<インタヴュー> GLIM SPANKY「覚悟を決めたなら迷わず突っ走れ」――ロックの魔法を今に蘇らせるGLIM SPANKYの“本気”


自分にとって特別な曲


ーーそしてもう一つ、「夜明けのフォーク」。これは僕もすごく好きな曲なんですけれど、こういうどっしりとしたロッカバラードの曲は、GLIM SPANKYの中でも得意技のような曲だと思います。

松尾:そうですね。こういう曲が一番得意なんです。デビューしてから「ワイルド・サイドを行け」とか「褒めろよ」とか「リアル鬼ごっこ」みたいな疾走感のある曲を作った感じですね。特にこの「夜明けのフォーク」っていう曲は、大学2年の時からあった曲なんです。先輩に「映画を撮るから主題歌を書いてくれないか」と言われて書いた曲で。

ーーどういう映画だったんですか?

松尾:その映画の内容が、大事な友達が死ぬという内容だったんです。でも、その時は周りにも亡くなった人がいなかったので、人が死ぬということがちゃんとわからなくて。その時は映画のストーリーから自分が書ける限りのものを書いたんですけれど、なかなかまだしっくりこなくて。でも、絶対にこの曲を世に出したいということはずっと思っていた。で、去年、私がすごく尊敬していて、高校時代から仲も良くて、同志だったミュージシャンの子が自殺してしまったんです。

ーーそうなんですね。

松尾:私はその子の音楽がすごく素晴らしいと思っていたし、その子の曲こそ世に届くべきだと信じているし、その子もGLIM SPANKYを応援してくれていたので、本当にショックで。周りのみんなも含めて、なかなか前に進めずにいたんです。自分もずっとその子のこと考えちゃうし、その子が住んでいた街に行くと、あそこで煙草吸ってるんじゃないかとか考えてしまうような日々が続いた。でも、あの子が曲を作っていたように、私も曲を作り続けようと思って。で、この曲のことを思い出したんです。当時は手さぐりだったけれど、今の自分が体験した気持ちを重ね合わせて新しい曲に生まれ変わらせよう、と。だから、これは内向的な歌詞ではあると思います。みんなに向けているというより、心の中で自分に向き合っているような歌詞で。やっと書けた、という感じです。自分にとって特別な曲ですね。

ーーなるほど。自分の曲になったっていうことなんですね。

松尾:自分の背中も押している曲でもあるし、でも、いろんな人に「過去は大事だけど先に進もう」ってことを伝えたいなというのもあったんです。自分もそうだし、その死んでしまった友達もそうだし、その周りの人たちにもそうだし、そういう体験をしてない全ての人にも「大丈夫だよ」って言えるような曲にしたい、という。そういう曲を作るべきだという、なぜか自分の中での使命感があって、作りました。


本気で歌ってる「愛してる」は伝わる


ーーポップスとして広まっていく曲って、作り手にとっても出来合いのものじゃなくて、どうしようもなく自分の思いを込めたものだと思うんです。そういう曲こそ、逆にいろんな人が「自分のもの」だと思える。「夜明けのフォーク」はそういう曲だと思います。

松尾:そうですね。それはもう、自分の思っていることしか書けないので。それに、自分が本気で思っているものしか伝わらないと思っているので。そういえば、いしわたり淳治さんと初めて仕事をしたときに、淳治さんが「30越えて、歌詞を書く仕事をしてわかったことがひとつある」って言ったことがあって。「なんですか?」って聞いたら「今よくみんな『愛してる』って歌うじゃん?」って言って。「でも、伝わらない『愛してる』と伝わる『愛してる』があるんだよね。やっぱり本気で歌ってる『愛してる』は伝わるし、クサくないってことを確信した」みたいな話をされていて。

ーーなるほど。

松尾:「だから、どんなにクサい言葉でも、逆にどんな普通の言葉でも、本気で思っていれば伝わる」って。もともと自分の本当に伝えたいことを歌おうと思ってましたけれど、本気で思ってないと伝わらないな、ということをより強く思うようになりましたね。

ーーお話を聞いていて思ったんですけれど、最初に「GLIM SPANKYはオーセンティックなロックとポップスとしての強度の両方がある」って言いましたよね。これはなんらかのバランス感によって成立してるのかなと思ってたんですけど。今おっしゃったような本気の思いで突破してるんだな、って。

松尾:そうですね。それしかできないんですけど(笑)。

ーーとにかく嘘のないものである、という。

松尾:そこは突き詰めたいという気持ちはありますね。たとえば反抗的なことを歌うとか、革ジャンを着るとか、それって表面的なロックだと思うんです。でも、私はやっぱり本気で挑んでいるものがロックだと思うし。愛や平和、希望を歌うことがロックだと思うんです。希望が叶わないからこその反抗であって。一般的に言われるロックのイメージって表面的なもので、その核にあるのは、希望と愛、包み込むような器のでかいものだと思うんですよね。だから、その部分さえ見失わなければ何をやってもロックだと思うんです。どんなにポップな音楽の中にもロックはある、というか。だから、今は恐れずになんでもできるような気がしていますね。

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松尾レミ (Vocal&Guitar, Song Writting, Art&Design)
亀本寛貴 (Guitar)

ロックとブルースを基調にしながらも、新しさを感じさせるサウンドを鳴らす、男女2人組新世代ロックユニット。ハスキーで圧倒的存在感のヴォーカルと、ブルージーで感情豊かなギターが特徴。ライブではサポートメンバーを加え、東京都内を中心に活動中。


オフィシャルサイト


MINI ALBUM『ワイルド・サイドを行け』


初回限定盤(CD+DVD):TYCT-69097 / 2,500円(+税)


通常盤(CD):TYCT-60077 / 1,500円(+税)

2016年1月27日(水)発売
[ 収録楽曲 ]
・CD
01. ワイルド・サイドを行け
02. NEXT ONE
03. BOYS&GIRLS
04. 太陽を目指せ
05. 夜明けのフォーク

・DVD
2015/10/17 赤坂BLITZワンマン公演
01. サンライズジャーニー
02. 焦燥
03. MIDNIGHT CIRCUS
04. ダミーロックとブルース
05. 褒めろよ
06. WONDER ALONE
07. リアル鬼ごっこ
08. NEXT ONE
09. 大人になったら
10. さよなら僕の町


< EVENT INFORMATION >
『ワイルド・サイドを行け』発売記念インストアイベント
1月30日(土) START 21:00(集合20:30)
会場:タワーレコード新宿店 7F イベントスペース

1月31日(日) START 16:00(集合15:30)
会場:タワーレコード梅田NU茶屋町店 イベントスペース

2月7日(日) START 13:00 (集合12:30)
会場:名古屋パルコ 西館1F イベントスペース

「“ワイルド・サイドを行け”ツアー」
4月2日(土) 名古屋SPADE BOX
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4月3日(日) 心斎橋JANUS
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4月16日(土) 恵比寿LIQUIDROOM
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