<インタヴュー> BOOM BOOM SATELLITES 「無駄なことなんて一つもなかった」――不屈の年月と、辿り着いた今を語る

<インタヴュー> BOOM BOOM SATELLITES 「無駄なことなんて一つもなかった」――不屈の年月と、辿り着いた今を語る

BOOM BOOM SATELLITESが、約2年ぶりとなるアルバム『SHINE LIKE A BILLION SUNS』をリリースした。

全11曲、深く心が揺さぶられるような一枚だ。タイトルの通り、まるで無数の太陽のような眩しさ、希望に向かう強いエネルギーを放つ音楽が詰まっている。

すでに彼らのオフィシャルブログや様々なインタヴューで報じられている通り、本作の制作期間中には、川島道行(Vo, G)の4度目の脳腫瘍発症が発覚した。一度は余命約2年と宣告されたが、特殊な治療を経て回復し、そして中野雅之(B, Programming)と共に音楽に真っ向から向き合い、そして今作を完成させた。

これまでも、ストイックに、誠実に、音楽を作り続けてきた彼ら。新作は、15年以上にわたるその軌跡が刻み込まれた作品でもある。

そんな視点から、中野、川島の二人に話を訊いた。

取材・文=柴 那典


音楽が生き方に作用する、心に働きかけるものであってほしい



ーーこれまでアルバムの取材は多数受けられていると思いますので、今回の記事はちょっと違った角度からインタヴューをさせていただこうと考えています。過去の中野さんや川島さんの発言を引きつつ、今に至るBOOM BOOM SATELLITESの歩みを振り返っていこうと思っているんです。というのも、お二人の発言は非常に筋が通っているというか、ブレていないと思っていて。

中野:つまり、いつも同じことを言っているという?(笑)。

ーーいやいや(笑)。ただ、今回のアルバムは、お二人にとっても最もピュアなものというか、外に対しての意識というよりも、純粋に自分たちの音楽を突き詰めていくことで生まれたものだと思っていて。

中野:たしかに、カウンターとかトレンドとの距離感というのは、前作あたりからだいぶ関係ないものになってきたと思いますね。今回の作品でそれが極まった感じはあります。

川島:実際に制作において自分のやることはそんなに変わらないんです。ベストパフォーマンスを残すこと、いい歌詞を書き上げること。ただ、今回は自分の状態が違っていた。本当に命の終わりを感じながらやらなければいけない時間があった。そこで、むしろ僕はこのレコーディングがあったこと、アルバムを作ることで自分の身を保てていた部分が大きかった。それはいつもと違うことかもしれないですけれど、それ以外に大きな違いはないですね。このバンドの音楽をより良いものとして残していきたいという気持ちでいたのはいつもと変わらないと思います。

ーーBOOM BOOM SATELLITESにとって、川島さんの脳腫瘍というのはずっと向き合ってきたものだったんですよね。『UMBRA』(2001年)や『PHOTON』(2002年)の時から、歌詞を書く時のテーマに影響を与えてきていた。

川島:そうですね。人生や死生観は大きなテーマになっていました。音楽が生き方に作用する、心に働きかけるものであってほしい。そういう思いは表現に託してきたものだと思っています。

ーー2003年、『PHOTON』の時にインタヴューさせていただいた時に、川島さんは「人がどこから来てどこへ行くということが歌詞のテーマ」「ある日命に終わりが突然やってくるものだっていうことが僕の中で実感できた時期があった」と言っていて。当時は僕は何のことがわからなかったんですけれど、川島さんの中ではその頃からずっとつながっていた。

川島:そうなんです。ただ、その濃さは変わってきていると思います。重さやリアリティが違っているところはあるんですけれど。でも何を歌いたいかというのは、ずっと変わらずに音楽と共にあると思います。


密でパーソナルな関係性を描きたくなってきている



ーーその頃、中野さんは「行動を促す音楽を作ろうとしている」と言っていました。

中野:そうだな、確かその頃は「レベル・ミュージック」という言葉も使ってたと思います。

ーーそうですね。「闘争する音楽、反抗する音楽」という。BOOM BOOM SATELLITESの音楽がレベル・ミュージックである、という話はその時からしていたと思います。

中野:ただ、レベル・ミュージックに対しての感覚というのは、徐々に変わってきていますね。たとえば10代や20代の頃には、60年代や70年代の黒人音楽に共感を得ることもあった。ただ、反体制的なことだけでなく、個人個人の中で小さな革命のようなものを起こす音楽も、レベル・ミュージックだと考えるようになってきた。特に今はどんどんそれがパーソナルなものになっていると思います。自分と他者の関係が一対一に近くなっている。社会全体に拡散させていく感覚よりも、密でパーソナルな関係性を描きたくなってきていると思います。

ーー何かに抗うという感覚はどれくらいありますか。

中野:今となっては、抗うだけではないという感覚もありますね。『EMBRACE』を作っている頃から、そのことは明確になってきている。あの時には「包容力のある音楽」と言っていた記憶があります。それは歳を重ねることで表現が変化してきたんじゃないかと思います。過ごした時間の分だけ、やりたいことやその表現の手法は変わっていると思います。

ーー当時の中野さんは「現実味がないポジティブさは性に合わない」とも言っていました。

中野:00年代の頃って、どうしてこんなに単純なポジティブさを売りにしている音楽が多いんだろうと首を傾げていた時期だったと思うんです。「頑張っていれば何とかなる」とか「僕がいれば大丈夫」とか、根拠のないポジティブさを、嘘っぽく感じていた。光の裏にある陰も対等にフォーカスを当てていかないと、本当に聴き手の支えになる音楽は作れないと思っていた。それは『PHOTON』を作った後から明確になっていったことだと思います。そのおかげで次のアルバムを作ることもできた。

ーー当時とは違った意味かもしれないですけれど、その頃に考えたことはちゃんと今作の礎になっていると思うんです。やっぱり、ポジティブな、最終的に立ち上がる方向に力を与えてくれるようなアルバムになっている。川島さんとしても歌詞を書く時にそういうことはイメージしましたか?

川島:もちろんそうだし、それは歌詞の言葉だけでないですね。スタジオにいる中野とのコミュニケーションの中で音楽を作っていくので。中野が持っている人間性や姿勢に引っ張られることが、このバンドの佇まいになると思います。

中野:やっぱり長く2人で時間を過ごしてきたわけなので。逃げ場もないし、考え方や価値観を納得して共有していくしかない。それが、だんだん一つになっていった。正直に音楽を作っているので、それを見せたというのはあるかもしれない。

ーーだんだん人間性や価値観を共有していったんですね。

中野:最初からいろんなものを川島くんと共有していたかというと、全くそんなことはなくて。だんだん合わさっていった。そうしてバンド自体に一つの人格が宿っていったというか。『UMBRA』は、あの時にしか作れなかったアルバムだったと思います。それはあの当時の状況もあったし、川島くんとの関係は今から考えたら幼いものだった。そういう関係性の変化もあったし、状況の変化もありましたからね。たとえば、1曲の価値もこの15年で全く違うものになったし。今という時代を生きている中で、その時その時で、自分たちが何をしたいのか問いただす必要が出てくるわけで。

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BOOM BOOM SATELLITES

1997年ヨーロッパでブレイクした中野雅之、川島道行からなるロックバンド。
エレクトロニックとロックの要素を取り入れながら新しい未知の音楽を創造し続ける日本屈指のクリエイターである。
ヨーロッパR&Sよりリリースされた12インチシングルをきっかけに、ヨーロッパの音楽誌「Melody Maker」は<ケミカル・ブラザーズ、プロディジー以来の衝撃!>と報じ、数々のヨーロッパ大型ロックフェスティバル、海外ツアーを敢行し多くのメディアに大絶賛される。
2007年、FUJI ROCK FESTIVAL07 White Stageのヘッドライナーを務め、2009年にはSUMMER SONIC 09では最大ステージ、マリン・スタジアムでのアクトを披露しオーディエンスに衝撃を残し国内外でライブバンドとして高い評価を受けている。
デビューから現在に至るまでクリエイター、映画監督、アーティストからの絶大なる人気を誇り、楽曲提供やリミックスのオファーが絶えない世代を超えた不動の魅力を持ち合わせたアーティストである。

オフィシャルサイト


『SHINE LIKE A BILLION SUNS』

初回生産限定盤(CD+CD-ROM):SRCL-8688~9 / 3,500円(+税)
「A HUNDRED SUNS」リミックス・パーツ、スペシャル・スコア付き


通常版:SRCL-8690 / 3,000円(+税)

2015年2月4日(水)発売
[ 収録楽曲 ]
01. SHINE
02. ONLY BLOOD
03. COMPLICATED
04. A HUNDRED SUNS
05. VANISHING
06. BACK IN BLACK
07. THE MOTH (attracted to the flame)
08. BLIND BIRD
09. OVERCOME
10. STAIN
11. EMERGENCE


< TOUR INFORMATION >
FRONT CHAPTER Vol.4
5月05日(火・祝) 広島CLUB QUATTRO
5月06日(水・休) 福岡DRUM LOGOS
5月13日(水) 名古屋CLUB QUATTRO
5月14日(木) 梅田CLUB QUATTRO
5月16日(土) 富山MAIRO
5月20日(水) 渋谷CLUB QUATTRO
5月29日(金) 札幌cube garden
5月31日(日) 仙台RENSA

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