイベントで区切ることはあっても、コンテンツを振り返ることはなかったから。

tomad:でも、tofubeatsは一応自分が作ったものをまとめてるわけだから。

tofubeats:そうそう、そこは違いますよね。『Maltine Book』に関しては、過去にマルチネから出た作品それぞれについては言及を避けてるから。むしろ社長の10年の区切りみたいな感じがある。

tomad:だから、重いというか(笑)。考えることが多かった。

tofubeats:そりゃしんどいやろなって。でも、人のしんどいやつって面白いですからね。人生がコンテンツになっている。

tomad:力はこもってると思います。


「マルチネを続ける気があるんだ」と思った


ーー『Maltine Book』は、単にレーベルの成り立ちや歴史をまとめたような本ではないですよね。もっとカオティックなものになっている。そういうものにしたいという意図は最初からあったんですか?

tomad (Maltine Records)

tomad:シンプルな起承転結があってストーリーが見えるような本にはしたくなかったですね。例えば僕が全部エッセイみたいにマルチネについて書くこともできたはずなんですよ。でも、そういうのより、もっと雑誌的な目線で、いろんな要素を組み込みながらマルチネ像がだんだん分かっていくみたいな作りにしたかった。

tofubeats:それこそ、『マルチネレコード10年史』みたいに、新書っぽく書いたら終わりですよね(笑)。

tomad:そっちの方が売れたかもしれないけど。

tofubeats:でも、体系化されすぎちゃう。

ーー全部読んでも掴みきれないところが残っているのが大事だ、と。

tomad:そうですね。隙間がある感じにはしたかったです。

tofubeats:あと、マルチネを続ける気があるんだと思いました、これを読んで。

ーーそのあたりはどうなんでしょう?

tomad:続ける気はありますね。

tofubeats:僕ら、社長の考えていることがわかんないんですよ。だから、「天」(Maltine Records 10周年記念イベント)をやった時にも、ひょっとしたら「終了ー!」とか言うんじゃないかなって、ちょっとドキドキしてた。でも、これを読んで「あ、絶対マルチネを続ける気あるわ」って思いました。

tomad:本を作りながら続けていこうという気持ちが大きくなったのは事実です。

tofubeats:でも悩んでた時期はありましたよね?

tomad:「東京」(2014年に開催されたMaltine Records主催のイベント)が終わったあとぐらいに、「あんまもうマルチネでやることないんじゃないか」みたいに悩んでいた時期とかもあったんですけども、そんなことはなかった。先のことばっかり考えちゃう癖があるんですけれど、今までやってきた積み重ねを振り返ると、結構まだやることはあるなって感じです。

tofubeats:「5年後くらいに評価される」って言ってましたもんね。

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tofubeats
tofubeats

1990年生まれ、神戸市で活動を続けるトラックメイカー/DJ。
学生時代からインターネットで活動を行い、YUKI、ももいろクローバー、Flo Rida、Para One等、ジャンルを問わず様々なアーティストのリミックスを手掛ける。プロデューサーとしてもlyrical school、9nine、Negicco、でんぱ組inc.といったアイドルやアーティストに楽曲提供をしており、SONY、SEGA、SHIPSなどTVCMやwebCMの音楽制作等も多数。
ソロアーティストとしてはスマッシュヒットした「水星 feat.オノマトペ大臣」を収録したアルバム「lost decade」を2013年にリリース。全曲フル試聴などの施策で話題を呼ぶ。過去の外部仕事をまとめたワークス集2枚も同時発売。
同年秋にはWARNER MUSIC JAPANのレーベルunBORDEからメジャーデビューが決定し、森高千里、の子(神聖かまってちゃん)をゲストに迎えて「Don't Stop The Music」をリリース。これらの一連の 流れが評価され、iTunes Best of 2013に選出された。

制作だけではなくDJとしても活躍中。高校生時代のWIRE08出演を皮切りに、様々なフェスティバルやイベントに出演。2014年7月にはイギリスのラジオ局BBCのプログラム『BBC Radio1Xtra Diplo and Friends』に日本人として初出演。翌8月には森高千里 with tofubeatsとしてサマーソニック2014に出演する等、国内外で話題となっている。また数誌でコラムの連載も行っており、各方面で精力的に活動中。

< RELEASE INFORMATION >
2ndアルバム『POSITIVE』


2015年9月16日(水)発売
初回限定盤:WPZL-31099 / 3,600円(税抜)
通常盤:WPCL-12238 / 3,000円(税抜)
[ 収録楽曲 ]
CD
01. DANCE&DANCE
02. POSITIVE feat. Dream Ami
03. T.D.M. feat. okadada
04. Too Many Girls feat. KREVA
05. STAKEHOLDER
06. Throw your laptop on the fire feat. 小室哲哉
07. I know you
08. Without U feat. Skylar Spence
09. すてきなメゾン feat. 玉城ティナ
10. くりかえしのMUSIC feat. 岸田繁(くるり)
11. 閑話休題
12. 別の人間 feat. 中納良恵(EGO-WRAPPIN’)
13. I Believe In You

DVD ※初回限定盤のみ付属、tofubeats music video集
01. 水星 feat. オノマトペ大臣
02. No.1 feat. G.RINA
03. Don’t stop the music feat. 森高千里
04. おしえて検索 feat. の子(神聖かまってちゃん)
05. ディスコの神様 feat. 藤井隆
06. Her Favorite & 衣替え
07. Come On Honey!feat. 新井ひとみ(東京女子流)
08. poolside feat. PES(RIP SLYME)
09. 20140803
10. 衣替え feat. BONNIE PINK
11. STAKEHOLDER
12. 朝が来るまで終わることのないダンスを


オフィシャルサイト



tomad
tomad

インターネットレーベル「MaltineRecords」主宰。2006年頃からラップトップを使ったDJ活動開始。都内を中心にLIQUIDROOMやUNIT、AIR、MOGRAなど様々なクラブでプレイ。2009年から都内のクラブにて年数回のペースで自身レーベルのイベントオーガナイズもしている。2015年8月にはMaltineRecords10周年を記念してSWITCHより今までのレーベルの活動をまとめた「Maltine Book」も発売され話題を呼んだ。

< RELEASE INFORMATION >
Maltine Records 2005 - 2015 10th Anniversary Issue

ネットレーベルの最先端を走り続けた「マルチネレコーズ」10年の軌跡!
10周年記念リリース10曲フリーダウンロードコード付き
価格:2,376円(税込)

2005年に創設されたネットレーベル「Maltine Records」は、tofubeats(dj newtown)、okadada、AvecAvec(Sugar’s Campaign)、kz(livetune/RE:NDZ)、Banvoxなど現在のJ-POPシーンでも活躍中のアーティストの作品をフリーダウンロード形式で多数リリースし、インターネット世代のあたらしいダンスミュージックのあり方を提示してきました。

レーベル10周年を機に、これまでの活動の集大成として完全保存版の書籍を企画。GraphersRock、スケブリといったこれまでマルチネを支えてきたクリエイターも参加し、書籍という形でインターネットカルチャーの価値観を広く世に問う1冊です。

オフィシャルTwitter
Maltine Recordsオフィシャルサイト

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