<インタヴュー> 竹原ピストル「あの時の興奮に今も取り憑かれている」ーー不屈のシンガーソングライター、竹原ピストルが今も歌い続ける理由

<インタヴュー> 竹原ピストル「あの時の興奮に今も取り憑かれている」ーー不屈のシンガーソングライター、竹原ピストルが今も歌い続ける理由

竹原ピストルが、ニューアルバム『youth』をリリースした。

もうすぐ40歳、野狐禅の活動と解散後のソロを経て、昨年に『BEST BOUT』で2度目のメジャーデビューを果たした彼。アルバムには、ここ数年にわたり年間250本以上のライヴを繰り広げてきたタフな歌うたいとしての心情が刻み込まれている。タイトルの通り、10代の頃も今も変わらない衝動をテーマにした一枚。2016年も1月から10月までギッシリとツアーのスケジュールがつまっている。

彼を今も突き動かすものとは何なのか? 竹原ピストルが歌い続ける理由について、話をしてもらった。

取材・文=柴 那典


応援してくれている人にいいところを見せたい


ーーアルバム、すごくよかったです。これは完全に個人的な感想なんですが、同い年の人がこういう戦い方をしているのに、励みになった感じがあって。

竹原ピストル:おお、ありがとうございます! そうなんですね。

ーー去年に再メジャーデビュー作となる『BEST BOUT』をリリースして、そこから周囲の環境はどう変わりました?

ピンポイントな話になっちゃうと思うんですけど、こうやって取材を受けて紹介してもらうような話をいただいたり、あとは名実ともに大好きな、尊敬してやまない人との共演の機会をいただいたりして。それは1人でやっているうちは掴もうと思っても掴めなかったから、そういうことが実現した一年だったと思いますね。

ーーチャンスや機会が増えた。

増えましたね。

ーーでは、掴んだものと、まだ掴めていないものを比べるとどうですか?

まだ達成できていないことですか? いや、そりゃ一杯ありますよ。そっちの方が多いです。

ーー「売れたい」ということは、いろんなところで言っていますよね。それはずっと変わらない?

変わらないですね。でも、語弊があっちゃいけないけど、俺は歌えればどこでもいいんですよ。音源も自分が納得のできるものをリリースして、そいつのためにできるだけ宣伝できれば満足できる人間なんです。

ーーでは、もっと売れたい、もっと大きな場所に立ちたいというのは?

やっぱり応援してくれている人だったりとか、世話をしてくれているフォーク小屋のママさんだったりに、いいところを見せたくて。だからわかりやすいところに踏み込みたい。チャートで上位に踏み込んだよってことかもしれないし、武道館でライヴをやったとか、ドームでやったとか、紅白歌合戦に出たとか、賞をとったとか、そういうわかりやすい結果は全部とりたいと思っていて。そう考えるとまだ全然達成できていない。

ーーなるほど。応援してくれる人、支えてくれている人のために勲章を得たい。

そうですね。俺は別に興味ないですもん。でも絶対喜ぶだろうし、自慢してくれる人もいるだろうし。「俺が応援していた竹原ピストルすごいだろ? な?」って。さすがに今はなくなったけど、お客さんが2人しかいないワンマンもあったんです。あの時の2人に「あの時間を選んで間違いなかったろ」って言いたいし。そういう気持ちがモチベーションとか原動力の根底にあるんだと思います。


完全に中毒だと思いますね。今もライヴも毎日だっていいと思っているし


ーー今回のアルバムは『youth』というタイトルですよね。竹原さんの中で10代の頃から変わらないものって、改めてどういうものですか?

それについて一人ぼっちの時に考えたりするんですけど、ガキンチョの時から、とにかく人前で何かすることに執着していたんですよ。すごく好きだった。漫才の真似事もやったし、劇みたいなこともやったし、でも一番得意だったのが歌だったから今も歌をやっているんだろうけど。人前で何か楽しませようとする感覚に、今も取り憑かれている。中学の文化祭の時に「たけちゃんはいつもこういうことをやりたがるけど、なんでこういうことをやりたくなっちゃうんだろうね」って大好きだった担任の先生から言われて。全然理由がわかんなかったんですよ。

ーー14歳くらいの時?

はい。なぜか理由はわからないし、意味もわからないんですけど。

ーーせっかくなのでさらに遡って聞きたいんですけど、小学生とか幼稚園の頃もそういう子でした?

親から聞いた部分と自覚している部分を足すと、めちゃくちゃシャイだったんですよね。だから幼少の僕を知っている近所の人とかは、僕が歌を歌っているというと「あんな引っ込み思案な子が?」って驚くくらい。自分の中での人生のデビューライヴだったのは、小学校の林間学校のキャンプファイヤーの時間だったかもしれない。あの時に『アタックNo.1』のテーマソングの「♪苦しくったって~♪」って歌って。それがドカンとウケて。その時は理屈で考えなかったけど「なに? この感じ?」みたいにビリビリと興奮したのを覚えてますね。

ーーその時のなんだかわからない快感にずっと突き動かされている。

完全に中毒だと思いますね。もっとやりたい、もっとやりたいって。あの時の興奮に今も取り憑かれている。そういうところは全く変わっていないし、なんなら加速しているくらい。ライヴも毎日だっていいと思っているし、そういう人間なんだとしか言いようがないんですけど。

ーーでも、先ほど言ったように、お笑いでもよかったし、ボクシングをやっていた時期もあったんですよね。つまり人前に立つのが目的で、手段はなんでもよかった。

なんでもよかったですね。

ーーそれが歌を歌うというところに照準が定まったのは?

やっぱり、そこは前にやっていた野狐禅を組んで音楽活動を始めたから音楽家になったみたいなところはあったかもしれませんね。野狐禅を組むギリギリまで芸人を目指して相方探しをしたりとか、ネタを見せに行ったりとか、そんなようなことをやっていましたから。で、野狐禅を組んで始まって、とても久しぶりに全身の細胞が沸き立つような「ああ、これだ!」っていう感覚を味わって、毎週ライヴやろう、毎日ライヴやろうってなっていて。野狐禅もすごくライヴが多かったですから、そうなって上手いことオーガスタに拾ってもらったりした経緯もあったし、その時は完全にミュージシャンだなと思っていましたけどね。

ーー2人の弾き語りのスタイルが自分にピッタリくると感じたのは?

中学からずっとアコースティックギターの弾き語りをやってきたんですけど、野狐禅の結成の仕方が自分の中でドラマチックだったんですよ。ボクシングは頑張ったけれども、なんとなく大学を卒業して。人前で何かやるような職業に就きたい、ビッグになりたいという夢を抱いていたんだけど、結局何もしなかったと思ったまま大学を卒業して。故郷が千葉なんですけど、千葉に戻ったら親に就職しろとか言われるだろうな、ちょっと嫌だなとか、うるせえよなとか思っていて。北海道の大学だったんで、札幌という街に残って何も行動せずバイトしてた時期があったんです。で、その時に相方だった濱埜宏哉から連絡が来て「どうせ何にもやってないんだったら何かやろうか」って言って組んだのが野狐禅だった。で、濱埜がたまたまピアノだったからピアノで始まって。どれがしっくりくるかとか、正直その時は考えていなかったですよね。

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竹原ピストル

1976年生まれ、千葉県出身。大学時代の1995年にボクシング部主将として全日本選手権に出場した経験を持つ。1999年に野狐禅を結成。2003年にデビューし、6枚のシングルと4枚のアルバムをリリースした。2009年に野狐禅を解散後、ソロ活動を開始。年間250〜300本のライブ活動をしながらリリースを重ねる。2014年、野狐禅デビュー時に所属していたオフィスオーガスタに復帰し、10月にスピードスターレコーズよりニューアルバム「BEST BOUT」をリリースする。2015年11月にメジャー2作目となるアルバム「youth」を発表。歌手活動のほかに熊切和嘉監督作品「青春☆金属バット」、松本人志監督作品「さや侍」への出演など、俳優としての顔も持つ。


オフィシャルサイト


NEW ALBUM『youth』


2015年11月25日(水)発売
VICL-64415 / 2,900円(税別)
[ 収録楽曲 ]
01. youth
02. 全て身に覚えのある痛みだろう?
03. 午前2時 私は今 自画像に描かれた自画像
04. じゅうじか
05. 高円寺
06. へっちゃらさ、ベイビー
07. 月夜をたがやせ
08. よー、そこの若いの
09. ぼくの夢でした
10. 石ころみたいにひとりぼっちで、命の底から駆け抜けるんだ
11. トム・ジョード


< TOUR INFORMATION >
竹原ピストル 全国弾き語りツアー”youth”
2016年
01月15日(金) 下北沢440
01月23日(土) 宇和島 TE-TSU
01月25日(月) 鳴門 D-BOX
01月27日(水) 徳島 club GRINDHOUSE
01月28日(木) 高知 X-pt.
01月29日(金) 綾川 ギター茶屋かぐや姫
01月30日(土) 高松 DIME
01月31日(日) 松山キティホール
02月08日(月) 津山 地味庵
02月09日(火) 岡山 MO:GLA
02月10日(水) 米子 Live ONE MAKE
02月11日(木) 鳥取 Strawberry Fields
02月12日(金) 松江 AZTiC canova
02月14日(日) 浜田 Rum’s Bar
02月17日(水) 出雲 ライブハウスアポロ
02月18日(木) 広島 楽座
02月19日(金) 岩国 Rock Country
02月20日(土) 益田 Sound Bar. I ROOTS
02月21日(日) 周南 LIVE rise SHUNAN
02月22日(月) 福山 Cable
02月24日(水) 隠岐 なかむら旅館
03月01日(火) 小倉 フォークビレッジ
03月02日(水) 博多 the voodoo lounge
03月03日(木) 田川 LOT
03月04日(金) みやま クロキビスポークルーム
03月05日(土) 熊本 BATTLE-BOX
03月07日(月) 大分 club SPOT
03月08日(火) 日田 スカーフェイス
03月10日(木) 佐賀 GEILS
03月11日(金) 長崎 Ohana Café
03月13日(日) 宮崎 SR BOX
03月14日(月) 延岡 Anniversary
03月16日(水) 鹿児島 SR HALL
03月18日(金) 鹿屋 猿穴
03月20日(日) 奄美大島 ASIVI
03月22日(火) 奄美大島 JUICE
03月24日(木) 徳之島 MAC
03月26日(土) 沖永良部島 ライブ居酒屋うたしゃ
03月29日(火) 屋久島 Pon-Pon YAKUSHIMA
04月12日(火) 西成 難波屋
04月13日(水) 江坂 音屋 景気屋
04月15日(金) 神戸 Back Beat
04月16日(土) 西宮 RJ & BME’S
04月19日(火) 奈良 NEVERLAND
04月20日(水) 和歌山 OLD TIME
04月22日(金) 大津 B-FLAT
04月23日(土) 高島 CAFÉ ALIVIO
04月26日(火) 京都 磔磔
04月27日(水) 心斎橋 Music Club JANUS
04月28日(木) 京都 SOLE Café
05月10日(火) 沼津 Speak EZ
05月12日(木) 静岡 UHU
05月13日(金) 浜松 MESCALIN DRIVE
05月14日(土) 岡崎 CAM HALL
05月15日(日) 安城 RADIO CLUB
05月16日(月) 名古屋 HUCK FINN
05月17日(火) 名古屋 夜空と月のピアス
05月18日(水) 豊橋 HOUSE of CRAZY
05月19日(木) 岐阜 ants
05月21日(土) 関 空〜SORA〜
05月22日(日) 松阪 M’AXA
06月01日(水) 横浜 B.B.Street
06月02日(木) 日吉Nap
06月04日(土) 小田原 姿麗人
06月05日(日) 横須賀 モアイ&カピー
06月06日(月) 藤沢 太陽ぬ荘スタジオ
06月08日(水) 甲府 CONVICTION
06月13日(月) 水戸 NINETY EAST
06月14日(火) 古河 CAFÉ LOUNGE BEEP
06月16日(木) 高崎 club FLEEZ
06月17日(金) 宇都宮 HELLO DOLLY
06月20日(月) 千葉 ANGA
06月21日(火) 西川口Hearts
06月22日(水) 南浦和 宮内家
07月02日(土) 松本 ALECX
07月03日(日) 長野 INDIA Live the SKY
07月05日(火) 新潟 GOLDEN PIGS YELLOW STAGE
07月08日(金) 上越 EARTH
07月09日(土) 富山 Artist’s
07月10日(日) 福井 Bar Jake
07月11日(月) 石川 van van V4
07月13日(水) 福井 Bar Jake
07月25日(月) 会津若松 風街亭
07月26日(火) 郡山 PEAK ACTION
07月27日(水) いわき burrows
07月28日(木) 南相馬 LIEBE
07月29日(金) 福島 Player’s Café
07月30日(土) いわき THEQUEEN
08月01日(月) 米沢 Café Laboratory
08月02日(火) 山形 フランクロイドライト
08月03日(水) 仙台 enn 2nd
08月05日(金) 石巻 BLUE RESISTANCE
08月07日(日) 大船渡 FREAKS
08月09日(火) 宮古 COUNTER ACTION
08月11日(木) 久慈UNITY
08月12日(金) 八戸 ROXX
08月14日(日) 盛岡 Club Change
08月15日(月) 秋田 Club SWINDLE
08月20日(土) 花巻 Joe’s Lounge
08月21日(日) 福島 Player’S Café
09月01日(木) 室蘭 ロック居酒屋ええねん
09月03日(土) 釧路 Acoustic café HOBO
09月06日(火) 静内 Bar Kavach
09月07日(水) 帯広 Rest
09月10日(土) 札幌 KRAPS HALL
09月11日(日) 旭川 CASINO DRIVE
09月12日(月) 紋別 有馬馬21
09月14日(水) 函館 あうん堂ホール
09月19日(月) 那覇 OUT PUT
09月20日(火) コザ プレイヤーズカフェ
10月08日(土) 東京キネマ倶楽部
10月09日(日) 東京キネマ倶楽部


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